日韓朗読音楽劇
『はにかみの国』~石牟礼道子「菊とナガサキ」考~
"私の内なるナガサキ"を巡って―
原爆投下から70年・日韓国交50年、ナガサキを顧みる精神の旅
日時 : | 2015 年10 月8 日(木) |
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昼公演 :開場13:30 開演14:00 | |
夜公演 :開場18:30 開演19:00 |
場所 : | 千種文化小劇場 |
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◎ 地下鉄 桜通線 吹上駅 7番出口 徒歩 3分(地図はコチラ) |
料金 : | 前売 3500 円 (当日 4000円) |
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原作 | : | 石牟礼道子 | 菊とナガサキ 被爆朝鮮人の遺骨は黙したまま |
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はにかみの国 死にゆく朝の詩 |
イニョンの活動はお陰様で5年目を迎えました。歩み出した当初、日本では「韓流」韓国では「日流」が人々を熱烈に惹きつけていました。それを好機に、伝統舞台芸術の面でも交流を深めたいとの思いから私たちの活動は始まったのです。
しかしその後、両国間は政治的にぎくしゃくし、それにつれ市民の熱も急に冷めて行きました。あろうことか声高なヘイトスピーチが巷を席巻するような事態まで起きています。両国市民の結びつきはそのように脆弱で、私たちの求めている「絆」は幻にすぎないのでしょうか。この脆さの根っこには、お互いに一人一人がきちんと両国間の歴史に向き合って来なかったこと、そこを避けて来たことがあるようにも思えます。折しも今年は戦後70年、そして日韓国交50年に当たります。私たちの交流活動も、ここを見据えて展開するべき時なのでしょう。
そのような思いを込めて、10月8日、日韓朗読音楽劇『はにかみの国』をお届けします。石牟礼道子さんの3篇の著作を基に創作する作品です。石牟礼さんは、水俣病の患者さんをめぐる多くの作品で著名な方ですが、「菊とナガサキ(正・続)」も同様に、長崎の朝鮮半島出身被爆者、その死者や遺族の一人一人に向き合い、心の底から深く思いを受け止めつつ筆を進めたルポルタージュ(1968年)です。怒りと悲しみに満ちた作品です。さらに「菊とナガサキ」は形を変えて、長編詩「はにかみの国」にも結実しました(1974年)。今回の舞台の大団円では、詩の全篇を、李政美さんの歌声を中心に即興演奏も含んだ音楽舞踊劇に仕立てます。
千種の円形舞台と、それを取り囲む観客席とが一つになって70年前を顧み、その後の70年を考え、そして未来に希望を見出す、確かな時となりますように。
「ピカよりより強かピカばもういっぺん落っちゃかせ」
出演 | : | 歌う女(現の私) | 李政美 |
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読む女 | 火田詮子 | ||
読む男 | 天野鎮雄 | ||
踊る女(故人) | 景山紀子 | ||
舞う女(故人) | 李英愛 | ||
小鼓 | 久田舜一郎 | ||
ピアノ | 村濱ひかり | ||
スタッフ | : | 構成・演出 | 齋藤敏明 |
作曲 | 押山晶子 | ||
舞台監督 | 福田由佳 | ||
音響 | 尾嶋砥 (株)アクセス | ||
照明 | 花植厚美 FLOWER PLANT | ||
制作 | 金井美晴・杉浦榮治・長谷川かをり | ||
映像 | 山田定臣 +Bright |
主催 : | NPO法人 日韓舞台芸術友の会 絆 イニョン |
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協力 : | 劇座 |
久田舜一郎名古屋後援会・トウトウ会 | |
後援 : | 名古屋市 |
名古屋市教育委員会 | |
公益財団法人名古屋市文化振興事業団 |
1968年夏の長崎。石牟礼道子さんが誠孝院(じょうこういん)を訪れます。ロウソクの灯をたよりに腕いっぱいの黄色い菊をかかえて。地下道に放置された154柱の遺骨に捧げるために。それは長崎の原爆で亡くなった朝鮮半島出身者たちの遺骨のほんの一部でした。挺身隊(ていしんたい)として来ていた女子学生もたくさんおり、着ていた白いチマチョゴリだけが溶け残って、長崎の石畳に貼りついていたそうです。舞台では、案内の朴さんや金さん、遺族の母らの話に耳を傾ける石牟礼さんの、心の遍歴をたどります。
天野鎮雄(あまの しずお)
愛知県出身。劇団「劇座」代表。NHK名古屋放送劇団、文学座研究生などを経て、68年東海ラジオ「ミッドナイト東海」の初代パーソナリティはじめラジオ・テレビにも出演し、「アマチン」の愛称で親しまれる。85年、妻の山田昌らと劇団「劇座」を結成。付属俳優養成所「名古屋劇塾」を設立。「フィガロの結婚」、名古屋市文化振興事業団公演「マイフェアレディ」、「やっとかめ探偵団1〜6」、名古屋市民芸術祭公演「飢餓海峡」、名古屋市芸術特賞受賞記念公演「機嫌の好い海」ほか舞台出演多数。愛知県芸術選奨文化賞、名古屋芸術選奨大賞、文部科学大臣賞ほか受賞。
火田詮子(ひだ せんこ)
18歳のとき、名古屋のアンダーグランド演劇界の草分け「シアター36」に参加。そのとき「あなたは女優にだけはむいてない」といわれたのがきっかけで女優を志す。その後40年あまり子育て中も休むことなく舞台に立ち続け、叙事と叙情を行き来できる役者としてその評価は高い。また映画出演、詩の朗読、ブレヒトソング(99年CD発表)のライブなども行っている。名古屋演劇史に残る多数の作品に出演:「寿歌」「VOICEの横断」「高丘親王航海記」他。また、長年スペイン公演を挙行する劇団クセックACTへ、毎回出演している: 「血の婚礼」「人生は夢」他
久田 舜一郎(ひさだ しゅんいちろう)
大倉流小鼓方。重要無形文化財総合指定保持者。日本能楽会会員、能楽協会大阪支部常議員。愛知県出身、西宮市在住。98年第5回日本伝統文化奨励賞、07年大阪府知事表彰、11年兵庫県功労者文化功労表彰。海外公演にも多数参加。能囃子の可能性と普及を追及し、国内外の多様なジャンルのアーティストとの共演・共同制作にも力を注いでいる。名古屋でも、ジャズの齋藤徹やミッシェル・ドネダ、箏の沢井一恵などと共演。当会主催では、金利惠らとの「韓舞『望恨歌』」、辛恩珠らとの「音楽と舞踊のトポロジー/共感するカラダ」で、その鼓と掛け声により圧倒的な舞台空間を創出している。
村濱 ひかり(むらはま ひかり)
石川県出身。県立小松高等学校を経て、名古屋音楽大学音楽学部ピアノコースを卒業。ピアノ・声楽演奏会、定期演奏会、卒業演奏会に出演。卒業演奏会では、トリをつとめる。同大学主催「オーケストラとソリストの夕べ」にソリストとして出演。第36回中部読売新人演奏会 出演。「フレッシュコンサートin金沢2015」 出演。その他にも愛知県を拠点に、ランチタイムコンサートやロビーコンサート等、多くの演奏活動を行っている。指導者、伴奏者としても活動中。また、即興演奏や作編曲にも精力的に取り組んでおり、より幅広い音楽活動に注力している。
李政美(이정미/いぢょんみ / Lee Jeongmi)
東京・葛飾生まれの在日韓国人2世。国立音楽大学声楽科卒業。音大在学中に朝鮮の伝統音楽、世界の民族音楽に興味を持ち、朝鮮民謡、フォーク ソング、フォルクローレなどを歌いはじめる。その後、94年に詩人・山尾三省と出会い、彼の詩「祈り」に曲をつけて歌ったのをきっかけにオリジナル曲を作りはじめ、以来オリジナルを中心にジャンルを超えた幅広いレパートリーで、ライ ブ、コンサートを展開。03年には韓国・ソウ ルで初のソロコンサートを実現し、韓国の聴衆を魅了する。現在、年間100余りのコンサートを行い、心にしみとおるその深く透明な歌声は、日韓両国の根強いファンに支えられている。
景山紀子(かげやま のりこ)西川文紀(にしかわ ふみのり)
俳優養成所「名古屋劇塾」一期生、卒業後「劇座」に在籍し多くの舞台・映像に出演。日本舞踊は5歳から始め、88年西川流名取・師範職となり、98年「紀和会」を発足、主宰する。劇座を退座後は、芝居や日本舞踊に留まらず、他ジャンルとのコラボレーション等幅広く活動。主な出演作品、演劇:「怪談・牡丹燈籠」「女殺し油地獄」「焼けたトタン屋根の猫」「花咲くチェリー」、舞踊:「鷺娘」「静と知盛」「京鹿子娘道成寺」、舞踊劇「蔵の中」、歌と朗読と舞踊のコラボレーション「千一夜物語」等。名古屋音楽大学非常勤講師。
李英愛(이영애/ いよんえ/Lee Young-Ae)
東京都出身の在日韓国人三世。幼い頃より踊りへの想いを抱く。大人になりヨガを始めたことで、なにか内側からの声、身体感覚を感じ始める。2009年に祈りの舞に出会い、阿利師に師事する。2014年春より、ひとり、舞の道を歩み始める。ご縁をいただく中で、知人のライブ、神社でのご奉納、自然の中、慰霊祭や平和祭などで踊らせていただく。心と身体と魂、大自然とのつながりを大切に、楽しみながら模索探求の日々。生かされていることを忘れずに泣き笑い、舞い踊り、生きていきたいと思っている。
プレ企画 名古屋市女性会館(イーブルなごや)にて