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それは一本の電話からはじまった
1.それは一本の電話からはじまった
お風呂上り。
ベッドの上で明日は休日。何をしようかしら?などと考えていたところにかかってきた電話。
学友でもあり、同じ薔薇のつぼみとしても仲のよい島津 由乃さんからだった。
「大変よ、祐巳さん!!」
いきなりそういわれても何がどう大変なのかは説明なしではわからない。
「とりあえず落ち着いて、由乃さん。私は逃げないから」
鼻息の荒い由乃さんを何とかなだめすかして、本題に入ってもらう。
由乃さんがこんなにも取り乱すなんて、もしかしたら支倉 令さまのことだろうか?
「違うわよ!いや・・・、それもあるんだけど、それ以外にも祐巳さんに言わなきゃいけないことがっ!!」
「わかったから、ゆっくり落ち着いて、順序良く、ね?」
電話の向こうからスー、ハーと深呼吸をする音が聞こえてくる。
「明日、祥子さまが令ちゃんと二人でどこかに出かけるのよ!!」
・・・・・・・・・。
・・・・・・。
・・・。
「うん、それで?」
べつに変な話じゃあないと思うんだけど。
「令ちゃんがよ!?祥子様と出かけるの私に内緒にしてるんだから、おかしいとおもわないっ?
あたしが、『明日予定ある?』って聞いても『ちょっとね』だって!!何で内緒にする必要があるわけ!?」
ははぁ、なるほど。
要するに由乃さんは、自分に内緒で出かける令さまが許せないわけだ。
それでかまをかけてみたら、案の定自分に内緒でお姉さまと・・・。
って、じゃあ由乃さんは、どこで令さまとお姉さまが出かけることを知ったんだろう?
「令ちゃんの部屋に行こうとしたら、たまたま電話で話してるのが聞こえたの!」
「き、聞く前に答えないでよぉ」
「祐巳さんの百面相が電話越しにもよく見えるみたい・・・」
そこでため息つかれるとなんか、つくづく自分って単純なんだなって思えてくる。
「私だって別に最初から『あした祥子とでかけるんだ』って言ってくれてれば怒らないわよ。それなのに令ちゃんてばっ!!」
私に話していて腹の虫がまた騒ぎ出したのだろう。徐々に語気が荒くなっていく。
要するに愚痴が言いたかっただけなのね、由乃さん・・・。
でも・・・。
「祐巳さん!」
「は、はい!」
「明日、二人の後をつけるわよ!!」
「えぇーーーーーっ!!」
聞いてしまった。由乃の機嫌が悪いのが明らかだったから少し話をしようと思って扉をノックしようとした時だ。
「明日、二人の後をつけるわよ!!」
祥子との会話を聞かれていたみたい。
ということは相手は祐巳ちゃんかな?
確かに由乃に内緒にしたのは悪いと思ってるけど、だからって、こんなこと許せることじゃない。
由乃がその気なら、少しお灸をすえてやらなきゃ。
私はノックしようとした手を下ろすと、きびすを返して自室へと向かった。
そして祥子にも電話をしておこう。
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