かみね動物園では、2頭のメスのアジアゾウ『ミネコ』と『スズコ』を飼育しています。年齢は33歳と32歳の娘盛りです。
ゾウは群れで生活し、仲間同士の結びつきがとても強い動物です。群れの中の順位付けもしっかりされていて、その群れの中には飼育員も含まれています。飼育員よりもゾウの方が上の順位に立ってしまうとたまったもんではありませんので、毎日のトレーニングでしっかり飼育している、されているという認識を持ってもらいます。
近頃ゾウたちは、たびたびケンカを起こすことが多くなりました。
発情?ミネコに対してお尻を向けてスズコが近づいていきます。
下剋上?2頭の中ではミネコの方が順位は上なので、スズコがミネコの上を狙っているのかもしれません。
ハッキリした原因はわかりませんが、しつこいスズコに嫌気がさしてしまうのか、怪我をしてしまうほどの大ゲンカです。
怪我をしやすいのは、耳や尻尾の先。両方ともかじられてしまいます。
ゾウは草食獣ですので、犬や猫のような牙はありません。そのかわりに、草をすりつぶすための大きな臼歯が生えています。
(↑アジアゾウの上下の臼歯です。)
そのため、ゾウに関しては他の動物に比べて『咬まれると痛い』という危険性は少なく感じます。
が、かじられたスズコの尻尾の先は、つぶれて大出血!あの大きさの動物がモノを咬むのですものね、私たちが咬まれたことを想像すると、ぞっとします。
とにかくこれ以上怪我をされては大変と、試験的に2頭を分けて展示してみることにしました。
2頭を隔てるものはチェーン2本。寄り添うことはできますが、おおごとになる前に逃げることができます。
仲間の結びつきの強いゾウ、このチェーン2本でもピッタリくっついたりできないせいか、いつも以上に落ち着かない様子。
でも、これ以上怪我をしないためにも、少しの間我慢してくださいね。
はやく仲よしのゾウに戻りますように。
(しいくいん たかはら)