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「金魚の水槽が白く濁ってしまいます」

  • 文 塩谷亮
  • 2014年11月10日

写真:   

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「金魚を飼い始めたのですが、いつも水が白く濁っていてきれいになりません。水槽はお店で金魚と一緒に購入したセット水槽を使っています。きれいにしてあげたくて水はこまめに全部換えていますし、その時には濾過(ろか)器や砂利も洗っているのですが、翌日には水が白くなってしまいます。どうすれば透き通った水になるのでしょうか」

●まずは二つの可能性が

 すっきりと透き通った水をゆったりと泳ぐ金魚、とても魅力的ですが、今回のご相談のようになかなかうまくいかないことも多いようです。こうしたことの原因はいくつか考えられます。

 まず水槽の大きさ(水の量)に対して魚が大きすぎたり魚の数が多すぎる場合、そして餌を与える量が多すぎる場合です。金魚は与えれば与えるだけ餌を食べてしまう魚です。たくさん食べれば出るものもたくさんになりますね。

 これらは、いずれも水をきれいにするために設置してある濾過器の浄化能力を超えて水が汚れてしまう、という状態です。ただ、今回のご相談にはこの二つ以外の原因もありそうです。

●濾過器は三種類あります

 ここで、濾過器の働きについて簡単にご説明しましょう。水槽の水を魚が快適に暮らせる状態に保つのが濾過器の役目ですが、濾過には大きく分けて「物理濾過」、「吸着濾過」、「生物濾過」の三つがあります。

 「物理濾過」というのは濾過器の中の「濾材」によって水中のゴミをこし取ることです。「吸着濾過」は活性炭やゼオライトなどを濾材に使用して、水に溶け込んでいるさまざまな物質やにおいを吸い取らせるものです。今回のように白く濁った水を活性炭に通すと透明な水になります。ただ、こうした吸着性の濾材は一定の量を吸い込むとそれ以上の吸着ができなくなるので、定期的な交換が必要になります。

 そして、特に大切なのが「生物濾過」です。これは、水槽や濾材の中に住みついた微生物(濾過バクテリアと呼ばれます)によって魚の排泄(はいせつ)物など水の汚れとなる成分を分解させるもので、これがうまく働くようになると水は見た目の美しさだけではなくて魚が暮らすのに適した状態になるのです。

 この濾過バクテリアは自然界では水中や水底の砂利などに普通に存在していますが、セットしたばかりの水槽には存在しません。発生から殖えるためにはある程度の時間が必要で、その間は水質が安定しません。

●魚にとって良い水質を作りましょう

 さて、今回のような状況は、どうすれば改善できるのでしょうか。水槽と金魚の大きさのバランスや餌の量の見直しはもちろんですが、ここはやはり濾過がしっかり機能するように考えたいところです。

 まず、水換えの基本は1週間~2週間の間隔で1/3~1/2の量というものです。全量の水換えは濾過バクテリアを流してしまうことになりますから、必ず古い水を残すようにしましょう。ただ、今回の場合は水質が安定していませんから1/5程度の量を3日置き程度に換える方法が良いかもしれません。

 濾過器や砂利は濾過バクテリアの主な住み家ですから、頻繁に洗ってしまうとやはり水質が安定しません。洗いたいという気持ちはよく理解できますが、当分はそのままにしておきましょう。また、「濾過バクテリアの素」というような商品も市販されています。使い方にもよりますが効果が出る場合もありますので一考の価値はあるかと思います。

 一般的な「お掃除」の概念とはかなり違うと思いますが、魚にとって良い水質をつくるためには大切なことですからぜひ覚えていただければと思います。

PROFILE

塩谷亮(しおたに・りょう)

日本ペット&アニマル専門学校講師、つくば国際ペット専門学校講師。幼少時より様々な動物に関心を持ち、採取~飼育に明け暮れる。玉川大学農学部農学科卒業後、大手総合ペットショップに入社。水草専門店舗に始まり、総合ペット店舗店長、統括バイヤーを務めた後に独立し、ペットショップ経営も行った。現在は、各種爬虫類の繁殖技術の確立、原稿執筆、セミナー講師などを中心に活動中。