【フランクフルト=深尾幸生】独誌「シュピーゲル」(電子版)は21日、フォルクスワーゲン(VW)など独自動車大手5社が1990年代からカルテルを結んでいたと報じた。対象は技術や部品調達など広範囲に及び、ディーゼル車の排ガス関連も含まれている。カルテル行為がVWに続き、独ダイムラーなどでも疑われる排ガス不正の背景となった可能性がある。
ドイツ史上最大のカルテル事件に発展する可能性もある。報道によると、VWがドイツ連邦カルテル庁に、処罰の軽減を求めて資料を提出した。カルテルに加わったとされるのはVWやBMW、ダイムラー、アウディ、ポルシェの計5社。ドイツの自動車メーカーの大半を占める。90年代から200人以上の従業員が60回以上会合を重ねているという。
カルテルが疑われている対象は部品メーカーの選定や購入価格の決定、技術の仕様など多岐にわたる。ディーゼル車の排ガスを浄化するための尿素タンクの価格を抑えるために容量の小さいものを採用することで合意。後に排ガス不正につながったとしている。
当局は2016年夏に鋼板価格について談合した疑いでVWを調査していた。調査の2週間後にVWはカルテル庁に自己申告し、ダイムラーも同様の書類を提出したという。
ディーゼル車の排ガス不正では15年夏にVWが1100万台で違法ソフトを使っていたことが発覚した。検察はダイムラーやアウディ、ポルシェも不正の疑いで捜査している。