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【社説】

「加計」集中審議 信頼性欠く首相の答弁

 「加計学園」問題をめぐり、安倍晋三首相が過去の答弁を修正した。つじつまが合わなくなったためだが、修正で済む話ではない。首相の答弁は信頼性を欠く。真相解明の手綱を緩めてはならない。

 学校法人「加計学園」による愛媛県今治市での獣医学部新設計画を首相がどの時点で知ったのか。

 それを解明することは、公平・公正であるべき行政判断が「首相の意向」や、官僚による忖度(そんたく)で歪(ゆが)められたか否かを判断する上で、重要な要素となる。

 首相は二十四日の衆院予算委員会で加計学園の計画について、政府が獣医学部新設を認める事業者を同学園に決定した今年一月二十日に「初めて知った」と述べた。

 民進党議員に「答弁が偽りなら責任を取って辞任するか」と迫られ「首相として責任を持って答弁している」と胸を張った答弁だ。

 しかし、この答弁は過去の答弁と明らかに矛盾する。

 首相は以前、獣医学部を今治市に新設したいという加計学園側の意向を知った時期を問われ、次のように答えているからだ。

 「安倍政権になってから、国家戦略特区に今治市とともに申請を出した段階で承知した」(六月五日、参院決算委員会)

 「構造改革特区で申請されたことについて私は承知している」(六月十六日、参院予算委員会)

 首相はきのう参院予算委員会で「急な質問で混同した」と釈明した上で、過去の答弁を修正し、計画を知ったのは一月二十日だと重ねて主張した。

 しかし、にわかには信じ難い。学園の加計孝太郎理事長は、首相が「腹心の友」と呼ぶ三十年来の友人だ。第二次安倍内閣発足後、判明分だけで十五回、食事やゴルフを共にしている。加計氏側から全く言及がなかったのか。

 首相は自らの関与や加計氏への便宜供与を否定するために無理な答弁を重ねているのではないか。つじつま合わせでころころ変えるような首相の答弁を、そもそも信頼するわけにはいくまい。

 衆参両院で二日間にわたった集中審議で、政府側の参考人は個別の面会や発言内容については「記憶がない」「記録がない」との答弁を繰り返した。首相が言う「丁寧な説明」には程遠い。

 このまま幕引きは許されない。加計学園による新設認可をいったん見送るとともに、憲法に基づく野党の要求に応じて臨時国会を召集し、真相解明を進めるべきだ。加計氏の証人喚問も求めたい。

 

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