「ポケモンGO」1年 今は中高年に人気!

「ポケモンGO」1年  今は中高年に人気!
繁華街や公園に、スマートフォン片手に集まる大勢の人たち。視線の先の画面はみんな同じ…あの熱狂的なブームを呼んだゲーム「ポケモンGO」が配信されてから7月22日で1年。大勢の人たちが集まる「聖地」と言われる場所がありニュースにもなりましたが、いま、どうなっているのでしょうか?(大阪放送局 根岸宏明)
手に入れることが難しいレアなポケモンを集めることができる「聖地」として、東京のお台場などと並び、全国的に有名な大阪・港区の天保山公園。1年前は10代や20代の若い人たちが大勢集まっていました。

今回、訪れてみると、まず目に飛び込んだのはスマホの画面をのぞき込んだままの中高年の人たち。話を聞いてみると「ゲームをするため、ほぼ毎日、公園に通っている」という人が多くいて驚きました。

“聖地には若者”と思ったら…

手に入れることが難しいレアなポケモンを集めることができる「聖地」として、東京のお台場などと並び、全国的に有名な大阪・港区の天保山公園。1年前は10代や20代の若い人たちが大勢集まっていました。

今回、訪れてみると、まず目に飛び込んだのはスマホの画面をのぞき込んだままの中高年の人たち。話を聞いてみると「ゲームをするため、ほぼ毎日、公園に通っている」という人が多くいて驚きました。
ゲームをきっかけに多くの人たちと交流する機会が増えたという43歳の男性。「散歩しているおじいちゃんにもあいさつするようになりましたね。毎朝会うと自然にあいさつをしなあかんなと思うようになりました」と話していました。
「ポケモンGO」は、キャラクターを集めるため歩き回ることなどが必要なゲームですが、去年の秋ごろから始めたという70代の夫婦は散歩をしながらゲームを楽しむことができ、集めたキャラクターをめぐって夫婦の間で会話も増えたと言います。

利用者減るも中高年の割合増える

ポケモンの利用者層が1年たって若者中心から中高年層の増加へと変化しているのは調査からも読み取れます。

調査会社「ヴァリューズ」の推計では、月1回以上、ポケモンGOのアプリを開いた利用者は去年7月は1100万人に上りましたが、ことし6月には6割減の442万に。

一方、利用者の年代別の割合は、20代は37%から29%に10ポイント近く減ったのに対し、40代以上は38%から48%と10ポイントも増えています。
ソーシャルメディアでは「まだ利用者っているんだと思った」という声が出る一方、「まだやってるの?と言われようが俺はやるぞ」「俺もまだやってる、30代おっさんだけど」「70代とおぼしき老夫婦が互いのスマホ指差しながら仲良くポケモンを集めてる姿はなかなか良い」といった意見が出ていました。

中高年の割合が多くなっている理由について情報工学の専門家 神戸大学の塚本昌彦教授は「健康には歩くのが良いが、中高年の人たちの中には、ポケモンGOを使ってモチベーションを高め、歩きたいという人もいると思う」と分析しています。
神戸大学 塚本昌彦 教授

人気を取り込む動きも

中高年の間で静かに広がるポケモンGO人気。その人気を取り込もうという動きも出ています。天保山公園の近くにある喫茶店では、去年から特定のキャラクターを集めた人には30円値引きするサービスをしています。
喫茶店のマネージャーは「最近は、ポケモンGOを楽しむ50代、60代くらいの女性のグループも来るようになった」と話していました。
ゲームの人気を観光振興や地域の活性化につなげようという取り組みも続いています。

京都府の天橋立観光協会は、ゲームのアイテムなどを集めることができる場所を記した地図を作りました。ゲームの運営会社からは西日本初のポケモンGO公認観光マップに指定されました。
天橋立観光協会のホームページ
同じような取り組みは、東日本大震災の被災地でも行われていて、ゲームをきっかけに地域に足を運んでもらおうという動きが広がりを見せています。

神戸大学の塚本教授は、こうした動きを踏まえ「ゲームが地域の観光情報やショッピング、サービス、交通などと直接連携するようなことになれば、さらに盛り上がると思う」とさらなる可能性を指摘しています。

運営会社は新たな取り組みも

ゲームを運営するナイアンティック社の広報担当者は「今後、期間限定で出現するキャラクターを登場させたり、ユーザー同士が協力して遊べる新システムなどを導入することにしている。各自治体との連携もさらに深めていくことにしていて、すべての世代が集まり、コミュニケーションを取って遊べる場も各地に生まれるのではないか」と期待しています。

楽しいゲーム 利用の際は安全に注意を

公園で取材した中高年の方々はゲームについて「外に出て身体を動かして、他人とのコミュニケーションが生まれることが楽しい」と話していました。孤独を感じていた人が仲間をつくるきっかけになったというケースもありました。
私も去年、ゲームに熱中した1人ですが、複雑なルールや最先端の機能を求める若い人たちと違って、現実の世界で身体を動かして遊ぶというゲームの仕組みが中高年の間で人気が続いている理由かも知れません。

一方、「歩きスマホ」や「ながら運転」。去年はゲームをしていた運転手のトラックにはねられて子どもが亡くなる悲惨な事故も起きました。ゲームをする時は安全に注意し、周囲の状況によく配慮して欲しいと思います。