テーマ:経済問題
私は信用創造だと思っています。
今から65年ほど昔、日本がまだ米国の占領下にあった頃、デトロイトの銀行家のジョセフ・ドッジが占領軍財政顧問として日本政府の予算編成に携わり、悪性インフレ(当時の日本政府の公式用語です)をストップさせたのですが、強烈なデフレ政策であったため基本的には圧倒的な物不足にありながら需要不足から経済は停滞しました。
ちょうどその時朝鮮動乱が起こり、かつ独立を回復したため、日本政府はドッジが進めた政策の真逆の需要拡大策をとり、経済は大きく回復し高度成長へと進む足がかりを得たのです。
ドッジは日本独立に伴い帰国したのですが、その時残した言葉があります。
「日本人は経済運営について妄想や幻想に取り付かれている。例えば
・輸出が増加しないのに生産を増加させてもかまわない。
・生産を増加しさえすれば、インフレは起こらない。
・輸出にたよって生きなければならぬ国が、国内インフレのために輸出市場から締め出されるような高物価を招いても心配ない。
・投資を目的とした商業銀行の融資額を次第に増加することが、通常の資本蓄積過程の代わりになる。
などであり、現在の好況はたまたまであることを心すべきだ」
特に重要なのは「通常の資本蓄積過程の代わりになる」ことを妄想あるいは幻想だと言っている事です。すなわち信用創造の否定であります。実は日本はドッジが妄想・幻想と切り捨てた政策を取り続け経済成長したのであり、ドッジの言葉こそが妄想であったわけです。
私は、資本金も借入金も本質的な差はないと思っていますので、信用創造こそが経済成長の源泉であると考えています。
民間での信用創造が不活発な場合は政府がそれを担うべきであり、躊躇する理由はなにもないと思っています。
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