----H----105-----------
----i---------------------
----y-----------------------
----o-k-k-o---------------
---------------------------
---------------------------------------------------------------
(みね子)「お母さん。お父さんが見つかりました。お父さんは東京で生きていました。ただ 信じられないと思いますがお父さんは記憶を無くしています」。
(実)ごめんなさい。
「自分の名前も覚えていません。私のことも 家族のことも覚えていません」。
すいませ~んエビ まだですかぁ?
(元治)はぁ?
(省吾)はい ただいま。
お願いします。
<もう お母ちゃんは手紙を読んでるんでしょうか…。手紙を読んだお母ちゃんの気持ちを考えっと心が痛くなります>
♪「Pon pon pon…」
♪「愛の言葉をリル」
♪「シャイなハートがドキドキ」
♪「あの日観てた“サウンド・オブ・ミュージック”」
♪「瞼閉じれば蘇る」
♪「幼い頃の大事な 宝物だけは」
♪「ずっと この胸に抱きしめて来たのさ… Ah ah」
♪「夜の酒場で Lonely」
♪「あの娘 今頃どうしてる?」
♪「さなぎは今、 蝶になって」
♪「きっと誰かの腕の中」
♪「肩寄せ合い 声合わせて」
♪「希望に燃える 恋の歌」
♪~
(茂)なんてこった…。
(茂)何で そんなこどに…。
(美代子)お父さん。
私…。
(秀俊)サーモンのムニエルでございます。
℡
(鈴子)ヒデ!(秀俊)大丈夫です 出ます。
(鈴子)お待たせ致しました。
(秀俊)もしもし すずふり亭です。はい…。
あっ はい 少々 お待ち下さい。
みね子…。
お母さん。
もしもし?
うん みね子だよ。
うん…。
♪~
℡
(世津子)はい もしもし。
あの…。
谷田部みね子です。
はい…。はい 分かりました。 はい。
大丈夫です。
お待ちしています。
失礼します。
♪~
あなたの…。
奥様がいらっしゃるそうです。
♪~
ありがとうございました。
(富)おやすみ。
おやすみなさい。
♪~
回想 ♪「星より ひそかに」
♪「雨より やさしく」
♪~
(宗男)こっちさ向いて!恥ずかしいから~ 恥ずかしい。
(宗男)はい チーズ!(シャッター音)
♪~
(次郎)おぉ 美代子 早ぇな。
おはよう。うん。
おはよう。(小太郎)おはよう。
6時39分発の上りに乗りたいんだ。お願いね。
おう! えっ? 東京が?
実 見っかったのか? えっ?
うん 半分ね…。
半分?うん…。
ごめん 次郎。今は それ以上 何にも聞かねえで。
えっ?
怖いんだ 行ぐの。
でも 私 頑張ってくっから…。
だがら 応援して お願い…。
おう… 頑張れぇ 美代子!
ありがとう。
小太郎さん。(小太郎)おう。
回想 (次郎)駅までが?
うん 6時39分発に乗りたいんだ。間に合うよね?
おう 任しとげ。
小太郎さん ちょっとだげ。(小太郎)んだ。
♪~
あのすみません 出口は どこですか?
出口は あちらです。すみません。
あっ すみません! すみません!
すみません。
♪~
(担当官)本当にね茨城から来て ご苦労なんだけど。
「いばらき」です。
「いばらぎ」じゃなくて「いばらき」です。
(担当官)はぁ?
谷田部 実といいます。
私は… 私は 出稼ぎ労働者を一人 捜してくれと頼んでるんではありません。
ちゃんと 名前があります!
茨城の 奥茨城村で生まれで 育った谷田部 実という人間を捜して下さいと お願いしてます!
ちゃんと…ちゃんと 名前があります!
♪~
回想 もし お正月にお父ちゃん帰ってこなかったら…。
帰ってこなかったらね…。
私東京に働きに行こうと思う。
♪~
愛子さん。
(愛子)行くの?はい。
あのね みね子さん あなたは…。
はい。
よく言うと いろんな人の気持ちを察することのできる人。はぁ。
悪く言うと どっちの気持ちも考えてしまってどっちつかずになってしまうところがある。
はい。
今日 あなたはお母さんだけ見てなさい。
はい。
うん… ごめんね 足 止めて。行ってらっしゃい。
はい 行ってきます。
♪~
<お母ちゃんは上野駅で会ってからほとんど 口を利きませんでした>
♪~
こご。
着物にすれば いがったかな…。
行ごう。
うん。
(ドアが閉まる音)
遠いところを申し訳ございません。川本世津子と申します。
♪~