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【プロ野球】

「ふーあーゆー」が海を越えた

2017年8月1日 紙面から

米国・ネバダ州で行われたDeNA・ウィーランドの祖父の葬儀で、展示された5月9日付「ふーあーゆー」

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 5月9日付の「ふーあーゆー」で紹介したのが、DeNAの新外国人ジョー・ウィーランド投手(27)。今年91歳で亡くなったばかりの偉大なるグランパ(祖父)、ビッグ・ジョーさんについて熱く語った男を、2カ月半ぶりに訪ねると、これまた面白くて心温まる話を聞くことができた。

 読んでいない人もいるかもしれないし、読んでいても忘れているかもしれないので、5月9日付掲載の「ふーあーゆー」を簡単に説明する。

 5月4日に来日2勝目を挙げたウィーランドは亡くなったばかりの偉大なる祖父、ビッグジョーに白星をささげた。自分の最大の理解者であり、最大の批評家であったビッグジョー。義理人情に厚く、みんなに愛され、肉体的ハンディをものともせず、人生に立ち向かったビッグジョー。ウィーランドは熱く語った。そして「心の中で生き続けるビッグジョー」の見出しが躍った。それから、約2カ月半ぶりの再会で私にサプライズが待っていた。

 -ウィーさん、お久しぶりです

 「おー。記事読んだよ。ありがとうね」

 -マジですか!? 問題なかったですか!?

 「掲載されてすぐにメールでアメリカの両親に送ったんだ。で、両親がプリントアウトして拡大して。父の職場の同僚が日本語ができるから英訳してもらって。リノ(ネバダ州)の教会での葬式には、オリジナル版と、英語版が展示されたんだ」

 -ワオー。マジですか!?

 光栄です。あなたも帰国せず、野球に専念することを選んだけど、ある意味、お葬式に参列したようなものですね

 「ユーのおかげだ」

 -ビッグジョーには会ったこともないけど、親近感湧いてきて。私もお葬式に参列させていただいたような気分です

 「翻訳を見たい? ほら、これだよ」

 メールで送られてきた「ふーあーゆー英語版」を見せてくれた。しばし、読みふけった私は驚愕(きょうがく)せざるを得なかった。

 「パーフェクトな翻訳! アンビリーバボー!! おまけに、ジーニアス(天才)。一語一句違わない。いや、原文以上で私も泣けてきましたあー」

 私は「きっと、ウィーランドの温かいスマイルも偉大なるビッグジョーが残してくれたものなのだろう」と結んだが、英語版では「Perhaps Great Big Joe left this warm smile in Joe」と英訳されていた。ふーあーゆーがリズミカルな韻を踏んだポエムに変身していた!!

 -ありがとう、ジョー!

 「いや、こちらこそ、サンキュー」

 選手と報道陣が行き交うベンチ裏で世にも珍しい「日米ありがとう合戦」が展開された。正直、手前みそな話かもしれないが、そうそうある話でもない。「ふーあーゆー」は海を越えるべくして越えた。最初からそういう運命にあったのだ。期せずして、横浜の空に描かれた「日米善意の懸け橋」に、私はちょっとだけ、スピリチュアルな気分になっていた-。(竹下陽二)

 

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