解説
今から約60年前、湯沢市 松岡 白山のふもと「構え森」から数々の埋蔵物が発掘された。その中の、いわゆるタイムカプセルともいわれる「経筒」にはさまざまな文字や模様が刻まれ、その銘記から約800年前の平安末期に埋められたことが判明した。そこには「藤原女人」や「大壇主 尼殿」という銘が刻まれており、この経筒を埋めた人物が、奥州藤原氏と関連する可能性を示すものであった。そして、中から朽ち果てた経典とともに、ジャコウネズミのミイラが十数匹折り重なって発見された。経筒に秘められた、ネズミのミイラと奥州の黄金伝説の謎に迫る。 |
あらすじ
経筒発見から約60年後の現代。地元の郷土史家たちによって白山学習会が開かれた。子供たちは白山に登り、白山神社の御神体が約800年前につくられた女性の神像 菊理姫(くくりひめ)であることを学ぶ。そして、一人の少女は白山の麓「構え森」に埋められたタイムカプセルも「藤原女人」という女性によるものだったこと知る。さらに、その中にジャコウネズミのミイラが入っていたことが忘れられない。その翌日、母親におねだりしてネズミのハムスターを飼い始める。そして、学習会の宿題で作ることになったタイムカプセルに「フジワラニョニン」に会ってみたい想いを手紙を託す。そんなある日、ペットのハムスターがカゴから姿を消した……。 (上映時間…45分) |
湯沢市 松岡 白山の平安文化について
寿永三年経筒 (京都国立博物館所蔵)
構え森に最初に納められた「寿永三年大壇主尼殿」と記されている経筒は発掘状態が良く、現在でも判別できる文字が多く残されています。ジャコウネズミのミイラが十数匹見つかったのもこの経筒であるといわれています。 |
建久七年経筒 (京都国立博物館所蔵)
「仙北雄勝郡松丘如」「藤原女人」との銘が読みとれます。 |
鍍金唐草文魚子地経筒 (京都国立博物館所蔵)
美しい唐草模様と魚子地が刻印された経筒。このような文様を施した経筒は他に例を見ないといいます。 |
奥州藤原氏との関連
刻まれた文言には、中尊寺金色堂の棟木墨書銘と共通する書式がみられ、その関連性の解明は今後の研究課題です。 |
ジャコウネズミの謎
昭和29年に地元で発行された新聞記事にはモグラのようなネズミ、齧歯類のミイラが発見されたと記されています。ジャコウネズミは東南アジアに生息するネズミですが、子育ては数珠つなぎになってキャラバン行動をするといいます。なぜ外来の動物が納められていたのか、謎が深まります。 |
菊理姫(くくりひめ)とは
白山神社の御神体「菊理姫」は鉈掘という技法で作られています。足元に木の根の形を残した鉈掘の神像は全国的にも唯一といわれています。白山信仰から菊理姫を、仏教から偶像仏を、自然信仰から御神木の根の形をと、様々な信仰が融合した稀有な形といえるでしょう。 平安時代末期の作と言われていますが、これは経筒が埋められた時代と符合しており奥州藤原一族が納めたとの仮説が成り立ちます。 白山信仰の開祖は奈良時代の僧「泰澄」で、現在の北陸地方にある白山でひらかれました。岩手県 平泉にある中尊寺の境内には今でも白山神社が祀られています。藤原秀衡の息子泰衡の名に泰澄と同じ「泰」の文字が入っているのは奥州藤原一族が白山の女神「菊理姫」を篤く信仰していたからではないでしょうか。 年に一度しか御開帳されないこの女神像は、見ると目がつぶれるとの言い伝えがあり、地元の人々に大変畏れられていました。今では八月中旬、年に一度だけ御開帳され湯沢市民に深く親しまれています。 |
上映スケジュール
2014年11月23日(終了) | 特別試写会 湯沢市文化会館 中ホール |
2014年11月24日(終了) | 特別試写会 湯沢市文化会館 中ホール |
2015年10月12日(終了) | 封切公開&トークイベント 講師 高橋学 秋田県埋蔵文化財センター 島田祐悦 横手市教育委員会 山内信弘 湯沢市教育委員会 湯沢市文化会館 中ホール |
2015年11月3日(終了) | 封切公開&イベント講演会 講師 宮川禎一 京都国立博物館 列品管理室長 湯沢市文化会館 中ホール |
2016年3月5日(終了) | 土曜講座「みちのく経塚遺宝~秋田県松岡経塚をめぐって」にて特別上映 講師 宮川禎一 京都国立博物館 列品管理室長 京都国立博物館 平成知新館 講堂 京都国立博物館 平成知新館 3階考古展示場にて松岡経筒の数々を公開 (3月13日まで) |
2016年10月2日 | 京都文化博物館にて特別上映 トークショウあり 13:30~一回目上映 14:15~トークショウ 15:25~二回目上映 |
製 作
出 演 | 齊藤 愛結、鈴木 釉琳、藤原 隆平、藤木 京子、 今泉 幸次郎、齊藤 友美、藤原 里実、宮原 勇 |
特別出演 | 宮川 禎一 (京都国立博物館 考古室長) |
監 督 | 勝賀瀬 重憲 |
プロデューサー | 大澤 利克、鈴木 俊夫 |
撮 影 | 恒田 嘉弘 |
音 楽 | 三田 健二 |
ナレーション | 勝賀瀬 香澄 |
アシスタントプロデューサー | 大澤 喜美子、藤原 宏 |
衣装協力 | 信太 香代子 |
資料提供 | 鈴木 俊男 |
WEB制作・ITアドバイザー | 秋元 英樹(羽後ITサービス) |
監督助手 | 宮原 平 |
題 字 | 武石 正助 |
特別協力 | 京都国立博物館 中尊寺 |
後 援 | 湯沢市 湯沢市教育委員会 湯沢商工会議所 湯沢こまち商工会 湯沢ロータリークラブ 湯沢南ロータリークラブ 湯沢秋田ライオンズクラブ |
協 力 | 横手市教育委員会 松岡平安の郷 史跡保存会 山田地域づくり協議会 湯沢市立山田小学校 (株) FM ゆーとぴあ 秋田魁新報社 |
製 作 | きつねのしっぽフィルム |
きつねのしっぽフィルム
〒012-0055 秋田県湯沢市山田上二井田45-3 大沢自販内
0183-73-7055