なぜ日本のエアコンは世界で強いのか
日本標準のダクトレス型エアコンが米国でも普及へ
猛暑で増産中の国内エアコンメーカー
「夏が暑く、冬が寒いと景気が良くなる」と言われますが、最近まさにそのことを実感させるニュースがありました。
2017年7月22日のNHKニュースによると、連日の猛暑によりダイキン工業(6367)や三菱電機(6503)などのエアコンメーカー、および家電量販店が相次いで生産・販売の態勢を強化しているとのことです。
景気の面からは冷夏よりも猛暑のほうがいいとはいうものの、暑い日が続くと体にはこたえます。熱中症にならないように注意しながら、この夏を乗り切りたいものです。
参考記事
世界で健闘する日本のエアコンメーカー
さて、国内で好調な家庭用エアコンですが、実は海外でも日本メーカーが好調で、とりわけ最近は北米市場での存在感が急速に高まりつつあることをご存じでしょうか。
実際、2017年5月末にダイキン工業が米国テキサス州で新工場の開所式を行い、米国で積極的に投資を行う考えを表明しています。
また、7月25日に2018年3月期第1四半期決算を発表した富士通ゼネラル(6755)も、北米のエアコン販売は好天に恵まれたことなどにより増収を確保したとコメントしています。
家電製品というと、日本メーカーは韓国や中国のメーカーに席巻されてしまったイメージが強いですが、実は健闘しているのです。
その最大の要因は、高い省エネ性能を持つ、日本メーカーが得意なダクトレス方式のエアコンが世界で認められてきたことにあります。
米国でも普及が期待されているダクトレス方式とは?
では、このダクトレス方式のエアコンとはどのようなものか、簡単に解説したいと思います。
ダクトレスとは、文字通り“ダクトがない”エアコンということであり、ダクト方式とは対照的な方式です。
そのダクトとは、空気を送る管のことですが、米国ではこれまで一か所で暖かい空気や冷たい空気を作り、その空気を建物の屋根裏などに張り巡らされたダクトを通して各部屋の冷暖房を行う方式が主流となっていました。
一方、日本で主流のダクトレス方式では、皆さんご承知のように、部屋ごとに室外機と室内機が1台ずつセットで取り付けられます。
どちらが省エネ性能に優れるかというと、これは明らかに日本で主流のダクトレス方式です。それは、人がいる部屋だけの空調が可能であることや、部屋ごとに細かな温度調整ができるためです。
最近日本のエアコンメーカーが米国市場で存在感を高めているのは、米国における省エネ意識の高まりでダクトレスが評価されてきたためです。
もちろん、北米ではこれまで住宅を建てる時にダクトも一緒に作り、エアコンを住宅設備の一部として販売することが一般的であったため、ダクトタイプの需要がなくなるとは考えられません。
とはいえ、すでに欧州ではダクトレス方式が家庭用エアコンの主流となっていることを考えると、米国についても今後の展開には大いに期待が持てるのではないかと思われます。
今後の注目点
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