平成30(2018)年、大名茶人として名高い出雲国(島根県)松江七代藩主、松平不昧公(1751~1818)が没後200年を迎えます。
不昧公は藩主として治世にあたるとともに、文化を愛し、とりわけ茶の湯に執心し、江戸時代を代表する茶人の一人として茶道界に大きな足跡を残しています。蒐集した茶道具を「雲州蔵帳」にまとめ、天下の名器・名物類の美の基準を示しました。
本展覧会は、不昧公の優れた審美眼で確立された茶道文化を通して、江戸後期の洗練された日本人の美意識と芸術文化の一端を紹介するものです。
東京展
平成30(2018)年4月21日(土)~6月17日(日)
三井記念美術館(東京都中央区)
島根展
平成30(2018)年9月21日(金)~11月4日(日)
島根県立美術館(島根県松江市)
不昧公にゆかりのある出雲部7ミュージアムによる合同企画展を実施します。各ミュージアムが、その館の特徴を生かし多彩な角度から展開します。
時期は、2018年の春から秋を中心に実施し、各ミュージアムが最適な時期を選び、観光客などへアピールします。推進委員会はこの合同企画展の一体的なPRやミュージアム周遊などの観光商品造成を進めます。
松江歴史館(松江市)
松江城の東に隣接し、松江藩政や城下町の形成、人々の暮らし、などの紹介の他、松江藩家老大橋家に伝わり八雲本陣(木幡家)に移築されたのち解体保存されていた茶室を復元展示しています。この茶室は約400年前に造られたもので、千利休が関わったとの言い伝えも残されている。
田部美術館(松江市)
田部家24代にわたり伝来してきた美術品の中から、不昧公の美意識で生み出された茶道関連の美術品や不昧公好みで集められたコレクションが展示の核となっている。館は松江堀川に沿う伝統美観地区塩見繩手の中心地に立地している。
平成30年10月6日(土)〜11月11日(日)〈会期中無休〉には日本各地に所蔵されている不昧公遺愛品(雲州蔵帳)の名品や出雲地方に残る不昧公かかわりの美術品約80点を特別展示する。
八雲本陣(松江市)
松江藩の役職をつとめた木幡家の邸宅で、歴代藩主の宿所ともなったことから本陣と呼ばれた。主屋、新座敷棟・飛雲閣・新奥座敷棟・奥座敷棟・新蔵・米蔵・三階蔵がいずれも国の重要文化財に指定。
可部屋集成館(奥出雲町)
松江松平藩の鉄師頭取を勤めた櫻井家が“たたら製鉄”の道具や有形民俗資料、藩主お成りの際に使用された掛け軸、床飾り等の調度品を展示する資料館。庭園は不昧公命名の「岩浪」庭園。国の重要文化財に指定。
出雲文化伝承館(出雲市)
茶室「独楽庵」は、千利休が宇治田原に建てたのち、不昧公によって護り伝えられた名席。路地庭は、不昧公が考案した三関三露と称される導入部を配し、大名好みの茶苑としては全国的にも稀有なもの。
三井記念美術館での展示会に連動し、茶の湯文化にかかわる松江市・島根県の上質な特産品を展示即売する物産展を開催します。
実施場所候補
松江の工芸品を中心とした物産の展示
松江の工芸品、物産の販売
この地には、不昧公から続く茶の湯文化が今でも脈々と息づき、歴史と伝統を受け継ぐ各流派の皆さんは活発な活動を続けられ、多くの県民・市民が、日々の暮らしの中で今も気軽なかたちでお茶に親しんでいます。また、不昧公が力を尽くされた工芸や、和菓子、料理などの文化が、今も引き継がれています。
このような不昧公を祖とする文化を育むとともに、市民・県民はもとより、国内外の観光客に向けて、松江・島根ならではの茶の湯の世界を発信するための「不昧公200年祭記念茶会」を島根県茶道連盟や各流派、関係諸団体のご協力で開催します。
また、「不昧公200年祭記念茶会」や200年祭で実施される様々な取り組みを通して、課題である各流派の後継者づくりや、市民の関心を高めて茶の湯文化の裾野の拡大につなげていく、大きな契機としていきます。
※「不昧公200年祭記念茶会」で実施する具体的な茶会のかたちや、実施時期、会場などについては、次回の記念事業推進委員会(10月か11月を予定)を目途に、「茶道部会」で引き続き検討を進めます。
また、記念茶会のみならず、後継者づくりや市民の関心を高め裾野を拡大していくための取り組みについても、今後の「茶道部会」で検討する。