注意
- この知恵ノートは、「第2次安倍内閣は徴兵制度を復活させるつもりだ」という根も葉もないデマがあり得ないことを示すために書いたものです。軍事的にどうあるべきかとかと言った話は範囲外です。どうしても議論したければ、私宛に質問して下さい。
現代の先進国(スイスを除く)において、徴兵は全く行われていません。制度としては残っていても、形骸化(ボランティアを義務付けるなど)しています。 これは現代の戦場においては一兵卒に至るまで何らかの専門家であるため、徴兵して1,2年訓練した所で役には立たない為です。
一例
- 敵に見つからないように前進し、敵陣地を発見し、正確な座標を測定し、
C4I(戦場用指揮管制ネットワークシステム)を使って後方の味方に伝え、後方からの砲撃を観測して着弾点のズレを測定し、C4Iでそれを伝え、命中を確認したら別の目標に対して上記作業を繰り返し、敵に与えた損害を評価する事なんてできますか? これは現代の歩兵に求められる典型的な任務の一つです。
その上徴兵制なんぞ導入したら、自衛隊の戦力が大きく損なわれてしまいます。毎年大量のド素人を抱える訳ですから、訓練するだけで膨大な人員と予算が必要です。しかも訓練に携わっている自衛官は自分の訓練を行う暇が無くなってしまいます。結果として自衛隊の練度はガタ落ちになり、弱体化してしまいます。 新興国に過ぎませんが、それなりに近代的な装備を備えている韓国軍の練度が低いのも、徴兵制があるためでしょう。
なおこの問題は憲法9条とは無関係です。憲法の字面をそのまま解釈すると自衛隊が違憲であるとかいう問題なんぞどうでもよい事です。現状では「自衛権」に関しては自然権の一つであり憲法は自衛権までは否定しておらず、9条2の戦力の不保持についても自衛権の為の戦力は否定していないと解釈されています。その上で徴兵制度が必要かどうかという議論であり、上記の通り徴兵制度なんぞ時代遅れの害悪でしかないのですよ。第2次安倍内閣に関する悪意のデマを飛ばしている人が「徴兵制復活するぞ」と言っているので、「そんな馬鹿居ねーよ」ということを説明しただけです。
なお日本国土の防衛に限れば、自衛隊は十分な戦力を持っていますよ。米軍以外には無敵と呼んでも大げさではないくらいです。詳しくは「中国人民解放軍が、日本にとって脅威ではない理由」を読んで下さい。
追記:
議論したければ、質問して下さい。運営によればここで議論するのはルール違反なのだそうですので。
2013/1/27追記:
ファシストが馬鹿な事を「アドバイス」と称して書き込んでいますが、皆さん無視して下さいね。降伏実現党だか鰊の会だか知りませんが、現代においてファシストは社会から許容されない存在ですので。
2013/2/17追記:
ついにロシアも実質的に徴兵制度を無くすようで。
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ロシア軍参謀総長ヴァレリー・ゲラシモフ:「徴兵は武力紛争に参加しないであろう」http://bit.ly/X7KaCC ロシア軍、徴集兵は戦場に送らない方針へ。
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2015/7/3
徴兵制に関するコストを計算して見た人がいたので、ご参考まで。
徴兵制にかかるコストをザックリと単純計算してみた