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今年度23人採用 民団大阪の要望実る
【大阪】大阪府・市教育委員会は06年度の公立学校教員採用選考テストに合格した23人の外国籍者を4月から採用することになった。この結果、大阪府内の公立小・中・高等学校で勤務する外国籍教員は初めて100人の大台を突破し、計105人となる。国籍(地域)別内訳を見ると韓国籍者が90%以上を占め、中国、台湾が続く。
大阪府・市教委による外国籍教員の採用実績を見ると、ここ数年1ケタ台にとどまっていた。4月から採用予定の23人は昨年実績の約2倍にあたる。辞令が交付されれば府内公立小・中・高等学校教員はトータルで59人となり、大阪市立小・中・高等学校教員46人と合わせた数は105人となる。
すでに教壇に立つ外国籍教員82人は全体の3分の2が本名を名乗っている。新たに採用予定の23人についても教育委員会は、教育的配慮から本名を名乗るよう粘り強く指導していくという。
これは外国籍教員の積極採用と合わせ、本名で教壇に立つよう指導を求めてきた民団大阪府本部の要望に基づく。教育委員会でも「児童・生徒たちは外国籍教員を通して隣人のことを知っていく。府内には外国籍の児童・生徒が多数在籍しており、学習の影響は大きいものがある」と認めている。
外国籍教員が100人を超えたことについて民団大阪府本部の鄭炳采文教部長は、「大阪府・市の両委員会が人権尊重を基本とし『ちがいを豊かさに』という教育を実践してきた結果と高く評価します。かつて教員を志望し担任教師から『韓国人は教師にはなれない』と言われた者としてうれしい限りです。これを機会に在日韓国人の受験者が増え、外国籍教員を積極的に採用し、文部科学省が管理職受験を認めるよう期待します」と語った。
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準管理職を新設 大阪府教委
大阪府教委は府立学校において、06年度から新たに「首席」および「指導教諭」という制度を設けた。「首席」は、教頭と教職員の間で校務の要となり、学校運営体制・機能の充実を図る。また、「指導教諭」は学習指導、生徒指導などの指導力に卓越し、教職員の指導力の向上を図ることとしている。
大阪府・市教委とも外国籍教員を「教諭」として積極的に採用し始めたのは75年から。この段階では管理職登用にも道を開いていたが、91年の韓日外相「覚書」以降は同じ教諭採用ながら管理職への道を閉ざした「指導専任」としてきた。このため、民団側が教育委員会に管理職受験を認めるよう要望してきた経緯がある。
今年は「首席および指導教諭」の採用者はいなかった。だが、07年度以降は府内の多くの小・中学校で同制度がスタートする予定だ。
努力認めるが まだ不十分だ
朴洪奎さん(53)=東大阪市立太平寺中学校教諭
私は80年に教諭として採用され、管理職の制限はなかった。今回、府教委は努力してくださった。「首席および指導専任」制度で半分は戻ったというところだ。だが、まだまだ不十分。91年の「覚書」以前に戻っていない。管理職になれる受験資格を認めてほしい。
管理職挑戦へ 機会を与えて
康孝利さん(32)=大阪市立中道小学校教諭
91年「覚書」以降に採用された。先輩たちが道を切り拓いてくれたおかげです。教員になってからは本名を名乗っている。本名は児童にとって心強いようだ。よく法事の話をしてくれます。この子どもたちのためにも管理職に挑戦してみたい。
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