痛風
痛風とは
更新日:2017/01/17 公開日:2014/10/16
この記事の監修ドクター
ヘルスケア大学参画ドクター
この病気・症状の初診に向いている科
内科
痛風とは、体の中に「尿酸」が増え過ぎてしまうことで起こる病気です。ここでは、ドクター監修のもと、尿酸のもとになる「プリン体」が体内に増えていく仕組みや、尿酸値が増えるとどんなことが起こるかなどをご紹介していきます。
痛風患者ってどのくらいいるの?
「痛風」の歴史は古く、アレキサンダー大王やルイ14世、ミケランジェロ、ニュートンなど、美食を好む多くの著名人たちが、この病気に悩まされてきました。
しかし日本では、明治時代より前には、痛風患者がいなかったといわれています。ところが、食生活の欧米化が進むに連れて、日本でも徐々に増え始め、現在では、約60万~70万人の痛風患者が、そして「痛風予備軍」といわれる「高尿酸血症」の人は、約600万~650万人もいると推定されています。
尿酸の原料になるプリン体とは?
痛風は、体内に「尿酸」が増え過ぎることで起こる病気ですが、この尿酸の原料となるのが「プリン体」です。プリン体は、細胞の核酸(DNA、RNA)に存在しているので、肉や魚、野菜、穀類など、ほとんどすべての食品に含まれています。
ただし、私たちの体内にあるプリン体のうち、食品から取り込まれたものは、2〜3割程度に過ぎません。残りの7〜8割は、体の中でつくられています。
私たちの体の中には、約60兆個の細胞が存在し、そのほとんどが、常に新陳代謝を繰り返すことで、私たちの生命が維持されています。細胞の中には、プリン体が含まれているので、新陳代謝のときに、古い細胞が分解されると、体内にプリン体が放出されます。
また、体のエネルギーになる「ATP」という物質もプリン体の原料となります。ATPはエネルギーとして消費されると、「ADP」に分解されますが、通常は安静にしていると、またATPに戻って再利用されます。しかし急激な運動で、大量のATPが使われると、増え過ぎたADPはATPに戻れず、プリン体になるのです。
尿酸が増えるとどうなるの?
体内でつくられたり、食品から取り込まれたりしたプリン体が、肝臓で分解されると、老廃物として尿酸ができます。そして尿酸は、腎臓から尿などとともに、体の外に排泄されます。
健康的な人の場合は、つくられる量と排泄される量が、ほぼ同じなので、体内の尿酸量が、常に一定に保たれています。ところが何らかの理由で、生産量と排泄量のバランスが崩れると、尿酸が増え過ぎて、高尿酸血症の状態になってしまうのです。
尿酸値は、7.0mg/dLまでが基準値内とされており、これ超えると、高尿酸血症と診断されます。高尿酸血症になると、血液中に溶けきれなくなった尿酸が、少しずつ結晶化してしまいます。そして尿酸結晶が、関節にたまると痛風(痛風性関節炎)に、腎臓や尿路にたまると腎臓障害(痛風腎)や尿路結石になってしまうのです。