ネットでよく見る主張だが、本当だろうか。
以下参考資料
内閣情報局編輯「週報」昭和二十年二月二十一日号(434号)
「戦ふ朝鮮・台湾」

戦ふ朝鮮の姿(p3~)
地下資源の宝庫
 半島における地下資源は極めて多種であり、また豊富である
いま内地に少いか、また殆んど全く産せず、しかも現代科学戦に欠くべからざる鉱物で朝鮮に多く産するものを挙げると、およそ次ぎのやうなものがある。

  鉄、タングステン、水鉛、マグネサイト、●石(アルミニウム、ソーダ及びカリの鉱石)明礬石(アルミニウム及びカリの鉱石)礬土頁岩(耐火材またはアルミニウム鉱)、黒鉛、無煙炭、蛍石、重晶石、石綿、雲母、藍晶石(特種高級耐火材料)●鉱(弗素系の燐灰石)、珪砂(ガラス原料)、各種稀有元素鉱物

 これらの鉱物はいづれも優秀な兵器を造り出すための重要な素材となってゐる。殊に咸鏡南道のマグネサイトは世界に比類のない優秀な鉱床といはれ、軽金属材料として欠くべからざるものである。また江原道には霞石、京畿道には藍晶石、紅柱石、珪線石等を産し、朝鮮は世界に稀な特殊鉱物産地として登場してゐるのである。その他、新鋭武器をつくるに必要な「タンタラム」「ニオビウム」「セリウム」「ジルニウム」「シリウム」「ベリウム」鉱等の鉱床が各地に発見され、戦前輸入に俟つほかなかったこれらの稀有元素の産地として、朝鮮の治下資源は極めて重要な地位を占めてゐる。
 兵器増産に最も大切なのは鉄と石炭であるが、鉄鉱石は各地に産出する、なかんづく茂山鉄山は貧鉱ながら埋蔵量においては世界有数のものである。南方鉱石の輸送難に伴ひ、内地製鉄所に対する補給源として、朝鮮の鉄鉱石は重要性を加へてきたが、それはまた朝鮮における製鉄業が大東亜戦下、無煙炭利用の小型溶鉱炉による銑鉄産出といふ新製鉄法が実施せらるゝに至って一層の活気を呈するに至った。
 朝鮮における有煙炭の生産はその需要の半分に充たない貧弱さであるが、無煙炭は有名な平壌の寺洞を中心に素晴らしい生産を示し、鮮内の需要を充たして内地、満州方面に輸移出する状況である。この利用方法の研究が戦時下に完成したことは、戦ふ朝鮮の燃料問題の大半を解決し得たものともいはれよう。
 朝鮮の特質としてぜひ認められねばならない点は電力の開発についてである。朝鮮は地勢及び降雨状態等の関係上、水力電源が頗る多く、従って良質豊富な電力が比較的容易に得られるのである。これらの発電企業の中には未完成のものも多いが、また極めて大規模な施設が完成して厖大な電力を出し、大工業の電力源となってゐるところもある。
 豊富な地下資源と良質の電力と得易い労力の三拍子揃った朝鮮に、時局下、工業の勃興するは当然の成行きであり、支那事変以来、朝鮮を変貌せしめたものは実に工業、特に重工業の新たなる登場であった。(p7・8) 

アジア歴史資料センターhttps://www.jacar.go.jp
レファレンスコードA06031058900(4・5枚目)

(昭和十八年)
朝鮮及台湾の現況

一八、重要鉱物の生産
朝鮮、台湾殊に朝鮮は重要鉱物の埋蔵多種豊富にして戦時下帝国の鉱物増産に寄与する所大なるものあり。
左に両外地に於ける重要鉱産物の生産量の全国生産量に対する比率を示す(昭和十七年度)
         朝鮮       台湾
         %         %
鉄鉱石    四四・四      〇
銅       四・五     三・五
鉛       三六・〇      〇
亜鉛      一三・九      〇
石綿     六一・七    九・四
蛍石     九〇・〇       〇
雲母      一〇〇      〇
鱗状黒鉛   一〇〇      〇
土状黒鉛   一〇〇      〇
タングステン 八三・三      〇
モリブデン  六七・一      〇

石炭は朝鮮約七百万瓲、台湾約三百万瓲の生産額を示し朝鮮の生産の約半額は無煙炭なり、之に対し需要は約九百万瓲も達するを以て朝鮮は無煙炭約一〇〇万瓲を内地に移出し(練炭原料等となる)北支、満洲等より有煙炭(特に製鉄原料炭)約三百万瓲の輸移入を要する状況に在り。
台湾は生産額需要に超過し支那、南洋方面へ約四十万瓲輸出を為しつつあり。
金は朝鮮の最重要鉱産物にして昭和十七年度の生産額は内地約二十瓲に対し朝鮮二十四瓲(一億三千万円)、台湾三瓲に上れるが今回の金鉱業整備方針に依り銅を随伴する鉱山以外は廃山・休止せらるることとなり全●千二百余の金山中存続するものは約四分の一となり目下資材労務の他産業への転換着々実施中なり。
鉄鉱石の朝鮮に於ける生産は現在すでに年産約三百万瓲に達し内地の夫れを凌駕せるが最近船腹事情に依り支那及南方鉄鉱石の輸入減に対処する為大規模の緊急増産を行ふ方針の閣議決定を見昭和十九年度に於ては約四百五十万瓲の生産を目途とし輸送施設の整備、粉鉱焼結設備の増設等を実施中なり。

アジア歴史資料センターhttp://www.jacar.go.jp
レファレンスコードB02031284800(14・15枚目)
本邦内政関係雑纂/植民地関係 第一巻

地下資源の宝庫
重工業の二大要素として地下資源と電力が挙げられるが、半島に於てその何れも万点の折紙がついている。昭和六年末金輸出禁止と宇垣総督の産金奨励政策と相俟って、文字通り産金王国を現出した時代も今は過ぎ、時代は鉄、石炭をはじめ特殊鉱の開発時代となった。

 は咸鏡南道利原鉄山及び平安南道壽鉱山の赤鉄鉱、平安南道价川及び黄海道載寧、銀龍、下聖、兼二浦の赤褐両鉄鉱、咸鏡北道茂山、江原道襄陽、三和の磁鉄鉱がある。就中茂山鉄山は品位に於て三八%程度の貧鉱ではあるが、その埋蔵量は優に南満洲の鞍山鉄山を凌ぐと称せられ、且つ純粋の磁鉄鉱のみで選鉱容易な点は鞍山よりも稼行が有利といはれる。この他江原道三陟の磁鉄鉱、咸鏡南道端川の大鉱床も着々開発準備が進められてゐる。

石炭 は咸北の吉州明川、鏡城、会寧、雄基、慶源、慶興の各炭田を主として平南の安州、黄海の鳳山、慶南の慶州等以上何れも褐炭で、総埋蔵量四億瓲と推定されてゐる。また無煙炭は有名な平壌の寺洞炭坑をはじめ江原道三陟及び寧越、咸南高原、全南和順、慶北聞慶、平南北部一帯其他数ヶ所あり、推定総埋蔵量約十三億五千万瓲、これは無尽蔵といっていゝ数字である。

黒鉛 電化工業用として国内供給の百%を負荷される黒鉛は、坩堝、電極、カーボン原料となる鱗状黒鉛が平北江界地方(大馬々、江界、咸章洞、城于孟洞、勝栄、時中の各鉱山)咸北城津地方(城津、新興両鉱山)平北楚山郡地方(市束、楸谷、車嶺各鉱山)及び伏木、元玉、碧潼の各鉱山から産し、また土状黒鉛は山野月明(忠北)小宮(同)馬老(同)咸昌(慶北)永興(咸南)長興(同)价川第一、价川第二(平南)等が最も著名で何れも国内需要に対する自給目標を殆んど満してゐる。

タングステン鉱 現在稼行中の主なものは小林百年、箕州、中川青陽、鯨水、順鏡山、上東、平安、内金剛各鉱山等で、その他金剛山一帯、平北昌城軍、平南陽徳郡、寧遠郡、咸南長津郡、忠北忠州郡、堤川郡、黄海谷山郡、忠南青陽郡等が主な産地であるが、世界的有名な金剛山がタングステン盗掘団に荒されて、景勝保存と資源開発の二筋道に悩んだなども一挿話であらう。

蛍石 は江原道金化、春川、楊口、華川、淮陽の各郡、忠北永同、堤川両郡、全北錦山郡、黄海載寧、平山両郡、京畿抱川郡等に分布し、最近愈よアルミニウム工業の緊急増産と共に急速にその開発を要請されてゐる。

雲母 咸北、平北、咸南各道に分布し、その主な鉱山は咸北林洞鉱山、砲手鉱山、平北芦田洞鉱山等で、その産出の全部は朝鮮雲母開発販売株式会社の手を経て内地に移出されてゐる。

マグネサイト は咸北吉州郡(南溪、白岩)咸南端川郡(北斗、龍陽)が大部分を占め、就中龍陽鉱山は埋蔵量三十億瓲と推算される世界的大鉱床である。

水鉛鉱 全北の長水、江原の金剛、忠北の忠州重石、大華、慶北の龍鳳水鉛各鉱山の外に最近続々新鉱床が発見されてゐる。

明礬石 はアルミニウム原料として特に重要なものであるが、全南、慶南に多量賦存し、その主要鉱床は全南の犢川、加沙島、玉埋山各鉱山等である。

ニッケル鉱 江原道伊川郡板橋面、咸南咸州郡徳山面、慶北星州郡草田面其他に最近発見され目下急速に開発準備が進められてゐる。

燐鉱 咸南端川南斗日面、咸北城津郡鶴西面、平北龍川郡加次島、平南平原郡永柔面に於て有望な燐灰石鉱床が発見され、南斗日面の真豊燐山、永柔面の永柔鉱山は既に着々生産実績を挙げてゐる。
 
コバルト鉱 慶北慶山郡押梁面、慶南咸安郡艅航面、 咸北会寧ろ郡八乙面其他各地に発見されつゝあり、鉱量も相当豊富である。

満俺鉱 主要なものは慶北奉化郡小川面、江原金化郡遠南面などである。
  
  この他稀有金属としてセリウム、トリウムを含むモナズ石やタンタル石、小藤石、紅柱石、霞石なども発見され、まさに地下資源の宝庫たる名に背かない。なほ我が国内で産出する重要鉱物資源中、朝鮮に依存する昭和十八年の割合とその開発実績を示すと次の通りである。 

品名 十八年度全国生産額中朝鮮に期待さるゝ割合 十七年度の期待量に対する実績割合

黒鉛 一〇〇% 九四%
雲母 一〇〇% 六五%
コバルト鉱 一〇〇% 三九%
蛍石 九一% 九六%
タングステン鉱 八四% 一〇四%
モリブデン鉱 六七% 一一〇%
石綿 六二% 九一%
鉛 五二% 八五%
鉛鉱石 五一% 八四%
 
(朝鮮総督府情報課 編「新しき朝鮮」 昭和19年)