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【社会】

横須賀の海軍カレー老舗が辛い閉店 建物老朽化「味は残していきたい」

魚藍亭のカレー館の前に立つ料理人の栗田秀樹さん。右は高橋利幸店長=神奈川県横須賀市で

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 神奈川県横須賀市をカレーの街として一躍有名にした「よこすか海軍カレー」の老舗、魚藍亭(ぎょらんてい)の本店とカレー館が近く閉店する。小泉純一郎元首相も足を運んだ名店だが、建物の老朽化で苦渋の決断をした。関連商品の販売は続けられ、店を切り盛りする料理人の栗田秀樹さん(55)は「味は大切に残していきたい」と話している。

 日本料理店、魚藍亭本店の隣にあるカレー館は、軍艦旗や浮輪などが飾られ、港情緒があふれる。今月十三日、横須賀市を訪れていた大阪府箕面市議会の林恒男議長(66)は「歴史を感じさせる店の雰囲気がいいね」とカレーを食べながら満足そうに話した。

 おかみだった故・大河原晶子さんが、他の飲食店と協力して旧日本海軍のレシピの再現に成功した。一九九九年に横須賀商工会議所が認定する海軍カレー提供店の第一号に選ばれ、隣にカレー館を開いた。あっさりした口当たりで人気を博して多くの店に広がり、現在では横須賀市内で四十二店が認定を受けている。

 二〇〇八年に晶子さんが、今年四月には経営者の夫千民(ちたみ)さんが病気で亡くなった。二人のおいで調理を担当していた栗田さんが後を継ごうとしたものの、老朽化した建物の修繕に多額の費用がかかることが判明。「悔しいが、このままでは維持できない」と閉店を決めた。

 ただ、店の味を再現したレトルトカレーは地元で販売が続けられる。栗田さんは「レシピという宝物がある。いつかどこかで店を復活させたい」と意気込む。本店は一足早く七月三十日に、カレー館は八月末に閉店する。

 

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