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長崎新幹線 フル、ミニ方式を軸に

与党検討委、結論9月以降

2017年07月29日 11時46分

長崎新幹線 フル、ミニ方式を軸に

 九州新幹線長崎ルートの整備方針を決める与党検討委員会は28日、フリーゲージトレイン(FGT、軌間可変電車)の導入を前提とする現行計画の見直しを視野に、議論してこなかった全線フル規格化や在来線のレール幅を広げるミニ新幹線方式を軸に検討を始めることを確認した。8月中に工期や費用について大まかな論点を示すが、結論は9月以降になる見通し。

 検討委は佐賀、長崎両県知事から別々に意見を聴取した。焦点の全線フル規格化に関し、両県の主張の対立が浮き彫りになった。

 長崎県の中村法道知事は「全線フル規格化を最善の選択肢として要望する」と初めて明言した。FGTによる本格開業がさらに遅れると、沿線のまちづくりへの影響や民間の投資意欲の減退が懸念され、「県民に対して説明がつかない」と訴えた。

 一方、佐賀県の山口祥義知事は全線フル規格で整備した場合、県の実質負担額が800億円以上に膨らむと強調。「県民1人当たり10万円もの負担を将来の県民に残すことはできない」と述べ、フル規格の整備は「議論できる環境にない」と指摘した。佐賀県はこのほか、新幹線と在来線を乗り継ぐリレー方式による2022年度の暫定開業と、その実現のために欠かせない肥前山口-武雄温泉駅間の複線化の確実な実施を求めた。

 山口知事は初めて「関西直通が実現するならば、佐賀県はFGTでの開業にこだわらない」との見解も示した。ミニ新幹線方式には「国から新たな提案があれば真摯(しんし)に向き合いたい」と柔軟な姿勢を見せた。

 検討委の終了後、松山政司委員長は8月の次回会合で、国土交通省から示されるフル規格とミニ新幹線の費用や工期に関する数字を基に今後の方向性を議論するとした。FGTについても「まだ検討の余地はある」と述べた。

 JR九州は25日の検討委で、安全性と経済性の両面からFGTの導入断念を表明している。

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