「優待メシ」求めて食べ歩き 無理せぬ投資で楽しむ
日経マネー
順調だった俺メシさんが、最大の失敗をしたのは16年3月。現物とクロス取引(株主優待の権利を得るため、同一銘柄に同量の売り注文と買い注文を出す取引)を合わせて約60銘柄の権利を取った後、それらを売って、そーせいグループ(東マ・4565)に乗り換えたのだ。
■順調だった投資が一変
「優待投資に慣れてきて感じたのは、『大きな損も出ないけど、そんなにもうかるものでもない』ということ。当時は中小型株が賑わっていて、ツイッター仲間では『毎日が給料日みたいだ』とつぶやいている人もいた。自分も成長株に投資してみようと思ったんです」(俺メシさん)
特にバイオ株に土地勘があったわけではない。「ツイッターのコメントを見ていると、そーせいホルダーの1銘柄に懸ける情熱が半端なかった。そこまで調べるのか、と。だんだん、すごい銘柄に思えてきたんです」
そーせいを買った直後の4月上旬、英子会社とアラガンのライセンス契約が発表され、株価が急騰。5月までは、「優待投資では全く見たことがないような利益が出た」と夢見心地だった。勢いに乗って買い増しをしたところ、そーせい株は下落に転じる。俺メシさんが損切りを完了させたのは株価が高値から半値になった後だった。
俺メシさんは、「全く身の丈に合わない投資でした」と振り返る。「適正なポジションサイズも分からない、ろくに降り方すら決めていないまま買ってしまった。優待株なら株価を1日見なくても平気ですが、そーせいは気になって仕方がなかった。性格的にも合っていなかったと思います」
失敗はしたが、「大きなマイナスを出すと、それを回復するのがいかに難しいか分かった。今は減らさないことが一番大事」と教訓を得た。初心に帰って、再びコツコツ優待投資を楽しんでいる。
(日経マネー 市田憲司、小谷真幸)
[日経マネー2017年7月号の記事を再構成]
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