今週火曜日放送の5時冒頭で紹介した、フィナンシャルタイムズと日経新聞の記事について、私が事実誤認して発言した部分があったので訂正します。
まず番組で紹介したのは、IMFの筆頭副専務理事、デヴィッド・リプトン氏がFTのインタビューに答えたこちらの記事。
IMFの年次総会後にインタビューに答え、日本に対して「現時点での通貨・財政政策の立場に満足している(原文:We're comfortable with the present stance of monetary and fiscal policy)」と話しています。
また、物価上昇率がこの4年ほとんど上昇せず、これを理由にアベノミクスが失敗であると日本国内で議論されていることを念頭に、政策の失敗という考えを否定し、「私はアベノミクスを成功したものとして考えなければならないと思う」(原文:Mr Lipton rejected any suggestion the policy had failed. "I think we should be considering Abenomics as something that has been successful,")と話しました。
そのあと、財政政策の急激な引き締めを戒め、代わりにIMFとしては消費税を0.5%~1%刻みで定期的に上昇させる仕組みなども提案。
昨今日本国内でも話題に上がる金融緩和の手じまい、いわゆる出口戦略についても否定しました。(原文:Mr Lipton also rejected any suggestion that the Bank of Japan should start plotting an exit from its monetary easing.)
また、賃金上昇については、去年の年次審査報告書で、政府を含めてすべての雇用者に対し年間3%賃金を上げるべきだと提案していましたが、リプトン氏はそうした議論が「進んだ」と述べています。
続けて、日経新聞のIMF年次審査報告書についての記事を紹介しました。
<国際通貨基金(IMF)は7月31日公表した日本経済の年次審査報告書で「アベノミクスは前進したが、目標には未達だ」と指摘し、日銀の金融緩和継続と政府の賃金引き上げ政策を求めた。財政政策は「中期的には健全化が必要」としつつも、短期的な財政刺激策が経済成長と物価の押し上げにつながるとの見方を示した。>
この二つの記事に関する宮崎哲弥さんとの会話の中で、
私は日経新聞の記事が上記FTのインタビュー記事を翻訳したものだと勘違いし、
「日経新聞がFTの記事を誤訳した」という主旨の発言をしています。
しかし、日経新聞の記事はFTのインタビュー記事を翻訳したものではなく、
IMF年次審査報告書をベースに、別の内容を扱った記事です。
従って、FTの記事にある"Success"を日経新聞が<未達>と誤訳して記事にしたわけではありません。
お詫びして訂正いたします。