秀俊は料理人なので、料理の練習をちゃんとすることが役作りの基になると思いました。収録が始まる3ヶ月くらい前からプロのシェフに指導を受けて、すべてを真似(まね)することから始めたんです。まず教わったのは当時使われていた鉄の包丁を研ぐ方法です。今も収録で使っている包丁は毎日家に持ち帰り、さびないように研いでいます。
キャベツの千切りは家でたくさん練習して、一時期、部屋がキャベツだらけになっていました…。会話をしながら切るシーンもあるので、今では“ノールック千切り”ができるようになりました(笑)。省吾さん(佐々木蔵之介)や元治先輩(やついいちろう)の背中を見て学ぶ秀俊という役を、最後まで心(しん)を持って演じたいと思っています。
個性的なキャラクターが主張しあいながら一つにまとまっている場所が「すずふり亭」です。見ている人も「訪れてみたいなぁ」と思うなつかしい温かさを感じますよね。言いたいことは言う。でもお互いのことを家族のように思いあっている。本当にすてきなお店です。
宮本信子さんと佐々木蔵之介さんは、「鈴子ならこう動く」「省吾の性格ならこう行動する」と、お店にくるお客さん一人一人の対応も、役としての自然な動きを追求しています。細かい所作や動線などを監督と相談しているところを見ていると、「動き一つでキャラクターの思いは絶対に伝わるんだろうなあ」と、細かい役作りの大切さを感じています。
みね子に対しては、家の事情も知っているので支えたい気持ちとともに、「かわいい人だな」とは思っているかもしれないです。ぼく自身の考えでは、島谷がみね子のことが好きと知ったとき、やっと自分の恋心10%ぐらいに気付く。「あれ?もしかして、自分も気になっているのかな」という感じです。この先、みね子のことを秀俊も好きになってきて「えー、どうしよう!」という展開になったりするのかなと、いろいろ想像して演じました。
その後もみね子と2人のシーンでは、まだ恋するそぶりを見せていないので、どうなるんでしょうね。みね子に対して呼び捨てに変わって、ぐっと恋心が高まっているものの、島谷とのことや、仕事のこともあるので、まだ100%の恋心ではないです。みね子も秀俊もかなり鈍感そうですし…。高子さん(佐藤仁美)あたりが間に入ってくれないと、なにも始まらないんじゃないでしょうか(笑)。
実際に田舎から出てきたばかりの女性に会ったことがないのですが、東京に来たばかりで勝手が分からない雰囲気の人にはいろいろ教えてあげたいと思いますね。母性本能の逆?なんて言うんでしょう(笑)。
みね子は小悪魔的なところがある気がします。男女問わず人を引き付ける魅力がある女の子だと思うので、きっともっと知っていくと…怖いですね。
多分、本人は絶対にそう思っていないですけど、そんな風に魅了してしまう部分もありそうなので、僕も身近にみね子がいたら、「取られたくない。自分のものにしたい」と思うんじゃないですかね。