例年,サピックス6年社会では、「ステップアップカード」という暗記カード教材が配布され、暗記課題とされる。まず、「歴史重要年代」168枚が6年2月に、次に「公民重要語句」192枚が6年夏期講習中に配布される(2015年までは夏期講習にまとめて配付されていた)。計360枚である。
歴史重要年代のほうは,5年時にしっかり勉強していた子にとっては覚えているものも多く,負担は軽いだろう。ざっとチェックして覚えていないもののみ集中すればすむ。これに対し,公民重要語句のほうは,なかなか見慣れない用語も多いはずで,覚えるのもたいへんである。
暗記カードといっても,配布時にはカード状態になっていない。B4サイズの1シートあたり,ヨコ3×タテ8=24枚のカードが切り取り線とともに両面に印刷されている。それが歴史、公民あわせると15シートある。
これを自分でカットしてカードを作成し,穴開けしてリングを通すことが要求されている。15シートあるから,結局24×15=360枚ものカードをせっせと手作業で作成しなければならない。
しかも,いくら丁寧な作業を心がけたところで,きれいな仕上がりになどなりやしない。切り取り線自体,必ずしも精緻に引かれているわけではなく,指定どおりにしてもカードのサイズはまちまちになる。これを避けたければ,最終的に,裁断機で化粧断ちでもするほかないだろう。
まことに原始的で,ご苦労なことである。
そこで私の出番である。
サピックスステップアップカードの全内容をAnki単語帳形式に変換した。
Ankiは,PC/スマホいずれにも対応した,高機能の暗記システムである。
Ankiに取り込んだものは,後述のように,学習者の学習履歴,覚え具合の申告をもとに,記憶の定着に資するタイミングで自動的に再出題される。
少なくとも,“みなが不揃いな紙のカードで勉強しているなか,最新の環境で学習してる私って有利かも(*^_^*)”のように,気分が盛り上がってやる気になるという効果は期待できる。
期間限定公開である。数日後には限定記事化する。
サピックスステップアップカード.apkgを 今すぐダウンロード
- Ankiソフト本体をPC(Windows or Mac)にインストール
Anki公式サイトから,PC用・Mac用など,自分のOS環境にあわせたファイルをダウンロードし,指示に従ってインストールする。
※外部記事:「高機能暗記カード・アプリ「Anki」で、覚える効率が飛躍的にあがった」の図入りの解説がわかりやすい。そこにもあるように,AnkiWebへの登録も同時にやってしまったほうが後々のためにてっとり早い。 - Anki単語帳「サピックスステップアップカード.apkg」をPC上のAnkiソフトに「読み込む」。具体的な手順は以下のとおり。
- PC上のAnkiを起動する。
- Ankiのファイルメニューから「読み込む」を選択する。
- ファイル選択ダイアログが開く。下部の「ファイルの種類」を「Anki単語帳パッケージ(*.apkg *.zip)」とした状態で,先に本記事からダウンロードした「サピックスステップアップカード.apkg」を選択する。すると,下記の図のように「サピックスステップアップカード」がAnkiのオープニング画面の単語帳一覧に現れる。図では我が家が使用中の単語帳がずらっと出ているが,初めて利用して「サピックスステップアップカード」を読み込んだだけであれば,一覧にあらわれるのもそれのみとなる。これで,準備は完了である。
- Ankiを開いた直後の単語帳一覧画面における「サピックスステップアップカード」の左側に「+」印がある。これをクリックすると,「公民重要語句」と「歴史重要年代」というサブメニューが現れる。
※公民重要語句の左の+をクリックすると,さらに「日本国憲法」と「現代の国際社会」というサブメニューが現れる。 - 演習したい項目をクリックする。たとえば,「歴史重要年代」をクリックすると以下のようになる。
- 「学習する」をクリックすると,問題演習が開始する。問題画面は以下のとおり。
- 自分なりの解答を頭で考えたうえ「解答を表示」をクリックする。すると解答解説画面となる。
- 歴史重要年代の場合,解答時にはじめて時代区分も表示する。
- 上のように,歴史重要年代では,解説欄に年代語呂合わせを表示するが,これはサピックスステップアップカードには存在しない。私が覚えやすさのために追加したものである。
- 解答解説の内容をみて確認・学習したうえで,その時点での自分の定着具合をふまえ,「もう一回」「普通」「簡単」のうちから,選択する。間違えたなら当然「もう一回」だろうし(1分後に再出題される),即答レベルで知っていたなら「簡単」を選択する(当分再出題されない)。このようにして,1問ごとに適切な復習タイミングをソフトが自動で判断してくれるのが,PCならではの便利なところである。
Ankiにはスマホ版(iPhone/iPad/Android)もある(iPhone/iPad版は有料3,000円)。Ankiwebサイト(登録無料)を介して,PC上の単語帳と学習履歴を同期するので,PCとスマホとで学習を継続することができる。外部記事「Anki になれた方に iPhone をすすめたい理由」を参照。
下記はiPhone/iPodTouch/iPad用アプリ「Ankimobile」上で動作するAnki単語帳「ステップアップカード」である(iPodTouchにて撮影)。
Ankiは,一日に集中的に一気にやるというより,毎日一定の学習量でコツコツ学習することを積み上げていくのが最も想定された使い方である(英単語であれば毎日20個程度という使い方が多い)。そのため,あらかじめ設定された問題数を解きおわると,その上限を超えては学習できないのが原則である。しかし,そもそもの1週間の学習量が膨大な中学受験学習の場合,それではノルマがこなせなくて困るという場合が多々生じる。デフォルトの状態では、上限を20個と少なめなので(単語帳名の右の歯車の「オプション」-「1日の新規カードの上限」で設定を変更することもできる),それでは物足りない場合が考えられる。そのような時,上限を超えた問題数を解く機能もAnkiには用意されている。「カスタム学習」である。具体的な操作方法については,外部記事「フィルター単語帳でAnki学習をカスタマイズしよう」の「カスタム学習の紹介」を参照してほしい。
「重要度:★★★」や「重要度:★★」といった基本問題のみを抽出して学習したり,逆に,「重要度:★」の発展問題のみを抽出して学習したりすることができる。
各問題には,「重要度:★★★」「重要度:★★」「重要度:★」というタグが登録されている。これを以下のように利用するのである。
<重要度指定の手順>
- メインウィンドウで単語帳「サピックスステップアップカード」の勉強したい単元を選択し、画面下の[カスタム学習]ボタンを押す。
- 「カードの状態やタグを選んで学習する」→「全てのカードを無作為に選択(詰め込みモード)」を選択した状態で「タグを選択」ボタンをクリック。
- 「次のタグの中から1つ以上を指定する」にチェックを入れ,その下のタグリストから,「重要度:★★★」「重要度:★★」「重要度:★」のうち解きたいものを選択し「OK」をクリックする。
- 「カスタム学習セッション」という特別な単語帳が生成される。そこで学習する。単語帳の名称をわかりやすいものに変更しておくとよい(例:「サピックスステップアップカード(重要度★★以上)」)。
くわしくは,外部記事「フィルター単語帳でAnki学習をカスタマイズしよう」の「カスタム学習の紹介」を参照してほしい。
サピックス6年夏期講習における社会は,このステップアップカードの暗記と,地理データバンクの暗記が2つの柱である。
我が子たちの中学受験時には,サピックス生ではなく,社会は6年夏期ももっぱら自宅学習であったが,この2つはいずれも当時のアメンバーさんから譲り受け,しっかり身につけることができた(深く感謝している)。サピックスに通っているかどうかにかかわらず,暗記しておいて損はない内容である。非サピックス生にもおすすめしたい。とくにステップアップカード「歴史重要年代」は5年後期の歴史学習の時期から使用してもよいだろう。
なお,公民重要語句は2017年度最新版だが、歴史重要年代は2016年度版である。歴史重要年代については最新版のデータを入手するか、昨年度版からの変更点をメッセージでご指摘いただければ修正したい。
更新履歴
2015年7月15日
- 初公開。2012年度版を元データとして使用。
2015年末
- 限定記事化。
2016年2月25日(長男の東大受験初日)
- 歴史重要年代を2016年度版最新版に更新。
- せっかく更新したので、期間限定再公開。
2016年5月8日
- 限定記事化。
2017年7月31日
- 公民重要語句を2017年度版最新版に更新。期間限定公開。