圧倒的じゃないか、「我が軍」は

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1. 「我が」の問題
2. 「軍」呼称の変遷
3. 「軍」の問題
安倍首相、自衛隊を「我が軍」 参院予算委で述べる

一部答弁を殊更に論ったり、批判のネタにするのは実にくだらないと思うんだけどねぇ。

1. 「我が」の問題

これは特に、問題なし。

自衛隊法の第七条によれば
第七条 内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有する。

トップが「我が」と評して何が問題なんだろうねーという話で即終了。
「我が軍 所有」と検索すると「我が」に憤慨する人が大量に出るけど、上記の点でおかしい。
ついでに「自衛隊は国民の物であって、安倍(総理)の物ではない」と憤慨する枝野さんもな(⌒-⌒; )

一応書いておくと総理が最高司令官なのは、戦前の反省に基づく立派な文民統制(シビリアンコントロール)に当たる。
勿論「政治が自衛隊をコントロールするといくら言っても、知識や経験のない政治家がそれをまっとうできるわけがない。」という指摘もあるようにトップが必ずしも軍事に詳しいとは限らない。
その為現状のシビリアンコントロールを維持する場合、現場=武官の意見を上層部に伝達し易いようにする必要がある。
すると今年行われたように、文官武官を上下から並列の関係にする=「文 統制」の撤廃となるわけだ。

ちなみにそれを当時『統制」大転換 法改正へ』と報道し、混乱を招いたのも朝日新聞(⌒-⌒; )


2. 「軍」呼称の変遷

次に「軍」の方。
最初は自分も「実態は=でも「自衛隊≠軍」という建前で硬性憲法の矛盾を解消しているので、「軍」に対する批判は免れない」と考えていたけど、改めて調べると予想以上に複雑。

吉田茂は「戦力なき軍隊」という迷台詞を遺しているし、国会議事録で調べても…戦後限定でも抽出不可となる位沢山発言されている。
ちょっと時系列で纏めてみよう。

参議院 外務委員会 36号 (昭和29年05月25日)

戦力論につきましては、従来しばしば総理、各大臣お話になつておりまして、今私が僅かな時間でここで繰返すことも困難で、いろいろの意味から説かれておりますが、
政府としては客観的にこの実態をとらえて戦力というものを判定すべきものだと考えておりまして、名前を軍隊と付けるということによつて戦力であつたりなかつたり、百万の陸上自衛隊を以てこれは陸上自衛隊だから戦力でないというようなことを言つても、これは相立たん筋であるというふうに考えておるのでありまして、
これは客観説によつておりますことは、毎々申上げておる通りであります。
侵略行為があつたならば、これを撃退するために戦う、戦争はしない。これはもう明らかであります。

しかし参議院予算委員会4号(昭和42年03月31日) で少し事情が変わる。

「軍隊であるかどうかというのは定義の問題になる」
「外部からの侵略に対して対処し得るものをもって軍隊ということであれば、まさしくこの自衛隊は軍隊であります」
そういう観点からの性格をとらえて軍隊というのならば、それは軍隊だろう。
「軍隊ではない、自衛隊であるということを明確におっしゃってきているわけです。ですから、こういう点をはっきりしておかぬと、これは問題が私はあると思うから、あえて申し上げているのです」
という流れを経て

○国務大臣(佐藤榮作君)いま鈴木君が言われるとおりだと思います。自衛隊を、今後とも軍隊と呼称することはいたしません。はっきり申しておきます。となった。

つまりこの時点から現在まで政府のスタンスは
①自衛隊は通常の軍隊ではない。
②しかし自衛隊はある種の「軍隊」ではある。
③しかし「軍隊」呼称は避けておく。

尤も「自衛隊≠軍」という建前とある種の軍隊であるという本音は①②で確立されており、③に実質的な意味はない。
その為かこの決定以後も、公式非公式関係なく「軍」名称は出されていたりする。

参議院 文教科学委員会(平成20年11月13日)における谷岡郁子の「日本の軍隊たる自衛隊」や
衆議院 安全保障委員会 2号(平成23年10月25日)における
一川国務大臣(防衛相)の「我が国の自衛隊というのは、いろいろな議論があったと思いますが、我が国が直接外国から何か攻められるということであればしっかりと戦うという姿勢でございますから、そういう面では軍隊だというふうな位置づけでもいいと思うんです」など。
近年だと自衛隊の段階的な廃止を検討する共産党トップも「軍隊」呼称だっあり

予算委員会の「我が軍」答弁⇨20日
朝日新聞の報道⇨23日
このタイムラグも呼称に関する曖昧さが原因ではないかな。
皆使っている単語が問題たり得るかどうか、誤報で散々叩かれた新聞でもあるし空白の土日は迷ったのでは…?

3. 「軍」の問題

背景をこうして整理すると発言とそれをめぐる批判は
①自衛隊は軍隊か否か⇨通常の軍隊ではない
②自衛隊を軍隊と呼称すべきか否か⇨一応避ける
③自衛隊は憲法違反か否か⇨戦力じゃないから合憲
という話が複雑に絡んでおり、それぞれ分けて考えなければいけない。

改めて「我が軍」発言を見るなら
今までの政府答弁(③)と矛盾するのでその点では問題になる。
しかし①②に抵触した発言ではないので、それ以上の問題になりようがない。
つまり「我が軍」と言った位で、憲法が死んだとか、自衛隊が軍隊なら憲法違反になるといった批判も強引。
これを踏まえて、発言以降の流れを見てみると

我が軍発言「全部ひっくり返すような話」 民主・細野氏
自衛隊という形で憲法の枠組みの中で積み上げた議論を、全部ひっくり返すような話を総理がおっしゃるということについては非常に理解に苦しむ。

「わが軍」答弁、問題ない 野党批判に官房長官
自衛隊は憲法上の制約が課されており、通常の観念で考えられる軍隊とは異なるが、自国防衛を主な任務とする組織を軍隊と呼ぶのであれば、自衛隊も軍隊だ
全体の流れとしては、外国の軍隊と共同訓練をしていることに対しての質問の中で、自衛隊を『我が軍』と述べた。答弁の誤りには全くあたらない。

野党:我が軍発言は「憲法の枠組みの中で積み上げた議論」に反する

与党:「憲法の枠組みの中で積み上げた議論」にある通り、軍隊か否かは定義による

与野:法的な意味で自衛隊を軍隊として認めたわけじゃない

…官房長官に完封負けである。
ついでに自衛隊が議論になるのは憲法が禁じる「陸海空軍その他の戦力」に該当するか否かなので、名称に拘っても意味なし。
(政府は自衛隊が必要最小限度の実力しか持たないから「戦力」に該当しない=合憲としている。)

そして
【我が軍発言】安倍首相が反撃「民主党の防衛相も『軍』と答弁した」

…つまり言葉狩りを仕掛けたあまりに、上の一川国務大臣の発言を引きずり出されて逆襲されたと(⌒-⌒; )
まぁ彼らはブーメラン使いと揶揄される位だし予想はしていた。ただ上記の通り単語自体は幅広く発言されている為、与野党纏めて大誘爆しかねない。

…いや、もっと言えばこの程度の揚げ足取りで答弁の時間を費やさないで貰いたいなぁ。
イメージ戦略は良いから中身を磨け、政策を挙げろ、議論をしろと…。

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