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障害年金格差、更新時も 13年度、都道府県間で11倍  打ち切り・減額7787人  判定にばらつき

 国の障害基礎年金を受け取っている人のうち、更新時に「障害が軽くなった」などとして支給を打ち切られたり、減額されたりした人の割合に都道府県間で最大11倍の開きがあったことが2日までに、日本年金機構の2013年度分データの集計で分かった。

 支給停止・減額となったのは全国で7787人。岡山では更新対象者の12・1%に上る一方、最低の島根では1・1%だった。障害が軽くなった人が特定の地域に偏っているとは考えにくく、審査する医師の主観による判定のばらつきで、受給を続けられたはずの人まで年金を受け取れなくなった可能性がある。

 障害基礎年金をめぐっては、新規に支給を申請して不支給と判定される人の割合でも、最大約6倍の地域差があることが分かっている。更新時にも大きな不公平が生じているといえそうだ。

 厚生労働省は先月30日、地域差が特に大きい精神・知的・発達障害を対象に、客観的な指標を盛り込んだ新たなガイドラインをまとめた。年内にも年金機構内で通知を出し、年明けに実施する考え。

 障害年金では、身体障害などで状態が変動しない場合を除き、1~5年ごとに更新手続きが必要。多くの人が受け取る障害基礎年金は、年金機構の都道府県事務センターが地元の医師(認定医)に審査を委託している。

 認定医たちが1人で審査しており、個人の裁量が入りやすいほか、認定医が交代して判定が変わったということも考えられる。

 岡山に続き停止・減額の割合が高かったのは、兵庫(10・2%)、神奈川(9・6%)など。低かったのは島根のほか、長野(1・5%)、宮城(1・6%)など。全国平均は4・9%だった。

 「障害が重くなった」として年金額が増えた人は全国で4310人。岡山は増額になる人の割合も2位と高かった。

 不支給と停止・減額で都道府県ごとの傾向は必ずしも一致しないが、兵庫はいずれも割合が高く、宮城、長野は低いなど一致する地域もあった。

▼突然の収入減、大きな影響 障害年金更新で格差

 【解説】障害年金の打ち切りや減額は突然、収入が途絶えたりするため、新規に申請して不支給となるよりも、障害者の生活は大きな影響を受ける。しかし判定の理由は十分に説明されず、不透明な状態が続いている。

 障害者団体などは不支給だけでなく、更新に伴う支給停止・減額の件数も公開するよう、厚生労働省と日本年金機構に求めていたが、これまでは一部の地域のデータしか明らかにされていなかった。全国の状況が判明するのは初めてで、理不尽な判定で年金を打ち切られた人がいないか、ようやく検証が可能になってきた。

 障害基礎年金の停止は、障害等級が1級なら月約8万1千円、2級なら約6万5千円の収入がなくなることを意味する。ところが、その通知は「年金の支払いを停止しました」などと過去形の文面で届き、理由の説明は「障害の状態が変わったため」といった一言だけ。多くの人が納得できない思いを抱えている。

 例えば知的障害の場合、障害の程度が大きく変わることはないが、就労すると給与が月にわずか数万円でも、支給停止・減額にされることがある。判断は年金機構の認定医によってまちまち。「認定医が代わって判定が厳しくなり、停止・減額が増えた」という元職員の証言もある。

▼障害年金の更新

 【ズーム】 障害年金の更新 障害の状態が変わっていないか調べるため、日本年金機構の認定医が受給者ごとに1~5年の幅で期間を設定。 受給者は 更新の時期が来たら、主治医の診断書を提出し、認定医が等級(1~3級)を判定し直す。障害基礎年金は 最も軽い 3級では支給されないため、「2級に該当しない」と判定されると支給停止。1級から2級に下がると、支給額が月約8万1千円から約6万5千円に減額される。2013年度は約15万9千人が更新を迎え、9割以上の人は「変更なし」だった。年金機構は12年度以前のデータは明らかにしていない。

2015/08/03 15:34

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