ポジ熊の人生記

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睡眠薬で眠れない苦しい夜を乗り越えた話

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画像引用:アステラス製薬

 

かつて、睡眠薬を服用していた時期があります。

睡眠導入剤とどう違うの?というのは

結論から言ってしまうと、睡眠導入剤と睡眠薬の2つはほぼ同じものを指しています。

広義には、どちらも睡眠作用のあるお薬を総称した用語になります。そのため一般的な回答としては、「どちらも同じ意味です」が正解になります。

しかし、現場の感覚で言うと

● 睡眠薬は「眠らせる力を持つお薬全般」を指す

のに対して、

● 睡眠導入剤は「特に入眠させる力が強いお薬」のみ指す

というニュアンスの違いがあります。

睡眠導入剤ってなに??睡眠薬と何が違うの??

こちらが参考になるでしょう。

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出口のないトンネル期

本当に辛い時期でした。なかなか言葉にできない、闇が襲ってくる感じで、比喩的に申せば「出口のないトンネル」ですね。悪夢から数年が経過しましたが、未だにその時期は鮮明に覚えています。

もともと突き抜けに明るい性格はしていた(自称)のですが、無意識をコントロールできるほど達観しておらず、夜は眠れないことが多かったのです。理屈では「前を向いて生きよう」だとか「終わったことは忘れよう」などとポジティブに考えようとするのですが、22時~23時にお布団に入って健全に寝ようとしても、心の底にある黒いものが、それを許さないのですね。

まー、そこからが長いんですわ。眠れないっていうのが、こんなに苦しいものだとは想像もしていませんでした。人生初の経験ですよ。世間で「眠れないのが辛い」とのたまって薬を所望する人は多数見てきましたけど、心のどこかで「そんなものに頼らなくてもいいんじゃない?」って軽く見ていた節が自分にはありました。でも、今ならわかりますよ。当事者になってみないと、わからないものですね。

睡眠薬と出会う

知人の勧めで飲み始めた睡眠薬。その劇的な効果を体験するのに、時間はかかりませんでした。初日からバタンキューですよ。飲んで30分もしないうちにクラクラっときて、そのまま布団に沈む。見た夢を思い出せないくらいに眠り込んで、気が付けば朝なのですから。魔法ですよ、魔法。

「こんな物質が、世界には存在したの?」救世主でした。あの長い夜を越えられる。現実という悪夢の特効薬です。これがあれば、もう夜は怖くない。そう思わせてくれました。薬ってのは飲み続けると体に耐性がついてしまうらしく、飲み続けて生きるというのは現実的じゃない、というか健康的ではないのでしょう。精神科に通う人でも、薬はいつか止めたいという人も多いそうですから。僕も、薬の効果には感嘆しましたけれども、本気でいつまでもこの生活を送ろうとは思ってませんでした。

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現実世界の苦しさ

生きることは苦しみである、なんて仏教では教えるそうですが、まさにその通りだと思いますね。特に、何か嫌なことがあったり、人間関係に悩み苦しんでいる人にとってみれば、現実世界は悪夢です。そりゃ、1分1秒でも早くケツをまくって逃げたくもなるでしょうよ。かつての自分もそうでしたもん。

これは、今を順調に生きている人には、理解できない感覚です。きっとそうです。だから、そういう強者は弱者を簡単に見下したり、努力不足だなんて断じてしまうのでしょう。とても残酷な話です。慮る気持ちというのは、往々にして経験則から生み出されるのだと思います。僕がかつて、睡眠薬に頼る人に向けていた気持ちを考えると、そうなのだろうな、と。経験してみりゃ、わかりますよ。辛い経験をしたら、他人に優しくなる人もいますからね。

今でも、苦しいっちゃあ苦しいんですけど、自然と眠れる健全な日々を送れています。それはある程度心が回復しているから、以前よりもストレスに抗う力がついたというか、そういうことなんだと思います。自己肯定感を著しく毀損し、そこから衰弱している時期などは、抗ストレスのパワーは生み出せない。薬に頼るべきは、こういう時期ですよ。自分ではどうにもならない、毎日訪れる長い夜に恐怖するとき。ここで、睡眠薬に頼る。そして、いつか自然に入眠できるくらいにメンタルが回復したら、薬を断ってみる。薬を体の一部にしちゃいけない。頓服のようなものだと考えれば良いのですね。

結語

この記事で僕が何を伝えたかったかというと

まず一つ目は「眠れないというのは本当に辛いんだよ」ってことです。起きてて嫌な感情に囚われ自己嫌悪を繰り返すにも関わらず、それを忘れるために寝ることすら許されない状況というのは、経験せずとも想像で多少は理解していただけるのかなと思います。

二つ目。この苦しい時期を乗り越えるために、睡眠薬というのは特効薬になり得るんだよということ。実際に僕は救われました。感謝してもしきれません。

そして三つ目です。

堺市東区で7月中旬、少年2人が乗った車が暴走して道路脇のフェンスに衝突した事故があり、睡眠薬を飲んで車を運転したとして、大阪府警に道交法違反(過労運転等)容疑で逮捕された通信制高校生の少年(18)が「睡眠薬を飲むと気分が高揚すると聞いて服用した」と供述していることが4日、捜査関係者への取材で分かった。

“睡眠薬遊び”若者に蔓延か 衝突事故で暴走車運転の少年「気分高揚すると聞いて」 (産経新聞) - Yahoo!ニュース

娯楽に興じる目的などで使われていい物質では、決してないということ。病院から処方される薬というのは、個々の人間を診察して医師が適切な判断をして初めて渡されるわけです。それを他人に渡したり売ったりするのは、言語道断。・・・とはいっても、こういうのって、なかなか潰える犯罪じゃないのでしょうけどね。密売人の睡眠薬なんて、どう根絶して良いのかわかりません。でも、「睡眠薬は苦しんでいる人の味方であり、玩具ではない」ということを自分のブログで述べるのも、啓発の一助になると信じて書きます。

 

 

睡眠薬に助けられた立場として。

こういう報道で、睡眠薬に頼る人が思わぬ蔑視を受けることのないよう、祈りたい。