スーパーニッカ 和味は、2003年にスーパーニッカ誕生40周年を記念して発売されました。
「和味」の名の通り、和食でも料理の味を殺さない水割りで飲めることを想定してブレンドしているようです。
この辺りは、サントリーが角瓶の時代から取り組んできた方向性であり、なんでニッカが日和ってしまうのか、と思ったのですが、どうやら親会社のアサヒビールの意向があったようです。
このブレンドの責任者となったのが、創業者である竹鶴政孝とともに、最初のスーパーニッカのブレンドを担当した二代目マスターブレンダー、竹鶴威氏が手掛けました。
プレスリリースはまだ残っていますので、そちらもご覧ください。
発売自体は南関東地方限定で、2万ケースの販売ですので、それ以外の地方の方は見たことがないかもしれませんね。
ではいつものようにストレートから飲んでみます。
グラスに注ぐと、液色は少々濃いめの琥珀色、香りはアルコールのツーンと来る刺激の奥に、メロン、バニラを感じます。
口に含むと、最初はエステリーさの後に青リンゴが加わり、後からバニラ、ウエハースと続きます。
味わいは、アルコール由来の辛さがあるものの、そのあとに酸味、最後に甘さが訪れます。
レギュラーのスーパーニッカよりもエッジが利いた印象です。
ロックにすると、香りはナシとナッツが入り混じった印象で、バニラやマンゴーの香りが追いかけます。
味わいは酸味と柑橘系の苦みが入り混じっていて、後味は甘さを得ます。
最後にハイボールにすると、香りはほのかにピートがあり、その後にナシが感じられますが、こちらは1:2くらいで作ってやっとわかるレベルで、一般的な割合ではほぼ消し飛んでしまいます。
ウイスキーっぽさという点では?が付きます。
味わいは苦みがメインに来ていて、ビールやジンサワーのような印象です。
手元にあった1980年代のスーパーニッカと比べると、こちらは濃厚なドライフルーツの甘い香りがしっかり立ち、奥から燻製のようなスモーキーさも広がります。
確かに和味のほうが淡麗ではあり、水割りやハイボールではすっきりと飲める印象があります。
しかし、和味というにはその柔らかさを印象するようなネーミングとは程遠く、さらにスーパーニッカを冠するのにふさわしいかというと、個人的にはノーという立場です。
ここ最近のブラックニッカの乱発を思い出してしまいます。
当時はウイスキー自体は消費がどんどん下がっている時期で、いかにしてウイスキーに目を向けるきっかけを与えられるかに焦点が絞られたように思えます。
結果から言えば、サントリーが提示した角ハイボールがトリガーになったわけですが...。
その一方で、その2年前には、三代目マスターブレンダーとなる佐藤 茂生氏が手掛けたシングルカスク余市10年が世界で評価された時期であり、そこから海外でのジャパニーズウイスキーの人気が始まったことを考えると、当時のニッカ、そしてアサヒビールが迷走していた様を垣間見た気がします。
近年のラインナップが、ドラマをきっかけに、ニッカが求めてきたスコッチに迫らんとするスモーキーな香りを前に出すブレンドに切り替えたのを考えれば、消費者の嗜好に大きな変化があったことを示しているように思えます。
700mL、アルコール度数40度で、当時は2000円で売られていました。しかし、レギュラーボトルもそれくらいの値段でしたから、限定品とはいえ割高感は否めません。
現在も在庫限りでごく一部ですが、4000円ほどで購入できます。
<個人的評価>
- 香り C: ストレートではメロン、青リンゴが香る。加水でナシ、ピート。あとからバニラ、ウエハース。しかし水割り、ハイボールでは消し飛んでしまう。
- 味わい B: ストレートではアルコールからの辛さがあるが、その後に酸味、甘さへつながる。加水するとビターが目立つ。
- 総評 C: スーパーニッカの名を冠するには力不足、そして和味の名も的外れ。淡麗なり。
ニッカ スーパーニッカ 和味(なごみ) 700ml【RPC】【あす楽_土曜営業】【あす楽_日曜営業】【YOUNG zone】 |
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