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2017年07月25日 13時31分 UPDATE

白髪治療薬の実現への一歩? 新薬治験でがん患者の白髪が黒や茶色に (2/2)

[AP通信]
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 もう1つ不思議なことには、これらの新薬ではこれまで、皮膚がんの一種であるメラノーマ(悪性黒色腫)の患者については、髪が脱色する副作用が確認されている。

 スペインの研究チームによると、治験中、14人の患者のうち1人を除く全員は少なくとも安定した病状が保たれ、他の患者よりも高い治療効果が認められたという。彼らの髪色が濃くなったことは、薬が効いている兆候とも考えられる、と研究者らは指摘する。

 リベラ氏は今回の事例が偶然ではないことを確認すべく、今後も研究を続けていく方針だという。

 米ノースウェスタン大学の皮膚科教授、ジューン・ロビンソン博士は「興味深い報告だ。こうした発見は不意にやってくる」と語る。ロビンソン氏は医学雑誌JAMA Dermatologyの編集者でもあり、今回の研究結果は今月、同誌のオンライン版で発表された。

 ロビンソン氏は、今回の結果についてはさらに深く調べる必要があると指摘。一方で、「これが白髪の新しい治療法につながると考えるのは早計だ」とも警告している。

 リベラ氏も、「治験薬には、健康な人たちにとって安全ではない深刻な副作用がある」と指摘。ただし毛髪の色を変える効果が確認されれば、白髪治療のための別の薬が新たに開発される可能性があるという。

photo 左は治療前、右は治療後(JAMA via AP)

 製薬業界はこれまでにも、薬の副作用を意外なかたちで活用している。例えば、男性型脱毛症の治療薬「プロペシア」、まつげ育毛剤「ラティース」、シワ取りの「ボトックス注射」などがその例だ。こうした薬の有効成分はもともと、前立腺肥大、眼圧異常、眼瞼痙攣(がんけんけいれん)の治療薬として承認されたものである。

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