yamazakiLtd01唐突ですが、これから社会人になる人にとって、飲み会でお酒を呑む機会が増えてくるでしょう。

しかし、最近はお酒を呑むことを嫌う、 お酒が苦いだけで飲む気にもなれないという人も少なくありません。

アレルギーのような過敏症の人は別として、子供がピーマンやニンジンを嫌うようなことを成人になってもやってしまうのは恥ずかしいことです。

一方で、5年以上前からハイボールが人気となり、若い人でもハイボールからお酒を始める人もいます。そうしたことが、今のウイスキー人気のきっかけとなったといえます。

ということで、何回かに分けて、ウイスキーからお酒を始める入門編をやっていきたいと思います。


お酒の旨さとは何か?

bt_masters2毎日飲酒するベテランでも、単にお酒は酔っ払うために飲むものだ、という人は結構います。
でもそれでは、お酒の良さの半分も理解していないと思います。 

お酒は銘柄や種類によって異なる香りと味わいを楽しむことこそ肝心です。

ビールを採り上げても、単に苦いだけで終わってはいません。スーパードライは比較的香りは控えめですが、プレミアムモルツになると、ハーブのような香りと発酵によって生じる酸味が後に残りやすくなっていて、銘柄による違いが見えてきます。

ウイスキーの旨さとは?

ではウイスキーはどうでしょう?
ウイスキーとなると、その香りと味わいは千差万別です。 

ウイスキーにおいては、モルト原酒の原料である麦芽の加工方法、 醸造されたもろみといわれるビールのような醸造酒を蒸溜する釜(ポットスチル)の形状、蒸溜の回数、熟成に使用する樽の種類、保存方法や年数、そしてトウモロコシなどを原料とするグレーン原酒を含めた複数の原酒とのブレンド方法と、香りや味わいの違いを生み出す要素は数多く有ります。

主な香りや味は下記のものが有ります
  • スモーキー:大麦麦芽の成長を止めるために行うモルティングの工程で、加熱のためにピート(泥炭)を使用することで、燻製や正露丸、ヨードなどの独特の煙たさが加わります。
    最近ではピートを使用しないモルティングも行われ、煙たさも抑えられた銘柄も有ります。
  • フルーツ:ウイスキーの香りのメインになるのがフルーツの香りです。特にシェリー酒の熟成に使われた樽を使用することによって、レーズン、ブドウの香りが強く出やすくなります。
    それ以外にも、青りんご、ナシ、レモンなどの柑橘系といったさわやかな香りを伴うものも有ります。
  • ビター:苦味を伴うものも有りますが、それとともに薫るのはカカオで、ダークチョコレートのような雰囲気を持ちます。その他に柑橘系に合わせるような感じ、グレープフルーツやライムの持つ苦さを持つものも有ります。
  • スパイス:アルコールからの刺激も有りますが、それとは異なるコショウのような香りと辛さ、山椒のような痺れる感覚を備える銘柄も有ります。
  • エステリー:花のような香りという表現もありますが、特にバーボンなどでは金属向け接着剤のような溶剤に似た香りを感じることが多いです。
  • スイート:甘さを感じ取れる最大の香りはバニラで、バーボンやそれを熟成するのに使用した樽を再利用したものを熟成に使った時に香りやすくなります。
単一の蒸溜所で製造されたシングルモルトでは、特定の香りと味を持った個性が強く出やすいのに対し、ブレンデッドでは万人向けのために数十種類の原酒をブレンドするものになると、上記の香りが複雑に絡み合ってきます。

また、冒頭で紹介したように、ハイボールのように炭酸水で割る方法や、大きめの氷の入ったグラスに注いで飲むロック、さらにはそのまま飲むストレートと、様々な飲み方によって、香りや味わいが変わってくるのが、ウイスキーの面白いところです。

なぜ苦いとしか感じ取れないのか

toungueお酒を飲めない若い人の意見を聞くと「苦いとしか感じ取れず、美味いとは思えない」という感想が多く聞かれます。
その大きな理由としては、味覚の発達が関わってくることが多いです。 

子供の時の味覚への反応においては、それを食べることで有害になるのか否か、という本能的な物が大きく関わってきます。
つまり、味わって苦い、酸っぱい、しょっぱい、辛いといった好ましくない味を感じ取ったら、吐き出すなどの拒絶反応を見せます。また、実際の味の違いについても、単純なレベルでの比較しかできないことが多いのです。

しかし成長するに連れて、大脳の発達にともなって理性的に味覚を感じ取れる能力が生まれるようになり、苦いものを食べても単純に苦いとは判断せず、その奥にある別の味などを感じようとして、複雑な味わいを認識できるようになります。 

子供の時には全く食べられなかった食べ物が大人になって食べられるのも、こうした味覚の感じ方に変化があるからだといえます。

もし日常に食べているものの味覚を単純にしか言えないのであれば、理性で感じ取れる力が発達してないのかもしれませんし、そう感じる努力をしていないともいえます。

もし大人としての感覚を養いたいのであれば、子供の時に嫌いだった食べ物でも色々チャレンジしてみるといいでしょう。 久しぶりに食べてみたら意外においしかった、ということが多くやって来るでしょう。