ちなみに、国連憲章23条に安保理常任理事国として記されているのはいまだに中華民国だ。中国は手続き上、その権利を継承したとはいえ、何でも自分の手柄にするのは無理がある。
「人種、性、言語または宗教による差別なくすべての者のために人権および基本的自由を尊重するように助長奨励する」
国連憲章1条にはこう明記されているが、中国が常にこうした精神に従ってきたと誰が言えるだろうか。チベット、ウイグル、内モンゴル…反証を挙げれば枚挙にいとまがない。東シナ海や南シナ海で、「法の支配」の実現ではなく「力による現状変更」を目指しているのはどの国か。
そんな国が戦後70年の今年、臆面なく正義の味方面(づら)し、国際社会で日本悪玉論を流布する宣伝戦を仕掛けてきているのである。
「戦後70年間、日本は平和で自由で民主的な国を構築し、近隣諸国、アジア諸国の発展のため支援し、貢献してきた。こうした日本の歩み、正しい日本の姿を発信していきたい。オールジャパン態勢で行っていくことが大事だ」
菅(すが)義(よし)偉(ひで)官房長官は24日の記者会見でこう述べた。まさにその通りだと納得していたところ、同日に親中派で知られる河野洋平元官房長官が講演で次のようなことを語っていたと知り、頭を抱えた。
「今は保守政治というより、右翼政治のような気がする」
安倍晋三首相や日本政府に歴史修正主義者というレッテルを貼りたい中国や、欧米の偏向メディアが「元政府高官で元自民党総裁の河野氏ですらこう言っている」とお墨付きにして利用しそうなセリフである。
何を口にしようと言論の自由だが、ホンの少しでも国民の迷惑も考えてもらいたい。(政治部編集委員)