小学館の新雑誌『ヒバナ』にて待望の連載が再開した『ドロヘドロ』。そんなドキドキの展開に負けず劣らずの大ニュース、香港のフィギュアメーカーthreezeroより発売されるドロヘドロ主人公『カイマン』のアクションフィギュアについて、原作者・林田球と共に掘り下げてきたインタビューもいよいよラスト!今回は「 threezero版カイマンフィギュアについて」伺いました。
(1月某日/林田球アトリエにて)
Text : メチクロ[MHz inc.]
メチクロ (以下:メチ):そんなthreezero/3Aの大ファンである球さんの元に、突如ドロヘドロ・アクションフィギュア化のオファーが飛び込んできたわけですが、報告を受けた瞬間の気持ちはいかがでしたか?
林田球 (以下:林田):まあ「ウソかな?」って(笑)。そもそも海外メーカーですし、好きでいっぱい買ってましたし、アシュレイ・ウッドの漫画も好きでずっと買っていた遠い存在なので、急にお仕事しませんか?といわれても「エっ!?」っていう感じでした。
アニメ化でもされない限りフィギュアの企画が通りにくい世界なのは大体解ってますし、私くらいの知名度では有り得ないだろうなって思っていたので…。
メチ:これまでにも『無可動フィギュア』『ガチャガチャ』と発売されてきて、遂に海外メーカーからのアクションフィギュアと…本当に『ドロヘドロ』というタイトルは他の作品とは違う展開を見せていますね。MHzで作り続けているアパレルも100タイトルをとっくに超えてますし…本当に不思議な作品です。
作者自身が『お人形さん遊びの延長で漫画を描いている』といった経緯などを伺うと納得出来るかも?とは感じますが、それでも信じられない気持ちの方が強いですよね。
ちなみに、オファーを頂いた時の状況を実況風に伝えると、「threezeroからオファー来ましたー!」「エーっ?嘘…。」「どうしますー?」「やりましょー。」「速攻返事しますー。」みたいな感じで、ショートメールだけでポンポン話しを進めてしまったので、振り返るとかなり危なっかしかったなと(笑)。
通常、こういったオファーは慎重に進めさせて頂いているんですが、メーカーさんの詳細や経緯などを説明する間もありませんでしたね。
林田:はい(笑)。あと、threezeroはスタイルがはっきりしているメーカーなので「仕様に関してはお任せ下さい。」という感じなのかな?と思ってたんですが、実際にお会いしてみたら、デザインからアイデアに至るまで「自由にして良いです」と言って頂いたのが更に驚きでした。
そんなリクエストまで頂けたので、実現できるできないに関わらず、やりたいことは全部描いて提出してみよう。という感じで張り切りましたね。
メチ:確かに、本当に短い期間で相当な分量の絵を描いて打ち合わせに望んでいましたよね。端から見ていても、かなりノリノリなのが伝わってきました。
メチ:では、具体的なデザインについて伺いますね。まず、一番こだわったポイントはどこですか?
林田:1/6のアクションフィギュアということで、何よりも服と小物にこだわりたいと思いました。デザイン的には「とにかく真っ黒なフィギュアにしたい。その中に沢山の要素が重なってる。」といった部分が一番重要なポイントです。
服があって…バッグがあって…アーマーがあって…武器があって…という風に、様々な要素が沢山重なっているデザインにしました。
以前メチクロさんが本誌用に製作していたカイマンフィギュアも真っ黒だったので好きなのですが、そもそも真っ黒なフィギュアってなかなか無いんです。
これにガスマスクの頭がつくと本当に真っ黒なフィギュアが実現するのですごく楽しみですね。
メチ:二次元じゃ表現出来ない部分が、まさにそこなんですよね。粘土で作られた三次元のフィギュアだとしても表現出来ないところ。
粘土では立体としてのレイヤーは精密に作れるけど、布で作られたベルトやカバンの裏側までは表現不可能なんです。更に、固い素材と柔らかい素材がポーズによって多様に変化するし、マテリアルの質感による変化も加わるしで、真っ黒という1色の中でも情報量が異常に多いんですよね。裏側が表現されているという事実がここまで実在感を高めるんだな。と改めて感じました。
林田:あとは、漫画よりもホラーな感じを強めたいと思ったので、ガスマスクのデザインも新しく考えましたし、腕周りや腰周りなどは『ゴム素材に血糊』といった、まさにホラーなウェザリングを指定したので、ひと味違った感じになっていると思います。
メチ:監修の際に一番リクエストを重ねたのも『ホラーなニュアンス』に関する部分が多かった気がします。「カイマンが有り物を寄せ集めて、自分でツギハギしたかのように縫い目をランダムに…。」とか、常人では理解し難いことを異常に細かくリクエストして、ふと冷静になって「この人、何やってんだろ?」と苦笑してしまうこともありましたよ(笑)。
でも、ホラー・マナーって人によってまちまちですし、特に『ガスマスク』と『ラバー』となると『ボンテージ』な解釈で捉えられることが多いので、そこだけは口を酸っぱくして説明したくなる気持ちは僕にもありますね。
林田:すごく大事です(笑)。あと、もう1つ成功したなと感じたのが『大きさ』ですね。通常の1/6フィギュアよりも大きい35センチをリクエストしたんですが、他のフィギュアと並べた時の存在感が素晴らしい。なおかつ『軽い』ので完全に私好みになりました。
メチ:トカゲ頭の表情も漫画のニュアンスに近づくように試行錯誤を重ねましたし、劇中の設定が詰め込まれた小物類も豊富なので、遊んで飾れるアクションフィギュアとして自信を持ってオススメできますよね。
まだ監修を進めている最中ということで、完成型を前にしての感想は頂けないのですが、ココまでの手応えとしてはいかがですか?
林田:香港とのやり取りが写真とテキストがメインだったので、なかなか難しい挑戦だったのですが、ワンフェスで実物を見た時に「本当に巧くいったなー。」って思いました。フィギュア好きのお客さん視点でも「欲しい!」と瞬間的に思えたので間違いないと思います。
あと、メチクロさんが会場で撮影した胸のアップ写真を見て「やっぱココ最高だよね!」と改めて確信しました。カイマンの特徴が全て集約されている部分なので、そこが巧くいったのは大きかったです。漫画でのカイマンのイメージを残しつつ、フィギュアとしての魅力も充分に表現出来たので、本当に発売が待ち遠しいです。
[完]
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また続報GET次第、コチラのブログで更新いたします。お楽しみに。 |