129/129
129.ダブルレコード
朝。テルルのダンジョン、地下一階。
訳あって、ニホニウムじゃなくてまずはテルルに来た。
エンカウントしたスライムを通常弾で倒す。
撃ち抜かれたスライムははじけ飛んで爆発四散、その直後にドロップする。
もやし、そして砂金を。
両方拾い上げて、交互に見比べる。
左手のもやし、右手の砂金。
どっちもスライムからドロップされた、同時にドロップした。
地下一階を回って、何匹か追加でスライムを倒す。
ドロップは全部、もやしに砂金のオマケがついた。
ドロップしたものを魔法カートでエルザのところに送ってから、地下二階に降りる。
見た目はほぼ一緒の眠りスライムが生息する地下二階。
テルル地下二階のドロップはニンジン、そしてまわりの冒険者が倒した眠りスライムからは間違いなくニンジン「だけ」がドロップしている。
遭遇した眠りスライムを通常弾で撃ち抜くと、そいつはニンジンと砂金をドロップした。
やっぱり砂金はあった。元のドロップに加えて砂金がオマケでついてきた。
「やっぱり精霊の加護なのか……」
思わず声に出してつぶやいてしまう。
砂金と言えばアウルム、そしてアウルムといえば昨日のキス。
そしてキスと言えば――。
ストレートにそこと繋がる様なことじゃないが、今起きてる出来事は間違いなく「加護」って呼ばれる様なものだ。
アウルムにキスをされて、俺はモンスターを倒した時オマケで砂金がドロップされるようになった。
☆
昼、ダンジョンでセレストを捕まえて、一旦外にでた。
話があると人気のないところに移動し、アウルムの事を話した。
最初は驚いたが、静かに話を最後まで聞いてくれた。
「なんでも砂金のオマケがついてくるようになったの?」
「何でもって訳じゃない、ダンジョンのモンスターだけだ。テルルでもアルセニックでも、ニホニウムでもオマケがついた。ニホニウムのはちょっとだけ驚いた」
「ダンジョンの……と言うことは……?」
頷く俺。
「ハグレモノには出なかった」
答えると、セレストはやっぱり、って顔をした。
頭のいい彼女は俺の話からすぐに推測出来てたみたいだ。
「それはアウルム、あの精霊からもたらされた力なのね」
「おれはそう思ってる。だからセレストにききたいんだけど、過去にこういう例はあったのか? 精霊の存在は都市伝説レベルで知られてたみたいだけど」
そう、初めてアウルムとあったとき、彼女からそんな事を聞いていた。
非常に確率が低いが普通の冒険者が精霊のいる場所にたどり着ける可能性があって、それは実際にあったこと。
冒険者やダンジョン協会からも似たような話を聞いた。ダンジョンの精霊は都市伝説レベルでは知られている。
過去にも精霊とあった人間がいるのなら、精霊の加護はどうなんだろう。
聞かれたセレストは腕を組んで首をひねり、考え込んだ。
「どうなのかしらね、精霊というのは非常に気まぐれという言い伝えならいくつか知っているけど、精霊にあったからといって加護を得られたというのは聞かないわ」
「ああ、気まぐれなのは何となく分かる」
実際アウルムもそうだった。
「ごめんなさい、リョータさんの役に立てなくて……」
「いやいや、セレストが謝ることはない。情報が少ないのは仕方ない事だ」
「ありがとう……。でもすごいわね。何を倒しても砂金が追加でドロップしてくるのなら、リョータさんは今まで以上に稼げるということになるわね」
「砂金って言っても量は大した事じゃないんだ。直接アウルムのダンジョンで倒すよりも遥かに少ない量。オマケだな」
「そうなの……」
「一日フルでやって、稼ぎが倍程度になるってとこだな」
「すごいじゃないの!」
突っ込みのような大声を出すセレスト。
「今までの一日の記録がたしか300万ピロなのよね」
「ああ」
「それの倍?」
「ああ、今朝同じ条件でチャレンジしてみたら様々な野菜プラス砂金で600万ピロの稼ぎになった」
「すごいじゃないの……」
セレストは呆れ半分、感心半分って顔をした。
「リョータさんそのうち、一日で1千万超えるようになりそう」
「そうなるといいな」
やっぱり1千万というのは大台的な数字。
通帳の預金残高が1千万超えたときも嬉しかったから、一日の稼ぎがもし1千万超えられるのならやって見たい。
今は多分むりだけど、そのうち、だな。
「実際に聞いてみた方が早いのではないかしら」
「……そうだな」
セレストの言うとおりだ、アウルムの加護なのかとここであれこれ推測するより本人に聞いた方が早い。
実際、アウルムとアルセニックはダンジョンレベルで精霊の加護の様なものがある。
アウルムはドロップが増えて、アルセニックは常時モンスターが増える月殖状態だ。
この二つはいずれも精霊本人にきいて確認している事で、アウルムも聞いた事を知っている。
ならば人間にも加護がかかるのかを直々に話を聞くのが早い、と彼女が思うのも仕方ない。
仕方ない、けど。
俺は複雑だ。
アウルムの加護が本当なら、その原因は俺にしたキスだろう。
それを聞きに行くのはさすがに恥ずかしいし、何か違う気がする。
何かもっと別の方法はないか、と考えつつセレストと帰路につく。
屋敷の中に戻ってくると、やけに騒がしかった。
「何かあったのか?」
「エミリーの声ね、エルザの出張所の方から聞こえてくるわ」
「行ってみるか」
アウルムの事を棚上げにする提案だが、セレストは何の疑いもなく同意した。
俺たちはエルザに割り当てた、燕の恩返しの出張所に向かった。
そこに声で判明した通り、エミリーとエルザの二人がいた。
「あっ、お帰りなさいリョータさん」
「お帰りなのです!!」
同時にこっちに気づいてお帰りと言ってくれた二人だが、エミリーのテンションがいつになく高かった。
「どうしたエミリー、なんかいいことあったのか?」
「はいです! 私自己新記録をだしたのです」
「自己新記録?」
「一日の稼ぎの自己新記録ですよ」
エルザが冷静に、でもやっぱり嬉しそうに補足説明する。
「なんと50万ピロですよ」
「すごいじゃないかエミリー!」
「おめでとうエミリー!」
俺とセレストはエミリーを祝福した、エミリーはえへへ、と照れくさそうに笑った。
「しかし50万って、ずいぶんと一気に伸びたな。何かあったのか?」
「おじいちゃんのおかげなのです」
「おじいちゃん?」
「はいです。ヨーダさんから話を聞いておじいちゃんに転送部屋でご飯を届けてあげたら、アルセニックでお花が出るのが増えたのです」
わくわくしたまままくし立てるエミリー、興奮しているため話が若干分かりにくい。
が、今の俺はすぐにある事を連想出来た。
「エミリーにも……精霊の加護が?」
エミリーの顔はますますニコニコして、俺の連想が正しいのだと無言で答え合わせをしてくれたのだった。
8万ポイントまであと1000ちょっとになりました、これからも頑張ります!
面白かったらブクマ、評価もらえると嬉しいです。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
この小説をブックマークしている人はこんな小説も読んでいます!
進化の実~知らないうちに勝ち組人生~
柊誠一は、不細工・気持ち悪い・汚い・臭い・デブといった、罵倒する言葉が次々と浮かんでくるほどの容姿の持ち主だった。そんな誠一が何時も通りに学校で虐められ、何とか//
-
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
-
連載(全101部)
- 11629 user
-
最終掲載日:2017/07/02 11:09
無職転生 - 異世界行ったら本気だす -
34歳職歴無し住所不定無職童貞のニートは、ある日家を追い出され、人生を後悔している間にトラックに轢かれて死んでしまう。目覚めた時、彼は赤ん坊になっていた。どうや//
-
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
-
完結済(全286部)
- 10418 user
-
最終掲載日:2015/04/03 23:00
転生したらスライムだった件
突然路上で通り魔に刺されて死んでしまった、37歳のナイスガイ。意識が戻って自分の身体を確かめたら、スライムになっていた!
え?…え?何でスライムなんだよ!!!な//
-
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
-
完結済(全303部)
- 11822 user
-
最終掲載日:2016/01/01 00:00
LV999の村人
この世界には、レベルという概念が存在する。
モンスター討伐を生業としている者達以外、そのほとんどがLV1から5の間程度でしかない。
また、誰もがモンス//
-
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
-
連載(全300部)
- 10290 user
-
最終掲載日:2017/07/28 20:51
私、能力は平均値でって言ったよね!
アスカム子爵家長女、アデル・フォン・アスカムは、10歳になったある日、強烈な頭痛と共に全てを思い出した。
自分が以前、栗原海里(くりはらみさと)という名の18//
-
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
-
連載(全212部)
- 11366 user
-
最終掲載日:2017/07/28 00:00
魔王様の街づくり!~最強のダンジョンは近代都市~
魔王は自らが生み出した迷宮に人を誘い込みその絶望を食らい糧とする
だが、創造の魔王プロケルは絶望ではなく希望を糧に得ようと決め、悪意の迷宮ではなく幸せな街を//
-
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
-
連載(全167部)
- 12135 user
-
最終掲載日:2017/07/28 19:00
ワールド・ティーチャー -異世界式教育エージェント-
世界最強のエージェントと呼ばれた男は、引退を機に後進を育てる教育者となった。
弟子を育て、六十を過ぎた頃、上の陰謀により受けた作戦によって命を落とすが、記憶を持//
-
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
-
連載(全173部)
- 9858 user
-
最終掲載日:2017/07/21 20:00
失格紋の最強賢者 ~世界最強の賢者が更に強くなるために転生しました~
とある世界に魔法戦闘を極め、『賢者』とまで呼ばれた者がいた。
彼は最強の戦術を求め、世界に存在するあらゆる魔法、戦術を研究し尽くした。
そうして導き出された//
-
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
-
連載(全136部)
- 12505 user
-
最終掲載日:2017/07/22 18:59
ありふれた職業で世界最強
クラスごと異世界に召喚され、他のクラスメイトがチートなスペックと“天職”を有する中、一人平凡を地で行く主人公南雲ハジメ。彼の“天職”は“錬成師”、言い換えれば唯//
-
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
-
連載(全276部)
- 14763 user
-
最終掲載日:2017/07/29 18:00
レジェンド
東北の田舎町に住んでいた佐伯玲二は夏休み中に事故によりその命を散らす。……だが、気が付くと白い世界に存在しており、目の前には得体の知れない光球が。その光球は異世//
-
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
-
連載(全1442部)
- 10997 user
-
最終掲載日:2017/07/29 18:00
カット&ペーストでこの世界を生きていく
成人を迎えると神様からスキルと呼ばれる技能を得られる世界。
主人公は二つのスキルを授かり、それをきっかけに英雄と呼ばれる存在へと成り上がる。
そんなありきたり//
-
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
-
連載(全200部)
- 11335 user
-
最終掲載日:2017/07/26 06:00
賢者の孫
あらゆる魔法を極め、幾度も人類を災禍から救い、世界中から『賢者』と呼ばれる老人に拾われた、前世の記憶を持つ少年シン。
世俗を離れ隠居生活を送っていた賢者に孫//
-
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
-
連載(全121部)
- 12157 user
-
最終掲載日:2017/07/22 05:58
八男って、それはないでしょう!
平凡な若手商社員である一宮信吾二十五歳は、明日も仕事だと思いながらベッドに入る。だが、目が覚めるとそこは自宅マンションの寝室ではなくて……。僻地に領地を持つ貧乏//
-
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
-
完結済(全205部)
- 12106 user
-
最終掲載日:2017/03/25 10:00
デスマーチからはじまる異世界狂想曲
アラサープログラマー鈴木一郎は、普段着のままレベル1で、突然異世界にいる自分に気付く。3回だけ使える使い捨て大魔法「流星雨」によって棚ボタで高いレベルと財宝を//
-
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
-
連載(全534部)
- 13932 user
-
最終掲載日:2017/07/23 18:00
くじ引き特賞:無双ハーレム権
ドラマCD付き第7巻12月15日発売!
商店街でくじを引いたら、特等賞で異世界にいける権利をもらった。
さらにくじを引いたら、出てきたのは用意した側も予想外の//
-
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
-
連載(全241部)
- 9871 user
-
最終掲載日:2017/07/28 23:46
とんでもスキルで異世界放浪メシ
※タイトルが変更になります。
「とんでもスキルが本当にとんでもない威力を発揮した件について」→「とんでもスキルで異世界放浪メシ」
異世界召喚に巻き込まれた俺、向//
-
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
-
連載(全373部)
- 16666 user
-
最終掲載日:2017/07/20 23:07
聖者無双 ~サラリーマン、異世界で生き残るために歩む道~
地球の運命神と異世界ガルダルディアの主神が、ある日、賭け事をした。
運命神は賭けに負け、十の凡庸な魂を見繕い、異世界ガルダルディアの主神へ渡した。
その凡庸な魂//
-
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
-
連載(全359部)
- 11039 user
-
最終掲載日:2017/03/23 20:00
異世界迷宮で奴隷ハーレムを
ゲームだと思っていたら異世界に飛び込んでしまった男の物語。迷宮のあるゲーム的な世界でチートな設定を使ってがんばります。そこは、身分差があり、奴隷もいる社会。とな//
-
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
-
連載(全219部)
- 11037 user
-
最終掲載日:2017/03/25 21:22
二度目の人生を異世界で
唐突に現れた神様を名乗る幼女に告げられた一言。
「功刀 蓮弥さん、貴方はお亡くなりになりました!。」
これは、どうも前の人生はきっちり大往生したらしい主人公が、//
-
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
-
連載(全367部)
- 10988 user
-
最終掲載日:2017/07/26 12:00
村人ですが何か?
飯島竜人は異世界に転生し、リュート=マクレーンとなった。
転生先の肉体の最適職業は村人で、家も普通の農家で普通に貧乏だった。
ゴブリンやらドラゴンやらが闊歩する//
-
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
-
連載(全91部)
- 10353 user
-
最終掲載日:2017/07/23 11:33
寄生してレベル上げたんだが、育ちすぎたかもしれない
異世界の神が行った儀式に巻き込まれ、鳥海栄司は異世界に転移してしまう。儀式を行った異世界の神は転移に際し栄司の可能性の具現化であるクラスを引き出そうとするが、普//
-
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
-
連載(全135部)
- 10127 user
-
最終掲載日:2017/07/25 06:49
再召喚された勇者は一般人として生きていく?
異世界へと召喚され世界を平和に導いた勇者「ソータ=コノエ」当時中学三年生。
だが魔王を討伐した瞬間彼は送還魔法をかけられ、何もわからず地球へと戻されてしまった//
-
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
-
連載(全378部)
- 10444 user
-
最終掲載日:2017/07/23 11:00
蜘蛛ですが、なにか?
勇者と魔王が争い続ける世界。勇者と魔王の壮絶な魔法は、世界を超えてとある高校の教室で爆発してしまう。その爆発で死んでしまった生徒たちは、異世界で転生することにな//
-
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
-
連載(全499部)
- 10620 user
-
最終掲載日:2017/06/22 23:05
金色の文字使い ~勇者四人に巻き込まれたユニークチート~
『金色の文字使い』は「コンジキのワードマスター」と読んで下さい。
あらすじ ある日、主人公である丘村日色は異世界へと飛ばされた。四人の勇者に巻き込まれて召喚//
-
ハイファンタジー〔ファンタジー〕
-
完結済(全808部)
- 10293 user
-
最終掲載日:2016/11/16 00:00