和歌山県田辺市龍神村の山中で、人間を怖がらない野生の雄イノシシの子どもが見つかり、保護された。水や牛乳を与えると飲み、しま模様の体をなでると気持ちよさそうに目を細める。普通なら人間に寄ってくることはないという。かわいらしいウリ坊の様子を見た人たちは驚いている。
見つけたのは田辺市龍神村龍神、自営業畑山典夫さん(55)。24日午前7時ごろ、有害鳥獣駆除のために龍神村内の山へ入ったところ、このウリ坊が後方から走ってきて足元を回り出した。「近くに親もいるのだろう」。しばらく放っておいたが、ウリ坊は約20分間、ずっと畑山さんの後を付いてきた。膝に前足をかけてもきたという。
周囲に親がいる気配がなく、餌となる物もない場所だったことから、畑山さんは保護することにした。「頭をなでると気持ちよさそうな表情を浮かべた。狩猟を始めて25年になるが、こんなイノシシは見たことがない」と話す。
畑山さんは、すさみ町でイノブタ肉を生産していることを思い出し、知人である同町周参見の堀口秋弘さん(58)に連絡。堀口さんは同町和深川の実家にいったんウリ坊を引き取り、イノブタ肉を生産する知人の同町周参見の岡賢氏さん(66)に声を掛けた。イノブタは雄イノシシと雌豚を掛け合わせて生産するため、岡さんは、種付け用に今回のウリ坊を引き取る。