神奈川県相模原市の障がい者福祉施設「津久井やまゆり園」での入所者19人が殺害された事件から1年。殺人及び殺人未遂で起訴された元職員の植松聖被告だが、横浜地裁で始まるはずの裁判は、まだ公判前整理手続きすら始まっていない状態で、真相解明にはまだまだ時間がかかりうそうだ。

 しかし、ひとつだけ改めて指摘しておかなければいけないのは、この相模原事件がいまの安倍政権の障がい者切り捨て政策や排外主義と差別を丸出しにする社会状況とけっして無関係ではないということだ。

 植松被告は事件前、衆院議長公邸に「私の目標は重複障害者の方が家庭内での生活および社会的活動が極めて困難な場合、保護者の同意を得て安楽死できる世界です」といった手紙を届け、「(障がい者)ひとりにつき税金がこれだけ使われている」「何人殺せばいくら税金が浮く」などと語っていたことがわかっていた。

 また、逮捕後も「障害者なんていなくなればいい」と供述し、最近も、時事通信社の取材に手紙で応じ、「不幸がまん延している世界を変えることができればと考えた」と記したうえで、「意思疎通ができない重度障害者は不幸をばらまく存在で、安楽死させるべきだ」と主張していたという。

 しかし、こうした思想をもっているのは植松被告だけではない。そもそも、小泉政権と安倍政権は障がい者に税金を投入するのは無駄とばかりに、障がい者とその家族に負担増を強いる法改悪を行っているし、石原慎太郎や息子の石原伸晃、安倍政権の重鎮である麻生太郎、安倍政権のブレーンである曽野綾子は、「安楽死させたほうがいい」「いつまで生きているんだ」「税金を使っているのを申し訳なく思え」などと、障がい者や老人に対して信じられないような攻撃を、口にしてきた。


 植松被告のツイッターには、安倍晋三、百田尚樹、橋下徹、中山成彬、テキサス親父日本事務局、ケント・ギルバート、上念司、西村幸祐、つるの剛士、高須克弥、村西とおると、ネトウヨが好みそうな極右政治家、文化人がすらりと並んでいたが、こうした思想に大きな影響を受けたのは間違いないだろう。

 いや、植松被告だけではない。事件後、安倍政権を盲信するネトウヨたちの間では、〈そうやってみんなすぐ植松容疑者が異常だと言い張るけど行動がよくなかっただけで言ってることは正論だと思う〉〈植松の言ってることはこれからの日本を考えるとあながち間違ってはいない〉〈穀潰しして連中に使われる予定だった税金を節約して、国の役にたったよ彼は。弱いものって誰? 精神障害者はどんなに暴力や暴言はいても罪に問われない無敵の強者だよ?〉といった、植松被告の考え方に賛同する声があふれた。

 さらに、自民党のネット応援部隊であるJ-NSC会員(=ネトサポ)がブログで、「植松が言うように障害者はいなくなるべき」と全面的な賛同を示し、障がい者の子どもがいる野田聖子衆議院議員にまで「自民党の改憲案との矛盾をなくすために障害者の子ども殺せ」と迫っていたことも発覚した。

 本サイトは、相模原事件は、2000年代から始まった、弱肉強食の新自由主義政策と安倍政権下でエスカレートする排外差別主義が合体した結果であり、起こるべくして起きた事件だと考えている。

 そのことを確認するために、事件が発生したあと、本サイトが掲載した検証記事を再録するので、ぜひ読んでほしい。

(編集部)


「障がい者を殺せば税金が浮く」植松容疑者の狂気は自民党政権の障がい者切り捨て、新自由主主義政策と地続きだ
http://lite-ra.com/2016/07/post-2452.html

障がい者大量殺害、相模原事件の容疑者はネトウヨ? 安倍首相、百田尚樹、橋下徹、Kギルバートらをフォロー
http://lite-ra.com/2016/07/post-2447.html

自民党のネット応援部隊が「植松容疑者の主張は間違ってない」「障がい者は死んだほうがいい」と障がい者ヘイト!
http://lite-ra.com/2016/07/post-2459.html

障がい者抹殺思想は相模原事件の容疑者だけじゃない! 石原慎太郎も「安楽死」発言、ネットでは「障がい者不要論」が跋扈
http://lite-ra.com/2016/07/post-2449.html

安倍首相の盟友・曽野綾子も野田聖子議員に障がい者ヘイト!「子どもの治療に税金を使っているのを申し訳なく思え」
http://lite-ra.com/2016/08/post-2463.html

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