04.03
春デス!名曲「さくらさくら」を活かした洋楽集
春。桜の季節の到来である。桜といえば、誰もが知る日本の伝統曲「さくらさくら」。この曲を取り入れている洋楽曲もいくつかあり、わりと珍しいと思われるので紹介してみる。
ただし今年の開花は例年より早めだそうで、はたしてこの記事が桜の時期に間に合うのかどうかは分からない。葉桜の時期であっても、お読みいただければ幸いである。
Bon Jovi – Tokyo Road
オルゴールの音色にあわせて女性が英語なまりで歌う「さくらさくら」がイントロで流れてくる。ささやくような歌声は、五分咲きくらいの可憐で初々しい桜を連想させる。その後は流れぶった切りでボン・ジョヴィ節満開のロック・サウンドになっている。
ボン・ジョヴィは、本国アメリカよりもまず先に日本で人気の出たバンド。そのため日本のファンへの感謝をこめて、セカンド・アルバムにこの曲を収録したという。
After Romeo – TOKYO 2 LA
アフター・ロミオはアメリカのボーイズグループ。デジタルリリースした楽曲がMTV.comで立て続けに1位を獲得、高い人気と評価を得た。その後日本のソニー・ミュージックと契約し、日本からメジャーデビューする。この曲のイントロに「さくらさくら」のメロディが流れるのは、そういった背景もあるのだろう。
他にも春の陽気を思わせる軽やかな琴の音色がフィーチャーされており、ボーイズグループっぽい爽やかなポップソングに心地よいアクセントを加えている。
Cocoa Brovaz – More Fire
サビの部分で流れるレトロゲーム的なサウンドの「さくらさくら」。実はこれ、ファミコン用ボクシングゲーム「マイクタイソン・パンチアウト!!」のBGMで、対戦相手の一人、ピストン本田のテーマとして使われているものだ。だからおそらく「さくらさくら」と知っててサンプリングしたわけではないだろう。それでもというか、だからこそというべきか、ヒップホップにさくらさくら、聴いていてまったく違和感がないところがすごい。
Graeme Revell – Variation On The ‘Sakura’ (Japanese Traditional)
発表は86年。それにしても音色がチープというかパソコンゲームのBGMみたいなのだが、ここで聴かれる音は、録音した虫の音をコンピュータで変調させたものだという。かなりめんどくさそうな、いや実験的な手法だ。虫の音を楽しむ日本の風習に刺激されて制作したアルバム「Insect Musicians」からの一曲で、ブックレットには著聞集や古今集、小泉八雲などの名が見える。
グレアム・レベルは80年代のインダストリアル・ノイズ・バンド、SPKの中心人物。90年代からは映画音楽の作曲家として、おもにサスペンス・スリラーなどを中心に多数の映画を手がけている。
ところで、よくよく聴いてみるとこの伝統曲「さくらさくら」、華やかで陽気なお花見気分とはほど遠い曲調だ。幽玄で、神秘的で、アレンジによっては不気味でさえある不思議な楽曲だ。まあ、桜の樹の下には屍体が埋まっているなどというし…。いやいや、怖がらせるつもりはないので、皆さまお花見楽しんでください。