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【いま読む日本国憲法】(56)第95条 「特別法」 住民投票で国会が、特定の都道府県や市町村だけに関係するような「地方自治特別法」を制定するときは、その自治体で住民投票を行って同意を得る必要があると定めた条文です。地方自治体を守るための規定といえます。 国会の方針に対し、国民が直接投票で賛否を示す権利を定めたのは、現憲法ではこの九五条と、改憲を問う国民投票を規定した九六条だけです。九五条に基づく住民投票は一九四九~五一年の三年間に十五件ありましたが、その後行われていません。 九五条は、米軍基地の重い負担を強いられている沖縄県との関係で議論になってきました。 九七年の駐留軍用地特別措置法改正は、米軍占領下で強制収用された土地を、使用期限後も米軍が使えるようにするためのものでした。実態として沖縄県にしか適用されないにもかかわらず、政府は「全国に適用可能」という立場を取って住民投票を行いませんでした。野党は「九五条がないがしろにされた」と反発し、地元からも住民投票を求める声が上がりました。 同県名護市辺野古(へのこ)での米軍新基地建設でも、九五条に基づく住民投票が必要という意見があります。 九五条に基づかない住民投票としては、地方自治法が首長の解職や議会の解散について問う住民投票を定めています。地方議会が条例を制定し、近隣自治体との合併などの個別テーマで民意を問う住民投票もあります。条例に基づく住民投票には法的拘束力はなく、首長や議会が結果を尊重しないこともあります。 自民党の改憲草案は九五条をほぼ引き継いでいますが、適用要件を明確にしています。草案Q&Aは「現行の規定では適用要件が不明確」と説明しています。 ◇ 憲法の主な条文の解説を、随時掲載しています。 ◆自民党改憲草案の関連表記九七条 特定の地方自治体の組織、運営若しくは権能について他の地方自治体と異なる定めをし、又は特定の地方自治体の住民にのみ義務を課し、権利を制限する特別法は、法律の定めるところにより、その地方自治体の住民の投票において有効投票の過半数の同意を得なければ、制定することができない。
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