“新国立”過労死問題、作業員男性が語る“過酷な実態”
新しい国立競技場の建設現場で働いていた男性が自殺した問題で新たな証言です。同じ現場で働いていたという男性がJNNの取材に工期に追われる過酷な職場環境の実態を語りました。
あと3年に迫った東京オリンピック・パラリンピック。24日は各地で機運を盛り上げるための様々なイベントが開催されています。
そうした中で、24日朝、こんな動きも起きていました。
開会式が行われる新国立競技場。急ピッチで作業が行われている建設現場では朝早くから多くの人が集まり、急きょ、デモが行われました。今年3月、この建設現場で働いていた23歳の男性が突然失踪し、その後、自殺した問題が発覚したためです。
「電車で行きます。4時15分に起きます」(自殺した23歳男性のメール)
これは、男性の携帯電話に残っていた失踪する前の月のメールです。男性は都内の建設会社の、まだ新入社員でしたが、深夜に仕事を終え、わずか3時間の睡眠など、この月の残業時間は200時間を超えていました。
会社側は長時間労働を認め、「二度とないようにしたい」などとしていますが、新国立競技場の同じ建設現場で働いていたという男性がJNNの取材に応じ、現場の実態をこう証言しました。
「工期に追われて現場の動きがどんどんどんどん変わりまして、朝決まっていたことが何時間かすると突然変わって、尋常じゃない。(自殺した男性以外も)突然来なくなっている人がいました」(新国立競技場の建設現場で働いていた作業員)
自殺した男性については、さらに過酷な状況があったのではないかと話します。
「聞きたくなくても聞こえるような大きさで、(上司から)『何でそんなこともできないんだよ』 『使えねえな、死ね』とか叱責じゃないですね、もう暴言ですね。そういう事が多々あったようですね。みんな必死です。使命感ですよね、オリンピック。結構ギリギリのところでやっていましたし、ベテランの人でもいっぱいいっぱいになりながらやってましたので。管理職の人たちも帰っていない。みんながみんな同じような状況で、多分いろいろ感覚がまひしていたんじゃないですか」(新国立競技場の建設現場で働いていた作業員)
自殺した男性の会社は「上司に聞き取りをした社内の調査ではパワーハラスメントはないという結果だった」としていますが、厚生労働省は実態を詳しく調べるとしています。