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機械設計講座:機械設計者のための覚え書き
ねじの締め付けトルクについて(T系列)
0. 概要
ねじの標準締め付けトルク(T系列)
ねじの締め付けトルクには、JIS規格にはなっていないものの、一般的に用いられている規格があります。
一般に「T系列」と呼ばれるものです。
また、締め付けトルクと軸力の関係についてについての計算式も説明しています。

初学者は、そう言う規格があることだけ覚えておいてもらえば結構です。
必要な時にこちらのページを参考にして下さい。
1.0 解説

ねじの締め付けトルクの標準として用いられている「T系列」は、締め付けトルクを暫定的に決定するための規格です。
材料の強度区分を用いて、ねじに働く軸力をある値(の範囲)になる様に、締め付けトルクで管理しよう、と言う考えに基づいています。
ただし、締め付けトルクと軸力は必ずしも一定の関係ではない(ねじ座面の摩擦、締め付け速度、繰り返し使用等によっても変わる)事に注意が必要です。
(締め付けトルクと軸力の関係については 1.1 補足の項を参照願います)
 
 「ねじの締め付けトルクはいくらにしておいたらよいのか?」と迷ったら、T系列で決めておいて、様子を見ながら独自の規格にしていく、と言うのが使い方としては正しいと思います。

 以下、T系列の規格を表にまとめましたので参考にして下さい。
参考:トルクを kgf・m に換算するには0.1を、 kgf・cm に換算するには10を、 gf・cm に換算するには104をそれぞれ掛ければ概略の値が求まります。
標準締め付けトルク表(T系列)
ねじの呼び径
基準T系列
N・m
0.5系列
N・m
1.8系列
N・m
2.4系列
N・m
M1 0.0195 0.0098 0.035 0.047
(M1.1) 0.027 0.0135 0.049 0.065
M1.2 0.037 0.0185 0.066 0.088
(M1.4) 0.058 0.029 0.104 0.140
M1.6 0.086 0.043 0.156 0.206
(M1.8) 0.128 0.064 0.23 0.305
M2 0.176 0.088 0.315 0.42
(M2.2) 0.23 0.116 0.41 0.55
M2.5 0.36 0.18 0.65 0.86
M3 0.63 0.315 1.14 1.50
(M3.5) 1 0.5 1.8 2.40
M4 1.5 0.75 2.7 3.6
(M4.5) 2.15 1.08 3.9 5.2
M5 3 1.5 5.4 7.2
M6 5.2 2.6 9.2 12.2
(M7) 8.4 4.2 15 20.0
M8 12.5 6.2 22 29.5
M10 24.5 12.2 44 59
M12 42 21 76 100
(M14) 68 34 120 166
M16 106 53 190 255
(M18) 146 73 270 350
M20 204 102 370 490
(M22) 282 140 500 670
M24 360 180 650 860
(M27) 520 260 940 1240
M30 700 350 1260 1700
(M33) 960 480 1750 2300
M36 1240 620 2250 3000
(M39) 1600 800 2900 3800
M42 2000 1000 3600 4800
(M45) 2500 1260 4500 6000
M48 2950 1500 5300 7000
(M52) 3800 1900 6800 9200
M56 4800 2400 8600 11600
(M60) 5900 2950 10600 14000
M64 7200 3600 13000 17500
(M68) 8800 4400 16000 21000
基準軸応力 : 210N/mm2 とする
有効断面積 : JIS B1051を参照のこと


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 次に、T系列の使い分け方の概略をまとめてみました。
一般的な使用には、標準T系列を採用し、適用区分に準じて適宜その他の系列を使うのが良いと思います。
T系列の使用区分
 
基準T系列
0.5系列(0.5T)
1.8系列(1.8T)
2.4系列(2.4T)
適用ねじ
強度区分
4.6〜6.6 - 8.8〜12.9 10.9〜12.9
材質
SS、SC CR [黄銅]、CB [銅]、AB [アルミ] SCr、SNC、SCM SCr、SNC、SCM、SNCM
軸応力(N/mm2)
標準値
210 105 380 500
最大〜最小
300〜160 150〜80 540〜290 710〜380
軸応力(kgf/mm2)
標準値
25 12.5 45 60
最大〜最小
36〜19.0 18.0〜9.5 64〜35 86〜46
適用区分
一般の締め付けトルク。 できる限り、また断りのない限りこの系列を用いる。
ねじ、雌ねじ、 締め付け体に 銅、アルミ、 プラスチックなどを 用いた時、 ダイカスト 部品、 プラスチック部品。
特殊鋼を用いた強力ねじ 継ぎ手、特にボルトに付加的な動荷重のかかる場合。
特殊鋼を用いた強力ねじ継ぎ手、特にボルトに付加的な動荷重のかかる場合。(摩擦接合)
用途
一般 電子製品 車両、エンジン 建設
識別色
無し 黄色

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1.1  補足:締め付けトルクと軸力の関係

六角ボルトを六角ナットで締め付ける場合、締め付けトルク T と軸力 Q の関係は下記の式のように表せます。

:締め付け力
:ねじ有効径()
:ねじのリード角
:ねじの摩擦角
:座面の摩擦係数
:ねじ呼び径(外径)
:ナットの2面幅 (
図: ねじ締結
      図:ねじ締結

(1)式が一般式です。
右辺の第1項が軸力 Q によってねじ斜面に働く摩擦力、第2項がナットと座面との摩擦力によってそれぞれ発生するトルクを表しています。

(1')式はねじ形状を一般化し変形した計算式です。

(1'')は更に一般化した式で、Q・d にある係数 K を掛けたものと表せます。
この K が所謂トルク係数と呼ばれるものです。


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(20 Jan. 2013 初出)
(05 Feb. 2013 補足追加)
(21 Feb. 2013 図、解説追加)

[参考文献]:東日製作所技術資料「ねじ締め付け」
copyright(c) 2011-  orbit limited.


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