米新駐日大使ハガティ氏 大統領訪日で貿易問題も議論を

米新駐日大使ハガティ氏 大統領訪日で貿易問題も議論を
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アメリカの新しい駐日大使となるハガティ氏が、NHKの単独インタビューに応じ、「日米の互いの利益を促進させていく」と述べ、両国の関係強化に強い意欲を示しました。またハガティ氏は、トランプ大統領が11月に日本を訪問する可能性があるとして日程を調整していると明らかにしたうえで、大統領の訪日を通して日米同盟を強化するとともに貿易の問題も議論したいという意向を示しました。
アメリカの新しい駐日大使となるウィリアム・ハガティ氏は28日、首都ワシントンでNHKの単独インタビューに応じ、「日米はすでにすばらしい関係を築いており、私の願いはその関係をさらに強化することだ。両国の互いの利益を今後も促進させていく」と述べ関係強化に強い意欲を示しました。

また、トランプ大統領が11月にベトナムで開かれるAPEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議に出席するのに合わせて日本を訪問する可能性があるとして日程を調整していると明らかにしたうえで「非常に重要な訪問で、すばらしい2国間関係や首脳間で発展してきた友情を強調するものになると思う」と述べました。

そして「アジア地域で直面する安全保障問題が優先議題となる。アメリカとしては2国間の貿易も協議したい議題の1つだ」と述べ、大統領の訪日を通して日米同盟を強化するとともに貿易の問題も議論したいという意向を示しました。

そのうえでハガティ氏は「貿易赤字はアメリカにとって引き続き問題になっていて今後も注視していく」と述べ貿易の不均衡の是正を日本に求めていく姿勢を示すとともに、TPP=環太平洋パートナーシップ協定に代わり、2国間の貿易協定を目指していく立場を明らかにしました。

また、ハガティ氏は「地元のテネシー州には日本から多くの投資があり、4万人が日本企業に雇われている。とても感謝しており、引き続き日本からの投資を促したい」と述べました。ハガティ氏は来月、日本に着任する予定です。

ハガティ氏とは

ウィリアム・ハガティ氏は57歳。南部テネシー州出身で地元の大学を卒業したあと、経営コンサルタント会社の「ボストンコンサルティンググループ」に勤務しました。この間、東京におよそ3年間滞在した経験があり、親日家とされています。

その後、1991年からブッシュ政権でホワイトハウスのスタッフを務め通商政策などを担当したほか、2012年の大統領選挙では共和党の候補者だったロムニー氏の陣営に加わりました。

また、みずから投資会社を設立したほか、地元テネシー州の経済開発長官を4年間、務め、経済や通商政策に精通していると言われています。

ハガティ氏は去年の大統領選挙の共和党の候補者選びでは、当初、党主流派のジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事を支持しました。

しかし、その後トランプ氏の支持に回り、政権移行チームで閣僚や政権幹部の人事を担当する責任者を務め、トランプ大統領に近いとされています。

ことし3月、トランプ大統領から新しい駐日大使に指名されたハガティ氏は議会の承認を経て、今月27日、就任のための宣誓式に臨みました。

ハガティ氏はオバマ前政権の2期目に起用されたキャロライン・ケネディ氏の後任として来月、日本に着任する予定です。

通商政策の懸案での手腕に注目

新しい駐日大使のハガティ氏はトランプ政権が掲げる、貿易の不均衡の是正に意欲を示していて、経済対話などを通して日米間の通商政策の懸案でどう手腕を発揮するか注目されます。

トランプ政権は、巨額の貿易赤字を抱えている日本に対して、貿易の不均衡の是正を求めています。

「日米経済対話」は、ことし秋にも2回目の協議が開かれる見通しで、トランプ政権はFTA=自由貿易協定の交渉入りに意欲を示しています。

ハガティ氏も、ことし5月、議会上院の指名承認のための公聴会で、「日本に対する貿易赤字を削減するため、日本の市場へのアメリカ企業のアクセスを拡大したい」と述べ、農産物の関税の引き下げや、自動車市場に存在するとしている非関税障壁の見直しなど、日本の市場開放に強い意欲を示しました。

また、トランプ政権は、貿易不均衡の是正の一環として通商拡大法232条に基づいて安全保障への脅威を理由に、大統領権限で鉄鋼やアルミ製品の関税を引き上げるなど異例の輸入制限措置の発動を検討しています。

これについては中国が最大の標的と見られますが報復措置を招いて、貿易戦争にもつながりかねないとして、日本政府やEU=ヨーロッパ連合も慎重な対応を求めていて、懸案の1つになっています。

さらに日本政府が、アメリカ産の冷凍牛肉の輸入量が増加し、関税を引き上げる「セーフガード」と呼ばれる、緊急の輸入制限措置を、来月1日に発動することが決まりました。

これは、国際的な貿易ルールに基づいた措置であるものの、アメリカ側の反発も高まっていてこうした日米間の通商政策の懸案でハガティ氏がどう手腕を発揮するか注目されます。