容疑者「県警捜査聞いた」 情報漏えい疑惑 恐喝事件も相談

毎日新聞 2017年7月7日 中部夕刊


福岡市博多区で7億6000万円相当の金塊が盗まれた事件を巡り、グループの男から現金を脅し取ったとして恐喝容疑で再逮捕された野口和樹容疑者(42)=窃盗罪で起訴=は7日、名古屋地裁(島崎乃奈裁判官)であった勾留理由開示の手続きで、逮捕前に愛知県警の捜査員から「福岡県警が捜査していると聞いた」と述べた。逮捕や捜索などの具体的な捜査情報は「聞いていない」とした。

 金塊窃盗事件を捜査していた福岡県警が通信傍受法に基づいて容疑者側の携帯電話の通話内容を傍受した際、愛知県警の警察官による捜査情報漏えい疑惑が浮上し、愛知県警が具体的にどのようなやり取りがあったのかを調査している。

法廷での野口容疑者の陳述によると、福岡の事件が報道されて以降、愛知県警捜査4課の捜査員に相談を持ち掛けていたという。

 再逮捕容疑は昨年12月15日、指定暴力団山口組弘道会傘下組織幹部、林雅志容疑者(33)=恐喝容疑で逮捕=と共謀し、金塊窃盗の仲間として窃盗罪で起訴された中垣龍一郎被告(40)から現金500万円を脅し取ったとされる。

 これについて野口容疑者は改めて容疑を否認した。林容疑者から、中垣被告が金塊窃盗事件に関係しているとみられることの口止め料を支払うよう責められ、この愛知県警の捜査員に相談したと説明した。中垣被告が金を渡す前日に捜査員から、防犯カメラのあるコンビニエンスストアの前で現金を渡し会話を録音することなどを助言されたと述べた。

 弁護側も「県警の監視下で起きた事件」と主張した。