民間宇宙ロケット エンジンを緊急停止 宇宙空間に到達せず

民間宇宙ロケット エンジンを緊急停止 宇宙空間に到達せず
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北海道のベンチャー企業が単独で開発・製造した国内初の民間宇宙ロケットは、30日午後4時半すぎ、北海道大樹町の発射場から打ち上げられましたが、ロケットの位置などを示すデータが得られなくなったためエンジンが緊急停止されました。ロケットは、海上に落下したということで目標の宇宙空間には到達しませんでした。
北海道のベンチャー企業「インターステラテクノロジズ」が開発・製造した国内初となる民間宇宙ロケットは、30日午後4時半すぎ、北海道大樹町から打ち上げられました。

しかし、ロケットの位置や速度などを示すデータが、打ち上げから66秒後に得られなくなったため、直ちに地上から信号を送ってエンジンを緊急停止させました。ロケットは発射場の沖合6キロ余りの海上に落下したと見られ、回収を急いでいます。
現時点のおおまかな解析では、ロケットの高度はおよそ20キロにとどまったと見られ、目標としていた100キロ以上の宇宙空間には到達しませんでした。

宇宙ロケットの開発は、これまでJAXA=宇宙航空研究開発機構が主導して行われていて、国内では初めて民間企業が単独で宇宙空間に到達できるかどうか注目が集まっていました。

インターステラテクノロジズの稲川貴大社長は「途中までは順調だったが、宇宙到達という目標の一歩手前で何らかのトラブルが起きた。なるべく早く原因究明をして、よりよいものを作っていきたい」と話していました。

稲川社長「大きな成果ある一歩」

インターステラテクノロジズの稲川貴大社長は、ロケットの打ち上げられた後の午後5時すぎにパブリックビューイングが設置された北海道大樹町の多目的航空公園に姿を見せ、打ち上げを見に訪れていた人にあいさつをしました。

その中で稲川社長は「途中まで順調に打ち上がったが、70秒から80秒後に突如、ロケットと指令所の間の無線が途切れる現象が起きた。その時点で緊急停止の指令を地上から送り、エンジンをストップさせた。打ち上げから80秒のところがいちばん風を強くうけるところで、ここを抜ければ、空気がうすくなり、一気に宇宙にいくことができる」と話していました。

そのうえで稲川社長は「詳細な解析が必要だが、高度30キロから40キロまで上ったのではないか。宇宙まで行く一歩手前のところで何らかの不具合が起きた。実験というのが大前提で、目標には到達していないが、大きな成果がある一歩だと思っている」と話していました。

堀江貴文さん「次か 次の次には宇宙へ」

インターステラテクノロジズの創業者のひとりで実業家の堀江貴文さんは「目標は達成できなかったが、実際に空を飛んだことでたくさんデータが取れた。今後解析して開発に役立てていけば、次か、次の次の打ち上げでは宇宙に行けると思う」と話していました。

今回の計画は

北海道の大樹町に本社があるインターステラテクノロジズは、実業家の堀江貴文さんが創業者の1人となっている社員14人のベンチャー企業です。

前身となる組織を含めると、10年以上ロケットの開発を続けてきました。
今回打ち上げられたロケットは、成功すれば、打ち上げから落下までのあいだに4分間ほど無重力状態が得られることから、これを利用したさまざまな実験の機会を研究機関や企業に提供するビジネスを今後、展開したいとしています。

さらにこの会社は、人工衛星を搭載できるロケットを3年後の2020年を目標に打ち上げ、衛星打ち上げビジネスにも参入したいとしています。

宇宙ビジネスをめぐっては、超小型衛星を打ち上げて地上の様子を撮影するなどビジネスに活用する動きがアメリカを中心に広がりつつあります。

これまで日本では、国が主導する形で宇宙ロケットの開発が進められてきましたが、この会社では、低価格に徹底的にこだわり、国内の新たな市場を切り開こうとしています。

ロケット「MOMO」とは

今回、このベンチャー企業が開発・製造したロケットは、打ち上げ費用を抑えることに徹底的にこだわっています。

ロケット機体やそのエンジンは、社員みずからが低価格の市販の材料や部品を購入して製作しました。例えば、燃料をエンジンに送るための調整用のバルブには、ネット通販で購入した電動式ねじ回しのモーターを使っています。ロケットに必要な最低限の性能を持たせながら、コストを可能な限り抑えているのです。
JAXA=宇宙航空研究開発機構の同じようなロケットの数分の1という1回当たり数千万円での打ち上げを目指しています。

また、最先端の技術は使わず、あえて作業工程の少ないシンプルな設計にして、今後、大量生産することも計画しています。

ロケットの名前は「MOMO」(もも)。目標の高度100キロを漢数字にした「百」の読み方に由来しています。

発射場の北海道大樹町

今回ロケットが打ち上げられた大樹町は北海道の東部に位置しています。町の南側と東側は太平洋に面して開けていることから人工衛星の打ち上げに適しているとされています。

気象条件にも恵まれ、町ではこうした立地を生かして30年ほど前から宇宙関連産業の誘致を進めてきました。

平成7年に完成した1000メートルの滑走路がある多目的航空公園では、JAXA=宇宙航空研究開発機構などが気球や無人の航空機を利用してさまざまな実験を行っています。

大樹町では、民間企業による宇宙ビジネスが広がれば、雇用の創出など、地域の活性化につながるのではないかと期待が高まっています。

日本政策投資銀行の試算によりますと、国が検討を進めている新たなロケットの発射場が大樹町に整備された場合、設備投資や観光客の増加などで道内全体に年間267億円の経済効果が及ぶとしています。

民間宇宙ロケット エンジンを緊急停止 宇宙空間に到達せず

北海道のベンチャー企業が単独で開発・製造した国内初の民間宇宙ロケットは、30日午後4時半すぎ、北海道大樹町の発射場から打ち上げられましたが、ロケットの位置などを示すデータが得られなくなったためエンジンが緊急停止されました。ロケットは、海上に落下したということで目標の宇宙空間には到達しませんでした。

北海道のベンチャー企業「インターステラテクノロジズ」が開発・製造した国内初となる民間宇宙ロケットは、30日午後4時半すぎ、北海道大樹町から打ち上げられました。

しかし、ロケットの位置や速度などを示すデータが、打ち上げから66秒後に得られなくなったため、直ちに地上から信号を送ってエンジンを緊急停止させました。ロケットは発射場の沖合6キロ余りの海上に落下したと見られ、回収を急いでいます。
現時点のおおまかな解析では、ロケットの高度はおよそ20キロにとどまったと見られ、目標としていた100キロ以上の宇宙空間には到達しませんでした。

宇宙ロケットの開発は、これまでJAXA=宇宙航空研究開発機構が主導して行われていて、国内では初めて民間企業が単独で宇宙空間に到達できるかどうか注目が集まっていました。

インターステラテクノロジズの稲川貴大社長は「途中までは順調だったが、宇宙到達という目標の一歩手前で何らかのトラブルが起きた。なるべく早く原因究明をして、よりよいものを作っていきたい」と話していました。

稲川社長「大きな成果ある一歩」

インターステラテクノロジズの稲川貴大社長は、ロケットの打ち上げられた後の午後5時すぎにパブリックビューイングが設置された北海道大樹町の多目的航空公園に姿を見せ、打ち上げを見に訪れていた人にあいさつをしました。

その中で稲川社長は「途中まで順調に打ち上がったが、70秒から80秒後に突如、ロケットと指令所の間の無線が途切れる現象が起きた。その時点で緊急停止の指令を地上から送り、エンジンをストップさせた。打ち上げから80秒のところがいちばん風を強くうけるところで、ここを抜ければ、空気がうすくなり、一気に宇宙にいくことができる」と話していました。

そのうえで稲川社長は「詳細な解析が必要だが、高度30キロから40キロまで上ったのではないか。宇宙まで行く一歩手前のところで何らかの不具合が起きた。実験というのが大前提で、目標には到達していないが、大きな成果がある一歩だと思っている」と話していました。

堀江貴文さん「次か 次の次には宇宙へ」

インターステラテクノロジズの創業者のひとりで実業家の堀江貴文さんは「目標は達成できなかったが、実際に空を飛んだことでたくさんデータが取れた。今後解析して開発に役立てていけば、次か、次の次の打ち上げでは宇宙に行けると思う」と話していました。

今回の計画は

北海道の大樹町に本社があるインターステラテクノロジズは、実業家の堀江貴文さんが創業者の1人となっている社員14人のベンチャー企業です。

前身となる組織を含めると、10年以上ロケットの開発を続けてきました。
今回打ち上げられたロケットは、成功すれば、打ち上げから落下までのあいだに4分間ほど無重力状態が得られることから、これを利用したさまざまな実験の機会を研究機関や企業に提供するビジネスを今後、展開したいとしています。

さらにこの会社は、人工衛星を搭載できるロケットを3年後の2020年を目標に打ち上げ、衛星打ち上げビジネスにも参入したいとしています。

宇宙ビジネスをめぐっては、超小型衛星を打ち上げて地上の様子を撮影するなどビジネスに活用する動きがアメリカを中心に広がりつつあります。

これまで日本では、国が主導する形で宇宙ロケットの開発が進められてきましたが、この会社では、低価格に徹底的にこだわり、国内の新たな市場を切り開こうとしています。

ロケット「MOMO」とは

今回、このベンチャー企業が開発・製造したロケットは、打ち上げ費用を抑えることに徹底的にこだわっています。

ロケット機体やそのエンジンは、社員みずからが低価格の市販の材料や部品を購入して製作しました。例えば、燃料をエンジンに送るための調整用のバルブには、ネット通販で購入した電動式ねじ回しのモーターを使っています。ロケットに必要な最低限の性能を持たせながら、コストを可能な限り抑えているのです。
JAXA=宇宙航空研究開発機構の同じようなロケットの数分の1という1回当たり数千万円での打ち上げを目指しています。

また、最先端の技術は使わず、あえて作業工程の少ないシンプルな設計にして、今後、大量生産することも計画しています。

ロケットの名前は「MOMO」(もも)。目標の高度100キロを漢数字にした「百」の読み方に由来しています。

発射場の北海道大樹町

今回ロケットが打ち上げられた大樹町は北海道の東部に位置しています。町の南側と東側は太平洋に面して開けていることから人工衛星の打ち上げに適しているとされています。

気象条件にも恵まれ、町ではこうした立地を生かして30年ほど前から宇宙関連産業の誘致を進めてきました。

平成7年に完成した1000メートルの滑走路がある多目的航空公園では、JAXA=宇宙航空研究開発機構などが気球や無人の航空機を利用してさまざまな実験を行っています。

大樹町では、民間企業による宇宙ビジネスが広がれば、雇用の創出など、地域の活性化につながるのではないかと期待が高まっています。

日本政策投資銀行の試算によりますと、国が検討を進めている新たなロケットの発射場が大樹町に整備された場合、設備投資や観光客の増加などで道内全体に年間267億円の経済効果が及ぶとしています。