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【社会】

籠池前理事長夫妻 逮捕 補助金詐取容疑 核心は国有地8億円値引き

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 大阪地検特捜部は三十一日、国の補助金をだまし取ったとして詐欺の疑いで、学校法人「森友学園」(大阪市)の前理事長籠池泰典(かごいけやすのり)(本名・康博)容疑者(64)と妻諄子(じゅんこ)(本名・真美)容疑者(60)を逮捕した。籠池容疑者はこれまで不正への関与を否定しており、関係者によると、二人は黙秘する方針という。この日は二十七日に続き、二度目の出頭要請だった。

 学園を巡っては二月、大阪府豊中市で開校を予定した小学校の用地となった国有地が、八億円余り値引きされ売却された問題が発覚。名誉校長に一時就いた安倍晋三首相の妻昭恵氏の意向が影響したかなど、疑惑が山積している。

 逮捕容疑では二〇一六年二月下旬ごろ、小学校校舎を巡り、京都市の設計事務所役員と共謀した上、工事費を水増しした工事請負契約書を国土交通省が委託した一般社団法人に提出し一六年三月~一七年二月、約五千六百万円を詐取したとされる。この問題では三通の金額が異なる契約書の存在が判明。国交省側に提出したのは最も高い約二十三億八千万円で、特捜部は正しいのは約十五億五千万円と判断した。

 補助金は木造建築技術の普及を目的とする内容で、学園は三月下旬に全額を返還。だが関係者によると、特捜部は金額が大きく、返還は契約書の問題が発覚した後だったとして悪質性は高いとしている。

 特捜部は三月、補助金適正化法違反容疑の告発を受理し、設計事務所や施工業者らを任意聴取するなど捜査を進めてきたが、より法定刑が重い詐欺容疑を適用した。

<解説> 森友学園の前理事長籠池泰典容疑者らの逮捕で、補助金不正を巡る捜査は節目を迎えた。しかし、この事件の核心はほかにある。なぜ学園が八億円余りの値引きを受け、国有地を購入することができたかだ。

 学園が小学校建設のために購入した土地の評価額は、近畿財務局の算定で当初九億五千六百万円だった。しかし、昨年三月に地中から生活ごみや廃材が見つかったため撤去費用が差し引かれ、一億三千四百万円になった。

 近畿財務局はごみの量を一万九千五百トンと見積もって値引き額を算出したという。しかし、小学校の施工業者が豊中市に報告したごみの排出量は百九十四トン。撤去費算定の不自然さなどが国会で追及されたが、財務省の佐川宣寿(のぶひさ)前理財局長(現国税庁長官)は「売買交渉の記録は破棄した」として物証を示さないまま、「取引は適正」と繰り返した。

 大阪地検特捜部は、近畿財務局の職員が国有地を不当に安く売却したとする背任容疑でも捜査を続ける。大幅値引きの裏で、森友側とどのようなやりとりがあったのか。値引きの過程で何らかの忖度(そんたく)や、政治家側からの働き掛けがあったのか。徹底した捜査を期待したい。 (望月衣塑子)

 

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