私は韓国史の専門家でもありませんし、特別にその歴史を研究した者でもありません、日本史との関わり合いの中で、韓国歴史の流れを少し知っている程度であり、独学で日韓史の最高権威となったと自称しておられる、桜井某先生などとは大きく違う浅学菲才な者ですが、そういう人間の目から見ても、日本の今のネットのなかで書き換えられている韓国の歴史は、常識では考えられない異常なものになってきていると感じられます。
朝鮮という国号は貢物が少ないという意味だ、中国皇帝が朝鮮からの貢物の少なさに腹を立てて、そのような名にしたのだ、といったことが大量にネットのなかに書き込まれていて、朝鮮の語源で検索すると、今まで一度も聞いたことがないような貢物少ない説が、いつの間にか日本人の見解の定説のようになってきています。
論語には、巧言令色鮮し仁とあり、鮮は確かに少ないと読みますし、これは少しよりもすくない、殆どないといった場合に使うともいいます。
しかし朝がどうして貢物になるのか、朝貢という言葉はありますが、朝のみで貢の意にはならないはずです。例えて言えば、焼肉という言葉があるから焼は肉の意味になると主張しているようなものです。
地名の語源は分からないことが多く、中国人が朝光鮮麗の地と呼んだためといわれ、さらに、東方(=朝)の鮮卑に由来すると言う説もありますが、貢物が少ないという意味だという話は今まで聞いたことがありません。
檀君が建国した時に朝鮮と称したとか、殷の王族の箕子が殷の滅亡時に亡命して箕子朝鮮国を建てたとか、随分古い時代から使用されている地名であり、少なくとも紀元前4世紀ころにはそのような名がありました。朝貢が始まる前からあったのです。
それに対して、貢物が少ない国であると主張する人たちは、李成桂が高麗国の実権を掌握した後、明の洪武帝に朝鮮と和寧のニつから新国号を選んでもらった。その時に明は貢物が少ないという意味で朝鮮にしたのだ主張します。
しかし朝鮮という地名は李成桂以前から存在する上に、「和寧」が北元の本拠地カラコルムの別名であったので洪武帝が嫌い、朝が貢の意味にならないことも含めて、古代からある地名を洪武帝が採ったと解するべきです。
さらにネットのなかのネトウヨたちは、朝鮮は毎年美女3000人を貢ぎ、穀物の取れ高を半ばを貢いでいたと主張していますから、貢物が少ない国というのであれば、自分たちの主張と矛盾することになりますが、ネトウヨの抱える矛盾には一切触れてはならないというのがネットの掟なので、今では矛盾とは関係なく、朝鮮は貢物の少ない国で、毎年美女3000人を貢ぎ、収穫高の半ばを貢いでいたというのが、ネットで発見された新しい韓国の歴史であると認定される状態になってしまっています。
さらに彼らは、朝鮮は貢物が少ないという意味ですか、という質問を知恵袋で繰り返し、その都度、貢物が少ないという意味で間違いありません、朝光鮮麗は韓国人による捏造です、という回答をベストアンサーに選んで、この愚論の拡散と定着化を図っています。