世界の軍事力ランキング~日本は7位、北朝鮮は23位

北朝鮮「太陽節」記念するパレード SLBMが初登場(写真:ロイター/アフロ)

世界の軍事力ランキングはどのようになっているのか。軍事力の評価は実際にはかなり難しい。軍事費だけでなく、兵器の数、質、種類なども影響する。兵士も数だけでなく、質と志気、統制力なども関係する。核兵器はジョーカー的な要素を持つわけで、その評価は状況によって大きく分かれる。また、軍事同盟の状況も大きな意味を持つ。アメリカやロシアとの同盟関係、NATOへの加盟状況などは1国としての軍事力だけでは測れない価値を持つ。

こうした非常に複雑な問題だけに、軍事力ランキングは何に比重を置くかでかなり変動はある。アメリカの軍事力評価機関の「Global Firepower」が世界127カ国の対象国としてランキングを発表している。かなり複雑な評価のようで、兵器の数、質、種類から地政学的考察、資源力、産業構造、兵士の数、質、潜在的兵士の数(人口)、核兵器ボーナスポイント、NATOなどの軍事同盟ボーナスポイントなどが総合的に評価されている。

まずは30位までのランキングをみてみよう。

世界の軍事力ランキング(Global Firepower:2017年)

1 アメリカ (0.0891)

2 ロシア (0.0963)

3 中国 (0.0977)

4 インド (0.1663)

5 フランス (0.2001)

6 イギリス  (0.2198)

7 日本 (0.2227)

8 トルコ (0.2614)

9 ドイツ (0.2634)

10 イタリア (0.2772)

11 韓国 (0.2804)

12 エジプト ( 0.3095)-

13 パキスタン (0.3367)

14 インドネシア (0.3471)

15 イスラエル (0.3589)

16 ベトナム (0.3701)

17 ブラジル (0.3771)

18 ポーランド (0.3876)

19 台湾 (0.3901)

20 イラン (0.4024)

21 タイ (0.4061)

22 オーストラリア (0.4173)

23 北朝鮮 (0.4327)

24 サウジアラビア (0.4452)

25 カナダ (0.4465)

26 アルジェリア (0.4477)

27 スペイン (0.5027)

28 ギリシャ (0.5142)

29 スウェーデン (0.5787)

30 ウクライナ (0.5851)

注目される点をみてみよう。

1)日本の軍事力

まず、日本が7位にランクされている。ランキング指数をみれば、1位~3位と4位~7位にグループが出来ている。特に5位のフランス、6位のイギリス、7位の日本の差は僅かだ。4位のインドも人口の加算点もあるから、4位から7位はほとんど差がないとみていいだろう。1位から6位まではすべて核兵器保有国だ。非核保有国の中では日本の軍事力がトップということになる。

憲法9条は以下のとおりだ。「第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」

ただ、世界の中での軍事力が7位で、第二グループにいるとなると、憲法の「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」とかなりイメージは異なる。

2)中国の軍事力

中国は急速に軍事力を強めている。このランキングでは、1位アメリカ、2位ロシア、3位中国となっているが、ロシアと中国との差はわずかになっている。最近の中国の軍事費の増加率は非常に高いので、中国が2位になるのは時間の問題となっている。アメリカとソ連が戦後、ずっと2大軍事大国として世界に君臨してきたが、すでに世界は米露中の3大軍事大国時代に入っている。インドの経済成長が続き、軍事費が増大していけば、米露中印の4大軍事大国時代が訪れる可能性もある。

3)韓国と北朝鮮の軍事力

韓国のランキングは、2014年には9位、15年には7位と上昇していたが、16年に11位に落ち、17年も同じ11位だ。ただ、8位のトルコと11位の韓国までの軍事指数の差は僅かであり、第三グループに入っている。

一方、北朝鮮のランキングは上昇している。2014年には35位、15年には36位だったのが、16年には25位に上がり、17年は23位となっている。金正恩体制に入ってから、急速に軍事化していることがわかる。