少額から投資でき、安定した利回りにも期待が寄せられているソーシャルレンディング。その仕組みや特徴について、みんなのクレジット代表取締役社長の白石伸生氏に聞いた。

国内外で市場が急成長
分散投資にも最適

──日銀がマイナス金利を導入するなど低金利化の流れがさらに強まるなかで、“ソーシャルレンディング”へ資金が回っていると聞きます。

白石伸生(しらいし・のぶお)
株式会社みんなのクレジット
代表取締役社長

1994年、早稲田大学政治経済学部在学中に起業。大学卒業後もベンチャー企業の設立・運営を手がける。2012年、ITソリューション事業、不動産開発事業などを行う株式会社ブルーウォールジャパンを設立し、代表取締役社長に就任。2015年5月、同社の関連会社として、ソーシャルレンディング事業を行う株式会社みんなのクレジットを設立し、同じく代表取締役社長に就任。

【白石】ソーシャルレンディングは、資金ニーズのある事業者と一般投資家をインターネット上の仕組みを使って結びつける新しいサービスです。ご存じのとおり、銀行は預金という形で集めたお金を事業者に融資しますが、ソーシャルレンディングでは一般投資家の方から預かった資金でファンドを組成。そのお金を資金を必要とする企業などに融資する形です。

投資する側としては、少額からでも出資できるのが特徴で、米国やヨーロッパなどを中心に世界では短期間に市場規模が数兆円規模にまで拡大しています。日本でソーシャルレンディング事業を行うには貸金業と第二種金融商品取引業の登録が必要なため、現時点での事業者は10社に届きませんが、市場規模は去年の300億円超から今年はさらに大幅に伸びる見込みです。

──新たな投資手法としてのソーシャルレンディングの特徴はどこにありますか。

【白石】比較的低いリスクのもとで平均して年間6~10%の利回りが期待できる、ローリスク・ミドルリターンの投資だといえます。元本保証ではありませんが、これまで当社では元本割れの案件は一つもありません。

また、世界経済が不安定化するなか、国内の融資案件であればその影響を受けにくい。これも一つの特徴でしょう。そのため英国のEU離脱を問う国民投票の後は、弊社でもお客様からの入金額が1日で通常の5倍以上と大幅に増えました。

運用期間中は途中解約はできませんが短期の案件も多く、少額での投資が可能なため分散投資もしやすい。そうした投資をインターネット上で簡潔に行えることも支持が広がっている理由でしょう。

──主にどんな方が投資されているのでしょうか。

【白石】安定性と利回りのよさが魅力という方が多いですが、自分の資金を社会貢献につなげたいと考える方も少なくありません。当社のお客様も、4割近くがそうした方ではないかと感じています。

企業にとっての資金は、人体における血液のようなもので、それが届かなければ企業は活動できなくなってしまう。日本を支える中小企業などには、社会的意義の大きい事業をしていても融資がつきにくいケースがあります。当社はそうした企業にも、ソーシャルレンディングという仕組みを使って必要な血液を送り届ける血管のような役割を果たしたいと考えています。

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企業から融資依頼が入ると、融資の可否が審査される。承認されるとサイト上でファンドが組成され、投資の募集が開始。投資家は投資口座を開設して投資資金の預け入れを行った上で、各案件の利率や期間などの情報をもとに投資の申し込みを行う。ローンが成立すると(不成立の場合、資金は口座に返還)、資金は借入企業に貸し付けられ、借り手の返済後に返済金が投資家に分配される。

120%の担保を設定
人工知能による審査も計画

──貴社は、4月のサービス提供開始以来、業界最速の5カ月間で成立融資金額で16億円を超えるなど、急成長を遂げています。

【白石】リスク低減に向けた努力を重ねて元本割れゼロを実現しながら、多彩な選択肢を提供していることが、評価につながっているのだと思います。

当社の融資の対象は事業性資金です。候補となる企業の審査は、決算書、事業計画書、資金繰り表などをもとに厳格に実施。全案件に対して120%の価値を保全する担保も設定しています。そしてファンド組成時には、借り手とともに余裕のある返済計画を立てることでリスクを下げています。また、多くのソーシャルレンディング事業者が担保を不動産に特化しているのに対し、当社は物や売掛債権、有価証券を担保としたローンも取り扱っている。そうして、期間や利率が異なる多様な投資対象をご用意することで、分散投資のニーズにも応えているのです。

──人工知能を用いた融資審査システムも開発中だそうですね。

【白石】お客様からは社会への貢献度がより高い案件を増やしてほしいという声もあり、現在、資金を必要とする「個人」へ貸し付けを行うサービスも検討中です。人工知能による融資審査システムが実現すれば、審査の精度をさらに高められます。日本信用情報機構のデータなどに基づく従来の審査と並行して、1000を超える項目についてディープラーニングを用いながら融資候補者の今の生活ぶりを検討することによって、定性的な判断も含めた加点法式の査定を行い、デフォルトのリスクを最小化しながら融資の機会を提供します。システムが完成したら、個人向け融資として例えば「母子家庭応援ファンド」などを提供したいですね。行政が対応しきれない部分に対し、社会性のある融資を行うのも当社の役割だと考えています。また、同じく社会貢献度の高い案件として、ミャンマー、ベトナム、カンボジアといった新興国で事業を始める準備も進めています。

──最後に、投資家の方にメッセージをお願いします。

【白石】ソーシャルレンディングは、初めて投資を行う人にも取り組みやすいものだと思います。

また、昨今の社会状況を見ると、資産運用においても、次世代や経済の活性化のために投資するという選択の意義は明らかに高まっているでしょう。資金を必要としている人にそれを供給しながら、実益を得られるソーシャルレンディングは、助け合いの精神を大切にする日本人にとってやりがいを感じられる手法だと思います。ぜひ、ポートフォリオのなかに組み込んでいただければうれしいですね。

ここに注目!
「みんなのクレジット」のソーシャルレンディング

●少額・短期での投資が可能
出資金額は10万円からと、少額からの投資が可能。運用期間は3カ月から1年程度が中心で短期運用にも向いている。
●分散投資にも適している
期間や利率の異なるさまざまな案件が用意されており、少額での投資も可能なため、資金を分散して複数の案件に投資できる。
●120%の担保設定で安心
融資の対象とする案件は、業績・財務状況について審査をクリアした企業に向けた事業性資金で、120%の担保が設定されている。
●成約手数料などは無料
投資口座の開設費用、案件の成約手数料、さらに投資口座内での投資実行や分配金入金の振込手数料などの費用は不要。

●お問い合わせ先/株式会社みんなのクレジット
東京都中央区八丁堀4-13-4 SKビル8F TEL:03-6280-3392
URL https://m-credit.jp
貸金登録番号:東京都知事 (1) 第31585号 金融商品取引業:関東財務局長(金商)第2905号 日本貸金業協会会員:第005927号