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察知されない最強職《ルール・ブレイカー》 ~ 「隠密」とスキルツリーで異世界を生きよう
感想
投稿者:
真白みこと
[2017年 05月 17日 23時 37分] ---- ----
気になる点
「高すぎたと言ってもいい」(1話)ほどの知能指数を持っているという設定の主人公だけに、いろいろと引っかかる点が出てきます。
今のところ普通の15歳の少年と変わりがあるようには見えず、頭がいいということを押すのでしたらもう少し賢くてもいいと思うのですが……。
2話
>ローランドが本気であることはヒカルにもわかっていた。
この推論は間違いでしょう。ローランドは1時間以内に確実に伯爵を殺させたいわけですから脅しという行動に出るまでは自然ですが、実際に1時間が経過した時点でヒカルを殺すべきかというとそれはありえません。
ローランドから見てヒカルが信用できるかどうかはともかく、生かしておいてもう少し時間を与えれば暗殺が成功するかもしれないのに、殺してしまえばもう可能性はゼロになるのですから。彼にとってヒカルをここで死なせるメリットなど一つもありません。
逆にローランドの記憶を持っているヒカルからすれば、「清廉潔白で公明正大」な両親に育てられ本人もまた公平な人格らしいことが推測されますから、何の関係もないヒカルを逆恨みで道連れにするような可能性は小さいとわかるはずです。
もちろんそれは確実な推論ではないので1時間以内に最善を尽くすには違いありませんが、上のようなことに気づかず本気で殺されるとばかり思い込んでいるのはちょっと頭が弱い気がします。ローランドが消える間際にでも「本気で殺すつもりはなかったんだろう?」といったやりとりがあればぐっと自然になるかと思います。
4話
>これは見せちゃいけないヤツだ。
>絶対、暗殺体験が影響しているし、スキルツリーの効果のせいだ。
>「シビリアン」を選択してジルに見せる。
職業を選び直せるとは聞いていないのにいきなり弱い職業を選択したのでびっくりしました。直せたのでいいのですが、それでも軽率な印象があります。それにジルからは見せろとも言われていないのになぜわざわざ見せたのでしょうか。
安全のためにはまず隠密神を選んでから、もし変更できなければ今後誰にも見せない、変更できてなおかつ見せろと言われたならシビリアンにする、というほうが自然だったと思います。あるいは「何度でも変更できる」という情報を先に書いておくべきでしょう。
5話
>「職業」の欄はいつでも変えられるようだった。
>街の外にいる間、能力に補正がつくのならそのほうがいい。
街を出て森が見えてくるあたりまで来てようやく変更できることに気づきますが、これも不注意だと思います。
ギルドですでに目をつけられているのですから、街中で狙われたり街道で敵が出る可能性も十分ありました。主人公は隠密能力以外何も強化されていないのですから、補正がつくなら常時あったほうがいいに決まっています。
7話ではただの受付嬢グロリアが近づくのにも気づかず「話しかけられてびくりとした」くらいですから、索敵能力も何もないわけで大変危険です。
7話
>(なんで僕に……いや、あの手は)
>ここでヒカルは気がつく。グロリアは手に依頼書の束を持っている。
これは頭脳とは関係ないどうでもいいことですが、手に紙束を持っている人を見て「あの手は」なんて思うでしょうか? 「あの紙束は」ではありませんか。あるいは「あの手にあるのは」くらいならわかりますが……。
8話
>モンスターの定義は、「人間に害があるかどうか」だ。
>それだけしかない。
>「……モンスターを殺したかどうかでなく、ある程度の力を持った生き物を殺したかどうか……」
なぜ「人間に害があるかどうか」から「ある程度の力を持った」に飛躍したのですか? 普通に考えるなら伯爵が(ザラシャ一家を殺すなど)「人間に害がある」に該当する人物だったからだと思うだけではないですか。力を持っていても人に害をなさない人間はいくらでもいるでしょうし。
>(ふむ、痕跡は気がつくんだな)
>これもまたヒカルの実証実験のひとつだった。
>自分から離れた「自分」——つまり残留物に対して、「隠密」は影響するのか。
>影響しない、が答えだ。
痕跡に気づくというのは、3話で伯爵邸に侵入したとき濡れた跡を見回りの騎士に発見されるということでとっくに実証されていることです。いまさらまったく同じことを試す必要はありません。(もちろんデータが増えるのはいいことですが、それはリスクというコストと比較衡量すべきことです。)
それとこの盗賊ギルドでの件全体についてですが、多数の監視を抜けていきなり執務机に座って現れ、すんなり配達依頼を成功させるなどと、なぜ自分の隠密技能をここまで見せつけるのでしょう?
特に6話でジルから聞いて、冒険者ギルドの受付嬢ですら「かなり高度の暗殺に関わる『職業』持ちの冒険者」が捜索されていると知っているのに、ケルベック以下盗賊ギルド一味およびこの依頼斡旋を企てたグロリアに対して、自分に関するこのような最重要情報が露見する愚を犯す理由がよくわかりません。前話で「慢心はいけないよな」と気を引き締めたばかりではありませんか。
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