志智俊夫(岐阜=70期)が宇都宮初日8Rで通算500勝(2205戦目)を達成した。記録が整備された83年4月以降では28人目の快挙。デビューから24年11カ月で大台に到達した44歳は「(選手)寿命がちょっと延びたかな」と細い目をさらに細めて喜んだ。
昨年の前半戦はどん底を味わった。突如訪れた原因不明の大スランプ。2月の久留米全日本選抜で⑨⑨⑨着。前について行けず競走にならなかった。その後のレースでも大敗続き。検車場で「体調に不安はないのに…」と首をかしげる姿を何度も見かけた。競走得点は96点まで急降下。GⅠ決勝に駒を進めたこともある実力者が出口の見えないトンネルに迷い込んだ。
復調のきっかけをつかんだのは秋口から。自慢の鋭脚がよみがえった。「成績が悪くなったのはケガじゃない。何が何だか分からない状態だった。今思えばいい練習ができていなかったし体のケアも怠っていた」と当時を振り返る。「それも財産ですね。500勝をA級で達成しなくて良かった(笑い)」。低迷期を脱出してたどり着いた区切りのメモリアルは格別だ。
思い出の1勝は「みんなにいいレースだったと言ってもらえたから」と13年京王閣記念優勝を挙げた。村上義弘や武田豊樹らを相手に直線一気の強襲劇だった。今後の目標は「次走のオールスター(いわき平、11~15日)で活躍すること。常にGⅠに出られるように頑張りたい。今は楽しく練習もできていますから」。鋭い差し脚とベテランの味を出しながら復活ロードを歩み続ける。
♤小野 祐一(おの・ゆういち)1983年(昭58)10月26日、秋田県生まれの33歳。06年スポニチ入社、大阪本社で2年、08年から東京本社で競輪担当。予想ではラインの結束力を第一に、近況の動き、調子を重視して本命を決めている。