この投稿の目的は以下の通りである。
□ 決して一般の 静岡県民が家庭で無茶に大量の電気を使っているわけではないことを以下に経産省のデータ、また一部電力業界からのデータをもとに示す。どこの県の家庭も同じくらいの消費量だ。データがそれを示している。
□ むしろ、静岡の産業が頑張ってもの作りをしているせいなのか、産業の利用する電力が多い事に注目すべきだ。(←これは後で参照する別の方が2010年のデータをもとに作られた資料ではっきりしているかと思う。)2010年には静岡県の産業利用の電力量は4位だ。私の現時点での経済産業省のデータのおおまかな解析もその方向にいっていると思うが、これは最新データを基にしたグラフにはできてない。時間がとれない。残念だ。そのような県別の産業利用の電力量データがすでにあればうれしいが。ご存知の方があれば教えて欲しい。
以下は上のデータをもとに判断した主張である。正否は読者が判断していただきたい。なお、自分でデータを調べて行った過程にそって説明しているので、まだるっこく感じられるかもしれないが、むしろそうすることでデータの意味を考えてもらえるかもしれないと思い、あえてそうしている。
□ 以下のデータを見ていくと、もし電力不足を心配しているあるいはしなければならない人がいるとすれば、それはまず第一に電力不足を心配している(?本当に心配しているのかはなはだ疑問だが?)静岡県、特に西部の産業界の人達のはずである。普通に暮らしている一般家庭が電力供給を心配する前に、産業界が前にたってこの問題をとりあげるべきだ。安定した供給がえられないかもしれないと不安ならば、県全域などを考えた上で(場合によれば県境越えても全然良いと私は思うが)、安全の確保ができる人口密度が低い地域を県民の総意の元に選択して候補にして発電所誘致を考えるべきだ。
さて肝心のデータの説明を以下に行っていこう。
以下の説明で◎印と星印を使う。◎はデータそのもの、あるいはデータからの明らかな帰結の文章の先頭に書いた。★はデータを見た私の感想の先頭に書いた。
□ 1 県別 需要供給バランス量
まず県別の発電量と消費(需要)の差を見てみよう。
利用するデータ:経産省の公表しているデータである。
http://www.enecho.meti.go.jp/statistics/electric_power/ep002/results.html
各種統計情報(電力関連)
http://www.enecho.meti.go.jp/statistics/electric_power/ep002/results_archive.html
過去のH28年のデータがあるのでそれを利用する。
この中で、発電実績 というのが発電量となる。
2-(2) 都道府県別発電実績 (xlsx形式:112KB)NEW
需要実績というのが実際の消費となる。
3-(2) 都道府県別電力需要実績 (xlsx形式:118KB)NEW
都道県別発電実績の総発電量から、需要量を引いたものを県別に赤字で大きな方から見てみよう。赤字ということは (発電量 − 需要量)がマイナスということだ。
(注意:先日の投稿でも述べたが、私は県単位で自給自足なんて無理だし、そうする必要はないという立場であることに注意されたい。)

グラフ1:県別 H.28年度 発電量―消費量(単位:1,000 kWh)
◎ 都道府県の統計をみると半数以上 25の都道府県が赤字で、自給自足できてない。
◎ 高知県から上が赤字の県だ。
◎ 静岡は赤字の4番目にいる。
★ 正直ちょっと驚いた。
なぜ静岡は4番目なのかと思っていろいろ調べてみた。
□ 2 一人あたりの(発電量ー消費量)を計算してみる。
当たり前だが、人口が多ければ県全体の消費量は当然大きくなる。
各県の人口のデータ出所:人口データはこっちを使った。
総務省 統計局の「政府統計の総合窓口(e-Stat)」を利用した。
トップページ > 統計データ新着情報一覧 > 最新結果一覧 > 統計表一覧
https://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020103.do?_toGL08020103_&listID=000001154737&requestSender=estat
16-01 【総計】都道府県別人口、人口動態及び世帯数
https://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020103.do?_xlsDownload_&fileId=000007687067&releaseCount=1
上の後者からダウンロードした値を使っている。

グラフ2:県別 H.28年度 一人あたりの(発電量―消費量)(単位:1,000 kWh)
◎ 私が先の投稿で発電の利が無いと述べた 滋賀県 が人口あたりの電力の赤字では筆頭だ。
★多少納得。地理の勉強をした甲斐があったのかな?
◎ 静岡は 群馬の次、東京の前の5番目である。
★ 静岡がそんなにエネルギー効率悪いのかと思いつつ、静岡に住む知人の顔を思い浮かべてもそんなに個人のレベルで電気無駄使いしてないだろうと思うのだが。
=> あとで説明するが、個別の家庭の使用料はそんなに県別で変わらないことが分かった。ちょっと安心した。
□ 3 総需要量 - 低電圧 の需要:
はたと気づいて、電力総需要量から低電圧部分の需要を引いたもの、すなわち主に産業目的の利用分の量の様子をみてみる。これは産業の利用量の目安だ。(一部のマンションなど高圧で電力供給しているところもあるが、ここでは大まかな傾向をつかむためのグラフ化である。)

グラフ3:県別 H.28年度 総需要量―低電圧需要)(単位:1,000 kWh)
◎ 総量でみれば 東京が一番だ。
◎ 静岡は8位だ。そこそこ多い部類。
□ 4 一人当たりの(総需要量 - 低電圧 の需要量)
前とおなじように一人当たりの(総需要量 - 低電圧 の需要量)を計算してみよう。

グラフ4:県別 H.28年度 総需要量―低電圧需要(単位:1,000 kWh)
◎ これも人口あたりにしてみると、三重、富山、福井がトップ3番で ときて 静岡県は愛知県に次ぐ11位である。
◎ 一人当たりの産業電力利用が一番少ないのは沖縄で、奈良県がそれに次ぐ。
★ 沖縄は第二次産業があまりそだってないことがこれで分かる。地理の勉強だ。
★ 静岡県は11位であり、上位に位置しているといえなくもないが、他の県に混じっていて突出しているわけではないようだ。
□ 5. 一人あたりの低圧需要量
家庭での個人あたりの使用料のおおまかな目安として一人あたりの低圧需要量を計算してみた。

グラフ5:県別 H.28年度 一人あたりの低電圧需要(単位:1,000 kWh)
◎ 静岡は下から13番めである。
◎ ただし、よくみるとこの値は県によるばらつきが少なく、ごくわずかな範囲に県がひしめきあっている。
★ つまり個人の家庭における電力消費量はそんなに県毎に極端に変わらないことが想像できる。
★ おそらく毎年、わずかな変動で位置があがったり下がったりしているはず。つまり各県の位置はどんぐりのせいくらべで、毎年かなり順位が入れ替わっている可能性がある。
★ ひとりあたりの低圧需要なんてそんなに極端に全国的にはかわらないのだろう。
★ 南北の差とかはあるかもしれない。福井、沖縄、石川、富山の上位は沖縄が冷房、他の3件が暖房で電力利用が多いのかなどと想像ができる。
★ 静岡県の個人の電力使用量が無暗に多くなければ、あとは産業の利用が多いとしか思えない。それは次にあげる経産省のデータと電力業界のデータで検証されてその通りといってよいかと思う。
ここまででは、低電圧の部分を家庭の利用として、それを引いたものを産業の利用とするというような、ずいぶん粗い推測をしたが、経産省とか電機業界はもう少ししっかりした分類データを作っている。その代り集計に時間がかかる。
一つは経産省が作っている産業別のエネルギー使用量統計であり、エネルギーの分類の中に電力が入っており、県別の産業による電力使用量がこれで推定できる。(推定できるといったのは、電力会社経由の送電量を元にしていて、自家発電分がはいっていないかもしれないからだ。だが、今回の議論の他から持ってくる必要があるのかどうかには、この自家発電分は考える必要がないのでむしろ好都合かもしれない。)
もうひとは電力業界が個別家庭の電力使用量の目安として発表している都道府県別使用電力量(電灯)、「電灯使用電力量」である。
□ 産業別の使用量統計によるランキング
他の方の作ったグラフを参照していただきたい。
都道府県データランキング 『電力消費量』
データソース:そこでのデータは経産省が2014年に発表した2010年のデータに基づいている。
各種統計情報(エネルギー消費統計)都道府県別エネルギー消費統計
◎ データから分かること: 2010年における産業界による電力の消費量でいくと愛知、兵庫、神奈川についで、静岡は4番目である。やはり静岡の産業の電力利用量は多い部類だ。
★ もっと新しいデータ、昨年H28年12月に公開されたデータでグラフを自分で作り替えたいが、まだ手がついてない。
□ 3. 個別家庭の電力量:電灯使用電力量÷世帯総数
古いデータ事例をインターネットでみつけた。
鳥取県がグラフを出している。http://www.pref.tottori.lg.jp/secure/327896/00000420082062.pdf
データソース:一番下の資料出所によれば、分子は総務省統計局ウェブの「社会生活統計指標」、分母は務省自治行政局「住民基本台帳人口要覧」から取ったとのこと。
◎ H.17年データ 静岡県の家庭は多い方から20番目。鳥取県は8番目だ。
◎ だけど、前後の数値をみればわかるが せまい範囲にひしめきあっていて、ちょっとの数値のぶれで簡単に位置が大きく変動することが分かる。0.2あがればいきなり13位前後に上がるし、0.2さがれば25位前後に下がる。
★ 私がグラフ5のところで述べた「★ つまり個人の家庭における電力消費量はそんなに県毎に極端に変わらないことが想像できる。」ことを実証している。
課題:上の産業界の電力消費量のデータを2016年12月に公開されたデータでおきかえたり、電力業界の電灯使用量の最新統計をしらべて、より新しい. 個別家庭の電力量グラフとかを示したかったんだが、時間がとれない。一方、いろいろな点で追い詰められた駅前発電所がなりふりかまわず、自給自足できてなくていいのかみたいな宣伝文句をだしてきそうなので、そのまえに清水区民、静岡市民、静岡県民に理論武装をしてほしく思い、この段階の内容で投稿した。
結論:前の投稿でものべたことを繰り返すが、今回の投稿で、決して一般の 静岡県民が無茶に大量の電気を使っているわけではないことを示せたと思う。むしろ、静岡の産業が頑張ってもの作りをしているせいなのか、産業の利用する電力が多い事に注目すべきだ。だから、もし電力不足を心配しているあるいはしなければならない人がいるとすれば、それはまず第一に電力不足を引き起こしている産業界の人達のはずである。普通に暮らしている一般家庭の前に産業界が前にたってこの問題をとりあげるべきだ。
天変地異で電力供給がなくなる可能性を、本当に静岡県(という言い方も非常に曖昧で誰が主体か不明で困ったものだが、静岡県の「産業界」だろうか。) が心配しているのであれば、私の発表資料でも説明したように 静岡県全体で人口密度などを勘案した条件をもとに場所を県民の総意のもとで選定し、そこに発電所を誘致したらどうだろうか?
付録1: なお、経産省のデータファイルをダウンロードして(2-2 都道府県別発電実績)、それに需要実績のデータを加え、さらに世帯、人口数などを加えた表計算ファイルを作成した。これからグラフを作った。
http://blog.livedoor.jp/zephyrus_yk/2-2-%E9%83%BD%E9%81%93%E5%BA%9C%E7%9C%8C%E5%88%A5%E7%99%BA%E9%9B%BB%E5%AE%9F%E7%B8%BE%E2%80%95%E4%BB%96%E3%83%BCH28-base-Rev03.xlsx
上のファイルはFirefoxの場合右クリックしてリンクをセーブするとファイルに書き込める。
そうでないと、文字化けしたXMLファイルが表示されるようだ。
付録2: なお、経産省の都道府県別データの公開ファイルにはいくつか改良すべき点がある。
簡単に述べると以下のような問題だ。
北海道から始まり、沖縄に至る都道府県の順番はきまっているようだ。
都道府県別のデータのファイルについては、すべてのファイルがその順番でデータが入っているように見える。これは良い。
一つの問題は、データの「合計」の行が都道府県データの「前」にある場合と、「後ろ」にある場合があることだ。できれば統一してほしかったと思う利用者は多数いるだろう。まあ、これは意識して対処するしかない。
もう一つのかなり困る本質的な問題は、順番を示す都道府県番号を明示して、列データに入れてほしかったことだ。それが入っていれば、いろいろなデータ値でソートをしたあとでも、都道府県番号でソートしなおせば、一番最初の表示順番に戻すことができる。これは重要だ。あとから別ファイルのデータを組み合わせて利用する際には、一番最初の北海道ではじまり、沖縄で終わる順序になっていないといけない。そうでないと別のファイルからデータ列をコピー&ペーストで追加できない。
残念ながら私の上のファイルは、元のファイルにも入っていなかった都道府県番号の列を入れるのを忘れたので、特定のデータでソートをしてしまったあとなので、元の北海道からはじまり沖縄で終わる順番に戻すには一つ一つ手でならべ変えるしかない(かな?))
ちなみに経産省や総務省の一部の都道府県別データの公開ファイルには県名に続く列にその都道府県番号がはいっていたので、この問題を意識をしてデータを公開している人、部署もいるようだ。しかし、そういったことを意識せずにデータを作っているところもあるようで、データをいろいろ活用したい時の基礎教養として意識向上が望まれる。
□ 決して一般の 静岡県民が家庭で無茶に大量の電気を使っているわけではないことを以下に経産省のデータ、また一部電力業界からのデータをもとに示す。どこの県の家庭も同じくらいの消費量だ。データがそれを示している。
□ むしろ、静岡の産業が頑張ってもの作りをしているせいなのか、産業の利用する電力が多い事に注目すべきだ。(←これは後で参照する別の方が2010年のデータをもとに作られた資料ではっきりしているかと思う。)2010年には静岡県の産業利用の電力量は4位だ。私の現時点での経済産業省のデータのおおまかな解析もその方向にいっていると思うが、これは最新データを基にしたグラフにはできてない。時間がとれない。残念だ。そのような県別の産業利用の電力量データがすでにあればうれしいが。ご存知の方があれば教えて欲しい。
以下は上のデータをもとに判断した主張である。正否は読者が判断していただきたい。なお、自分でデータを調べて行った過程にそって説明しているので、まだるっこく感じられるかもしれないが、むしろそうすることでデータの意味を考えてもらえるかもしれないと思い、あえてそうしている。
□ 以下のデータを見ていくと、もし電力不足を心配しているあるいはしなければならない人がいるとすれば、それはまず第一に電力不足を心配している(?本当に心配しているのかはなはだ疑問だが?)静岡県、特に西部の産業界の人達のはずである。普通に暮らしている一般家庭が電力供給を心配する前に、産業界が前にたってこの問題をとりあげるべきだ。安定した供給がえられないかもしれないと不安ならば、県全域などを考えた上で(場合によれば県境越えても全然良いと私は思うが)、安全の確保ができる人口密度が低い地域を県民の総意の元に選択して候補にして発電所誘致を考えるべきだ。
さて肝心のデータの説明を以下に行っていこう。
以下の説明で◎印と星印を使う。◎はデータそのもの、あるいはデータからの明らかな帰結の文章の先頭に書いた。★はデータを見た私の感想の先頭に書いた。
□ 1 県別 需要供給バランス量
まず県別の発電量と消費(需要)の差を見てみよう。
利用するデータ:経産省の公表しているデータである。
http://www.enecho.meti.go.jp/statistics/electric_power/ep002/results.html
各種統計情報(電力関連)
http://www.enecho.meti.go.jp/statistics/electric_power/ep002/results_archive.html
過去のH28年のデータがあるのでそれを利用する。
この中で、発電実績 というのが発電量となる。
2-(2) 都道府県別発電実績 (xlsx形式:112KB)NEW
需要実績というのが実際の消費となる。
3-(2) 都道府県別電力需要実績 (xlsx形式:118KB)NEW
都道県別発電実績の総発電量から、需要量を引いたものを県別に赤字で大きな方から見てみよう。赤字ということは (発電量 − 需要量)がマイナスということだ。
(注意:先日の投稿でも述べたが、私は県単位で自給自足なんて無理だし、そうする必要はないという立場であることに注意されたい。)
グラフ1:県別 H.28年度 発電量―消費量(単位:1,000 kWh)
◎ 都道府県の統計をみると半数以上 25の都道府県が赤字で、自給自足できてない。
◎ 高知県から上が赤字の県だ。
◎ 静岡は赤字の4番目にいる。
★ 正直ちょっと驚いた。
なぜ静岡は4番目なのかと思っていろいろ調べてみた。
□ 2 一人あたりの(発電量ー消費量)を計算してみる。
当たり前だが、人口が多ければ県全体の消費量は当然大きくなる。
各県の人口のデータ出所:人口データはこっちを使った。
総務省 統計局の「政府統計の総合窓口(e-Stat)」を利用した。
トップページ > 統計データ新着情報一覧 > 最新結果一覧 > 統計表一覧
https://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020103.do?_toGL08020103_&listID=000001154737&requestSender=estat
16-01 【総計】都道府県別人口、人口動態及び世帯数
https://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020103.do?_xlsDownload_&fileId=000007687067&releaseCount=1
上の後者からダウンロードした値を使っている。
グラフ2:県別 H.28年度 一人あたりの(発電量―消費量)(単位:1,000 kWh)
◎ 私が先の投稿で発電の利が無いと述べた 滋賀県 が人口あたりの電力の赤字では筆頭だ。
★多少納得。地理の勉強をした甲斐があったのかな?
◎ 静岡は 群馬の次、東京の前の5番目である。
★ 静岡がそんなにエネルギー効率悪いのかと思いつつ、静岡に住む知人の顔を思い浮かべてもそんなに個人のレベルで電気無駄使いしてないだろうと思うのだが。
=> あとで説明するが、個別の家庭の使用料はそんなに県別で変わらないことが分かった。ちょっと安心した。
□ 3 総需要量 - 低電圧 の需要:
はたと気づいて、電力総需要量から低電圧部分の需要を引いたもの、すなわち主に産業目的の利用分の量の様子をみてみる。これは産業の利用量の目安だ。(一部のマンションなど高圧で電力供給しているところもあるが、ここでは大まかな傾向をつかむためのグラフ化である。)
グラフ3:県別 H.28年度 総需要量―低電圧需要)(単位:1,000 kWh)
◎ 総量でみれば 東京が一番だ。
◎ 静岡は8位だ。そこそこ多い部類。
□ 4 一人当たりの(総需要量 - 低電圧 の需要量)
前とおなじように一人当たりの(総需要量 - 低電圧 の需要量)を計算してみよう。
グラフ4:県別 H.28年度 総需要量―低電圧需要(単位:1,000 kWh)
◎ これも人口あたりにしてみると、三重、富山、福井がトップ3番で ときて 静岡県は愛知県に次ぐ11位である。
◎ 一人当たりの産業電力利用が一番少ないのは沖縄で、奈良県がそれに次ぐ。
★ 沖縄は第二次産業があまりそだってないことがこれで分かる。地理の勉強だ。
★ 静岡県は11位であり、上位に位置しているといえなくもないが、他の県に混じっていて突出しているわけではないようだ。
□ 5. 一人あたりの低圧需要量
家庭での個人あたりの使用料のおおまかな目安として一人あたりの低圧需要量を計算してみた。
グラフ5:県別 H.28年度 一人あたりの低電圧需要(単位:1,000 kWh)
◎ 静岡は下から13番めである。
◎ ただし、よくみるとこの値は県によるばらつきが少なく、ごくわずかな範囲に県がひしめきあっている。
★ つまり個人の家庭における電力消費量はそんなに県毎に極端に変わらないことが想像できる。
★ おそらく毎年、わずかな変動で位置があがったり下がったりしているはず。つまり各県の位置はどんぐりのせいくらべで、毎年かなり順位が入れ替わっている可能性がある。
★ ひとりあたりの低圧需要なんてそんなに極端に全国的にはかわらないのだろう。
★ 南北の差とかはあるかもしれない。福井、沖縄、石川、富山の上位は沖縄が冷房、他の3件が暖房で電力利用が多いのかなどと想像ができる。
★ 静岡県の個人の電力使用量が無暗に多くなければ、あとは産業の利用が多いとしか思えない。それは次にあげる経産省のデータと電力業界のデータで検証されてその通りといってよいかと思う。
ここまででは、低電圧の部分を家庭の利用として、それを引いたものを産業の利用とするというような、ずいぶん粗い推測をしたが、経産省とか電機業界はもう少ししっかりした分類データを作っている。その代り集計に時間がかかる。
一つは経産省が作っている産業別のエネルギー使用量統計であり、エネルギーの分類の中に電力が入っており、県別の産業による電力使用量がこれで推定できる。(推定できるといったのは、電力会社経由の送電量を元にしていて、自家発電分がはいっていないかもしれないからだ。だが、今回の議論の他から持ってくる必要があるのかどうかには、この自家発電分は考える必要がないのでむしろ好都合かもしれない。)
もうひとは電力業界が個別家庭の電力使用量の目安として発表している都道府県別使用電力量(電灯)、「電灯使用電力量」である。
□ 産業別の使用量統計によるランキング
他の方の作ったグラフを参照していただきたい。
都道府県データランキング 『電力消費量』
データソース:そこでのデータは経産省が2014年に発表した2010年のデータに基づいている。
各種統計情報(エネルギー消費統計)都道府県別エネルギー消費統計
◎ データから分かること: 2010年における産業界による電力の消費量でいくと愛知、兵庫、神奈川についで、静岡は4番目である。やはり静岡の産業の電力利用量は多い部類だ。
★ もっと新しいデータ、昨年H28年12月に公開されたデータでグラフを自分で作り替えたいが、まだ手がついてない。
□ 3. 個別家庭の電力量:電灯使用電力量÷世帯総数
古いデータ事例をインターネットでみつけた。
鳥取県がグラフを出している。http://www.pref.tottori.lg.jp/secure/327896/00000420082062.pdf
データソース:一番下の資料出所によれば、分子は総務省統計局ウェブの「社会生活統計指標」、分母は務省自治行政局「住民基本台帳人口要覧」から取ったとのこと。
◎ H.17年データ 静岡県の家庭は多い方から20番目。鳥取県は8番目だ。
◎ だけど、前後の数値をみればわかるが せまい範囲にひしめきあっていて、ちょっとの数値のぶれで簡単に位置が大きく変動することが分かる。0.2あがればいきなり13位前後に上がるし、0.2さがれば25位前後に下がる。
★ 私がグラフ5のところで述べた「★ つまり個人の家庭における電力消費量はそんなに県毎に極端に変わらないことが想像できる。」ことを実証している。
課題:上の産業界の電力消費量のデータを2016年12月に公開されたデータでおきかえたり、電力業界の電灯使用量の最新統計をしらべて、より新しい. 個別家庭の電力量グラフとかを示したかったんだが、時間がとれない。一方、いろいろな点で追い詰められた駅前発電所がなりふりかまわず、自給自足できてなくていいのかみたいな宣伝文句をだしてきそうなので、そのまえに清水区民、静岡市民、静岡県民に理論武装をしてほしく思い、この段階の内容で投稿した。
結論:前の投稿でものべたことを繰り返すが、今回の投稿で、決して一般の 静岡県民が無茶に大量の電気を使っているわけではないことを示せたと思う。むしろ、静岡の産業が頑張ってもの作りをしているせいなのか、産業の利用する電力が多い事に注目すべきだ。だから、もし電力不足を心配しているあるいはしなければならない人がいるとすれば、それはまず第一に電力不足を引き起こしている産業界の人達のはずである。普通に暮らしている一般家庭の前に産業界が前にたってこの問題をとりあげるべきだ。
天変地異で電力供給がなくなる可能性を、本当に静岡県(という言い方も非常に曖昧で誰が主体か不明で困ったものだが、静岡県の「産業界」だろうか。) が心配しているのであれば、私の発表資料でも説明したように 静岡県全体で人口密度などを勘案した条件をもとに場所を県民の総意のもとで選定し、そこに発電所を誘致したらどうだろうか?
付録1: なお、経産省のデータファイルをダウンロードして(2-2 都道府県別発電実績)、それに需要実績のデータを加え、さらに世帯、人口数などを加えた表計算ファイルを作成した。これからグラフを作った。
http://blog.livedoor.jp/zephyrus_yk/2-2-%E9%83%BD%E9%81%93%E5%BA%9C%E7%9C%8C%E5%88%A5%E7%99%BA%E9%9B%BB%E5%AE%9F%E7%B8%BE%E2%80%95%E4%BB%96%E3%83%BCH28-base-Rev03.xlsx
上のファイルはFirefoxの場合右クリックしてリンクをセーブするとファイルに書き込める。
そうでないと、文字化けしたXMLファイルが表示されるようだ。
付録2: なお、経産省の都道府県別データの公開ファイルにはいくつか改良すべき点がある。
簡単に述べると以下のような問題だ。
北海道から始まり、沖縄に至る都道府県の順番はきまっているようだ。
都道府県別のデータのファイルについては、すべてのファイルがその順番でデータが入っているように見える。これは良い。
一つの問題は、データの「合計」の行が都道府県データの「前」にある場合と、「後ろ」にある場合があることだ。できれば統一してほしかったと思う利用者は多数いるだろう。まあ、これは意識して対処するしかない。
もう一つのかなり困る本質的な問題は、順番を示す都道府県番号を明示して、列データに入れてほしかったことだ。それが入っていれば、いろいろなデータ値でソートをしたあとでも、都道府県番号でソートしなおせば、一番最初の表示順番に戻すことができる。これは重要だ。あとから別ファイルのデータを組み合わせて利用する際には、一番最初の北海道ではじまり、沖縄で終わる順序になっていないといけない。そうでないと別のファイルからデータ列をコピー&ペーストで追加できない。
残念ながら私の上のファイルは、元のファイルにも入っていなかった都道府県番号の列を入れるのを忘れたので、特定のデータでソートをしてしまったあとなので、元の北海道からはじまり沖縄で終わる順番に戻すには一つ一つ手でならべ変えるしかない(かな?))
ちなみに経産省や総務省の一部の都道府県別データの公開ファイルには県名に続く列にその都道府県番号がはいっていたので、この問題を意識をしてデータを公開している人、部署もいるようだ。しかし、そういったことを意識せずにデータを作っているところもあるようで、データをいろいろ活用したい時の基礎教養として意識向上が望まれる。
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