みんな大好き伊藤直也さんの年収はいくら?
転職ドラフトで年収1000万の指名が来た京大中退・23歳エンジニアとして、ヨッピーさんの記事で紹介された河西智哉さん。
その河西さんとKaizen Platformで席を並べていたという伊藤直也さんに「普段聞きづらいあんな質問やこんな質問をぶつけよう」というのが、今回のテーマ。
「河西君になら何を言われても許す」と断言してくれた伊藤さんに、ヨッピーさんがモデレーターとなり、普段のセッションでは決して聞けないような質問が二人に投げかけられました。
登壇メンバー紹介
▲ヨッピーさん
「オモコロ」「Yahoo!こちら検索探偵」「トゥギャッチ!」など、体を張った実験記事を執筆する人気ライター。関西学院大学を卒業後、商社に就職。退職後はさまざまなWebメディアで記事を執筆。CodeIQ MAGAZINE「ヨッピーの突撃レポート」でもお金にまつわる記事を連発中。
▲株式会社一休 CTO 伊藤 直也さん
ニフティ、はてな、グリー、フリーランスを経て、現在、一休で執行役員CTOを務めている。「インターネットではスシとゲームとアニメの話ばかりをしているイメージの方」(byヨッピーさん)。
▲河西 智哉さん(Kaizen Platform, Inc.)
河西さんは1992年生まれで現在、24歳。京都大学を中退として独学でプログラミングを勉強して、サムライトのCTOに就任。今はKaizen PlatformでTech Leadとして設計クオリティを担当している。
「伊藤さんは河西君のことを『あいつは怪物だ』と言っていましたが、怪物エピソードがあれば紹介してください」
「いくつもあるけど、まずなによりプログラミングがすごくできるので、生意気でも何も言えなかったですね(笑)。当時のKaizen Platformは古いバージョンのRuby on Railsを使っていて、バージョンを上げたかったんだけど、ほかの忙しさを言い訳にほったらかしになっていたのです。
そんなとき河西君が入ってきて、3日ぐらいでプログラムを書き換えたんですよ。入ったばかりの若者が、30代、40代の人たちが尻込みしていたものを、パパっと片付けてしまったのでみんな言い訳してたのがばれてしまった。本当に腕が立ちますね」
「なるほど。河西君の怪物ぶりが伝わったところで、最初の質問は『年収はいくら?』です。河西君は『転職ドラフト』というサービスに登録したところ、1000万円のオファーがあったんですよね」
「オファーはあったけど、1000万円ではなかったですね」
「僕の知る限り、4桁万円のエンジニアはそう珍しくはないと思います」
──ここでヨッピーさんが会場に「年収1000万円以上もらってる人!」と呼びかけると、ちらほら手を上がる人たちが。
「勇気を出した人がこれだけなので、ほかにもいると思います。僕も、まあ、それ以上もらっていますよ」
「歯切れが悪いですね」

「リアルな数字はね。ただ、額面だけでいうと一番数字が高かったときよりも少し減っていますね。数字だけでいえば、フリーランスの時は『おっ』というぐらいの額でした」
「フリーランスの方が稼げるんですか」
「フリーランスは自分の値段を言い値で言えますから。リスクをとればお金は入ってくる。一方で税金の計算など面倒なことも多いし、社会保障費も全部自分で負担。不動産借りたりするときに不利だったり、取引先の会社の業績が良くてもボーナスなどに反映されないとかもあるし…単純比較してもしょうがないですね」
「エンジニアが一発当てるにはストックオプション」は間違い!?
「エンジニアが一発当てるには、ストックオプションを狙いにいくしかないのではないかという話を河西君としていたんだけど、それについてはどう思いますか」
「一発っていくらぐらいのことを想定しているのかによっても」
「そのあとの仕事をしなくていいぐらいですね」
「一般的なサラリーマンが一生で稼ぐ給与額は約3億円と言われています。ということは、3億円では遊んでは暮らせないので、5億円ぐらい必要ということですね。いや、遊んで暮らすなら、税金のことを考えるともっとですね。それを若い間に手にしようとしたら、飛び道具が必要でしょう。
みんなストックオプションの話ばかりするけど、現物の自社株の話はしないのかな。自社株の方がより強いですよ。まあ、いずれにせよそれを目的とするのであれば、知り合いと一緒に会社を立ち上げたり、立ち上げたばかりの会社に入り、その会社を上場とか売却するとか、イグジットするところまでもっていくことでしょうね。でも90%以上の会社はそこまでいけないので、ほとんどが途中で終わってしまうというハイリスク・ハイリターンです。当たり前ですよね」
「エンジニアの人は起業家の勉強会に出るといいんじゃないかなと思うんですよ。『今度、仕事を立ち上げるから手伝ってよ。ストックオプションもあげるから』という話も来るのではと思うんですよね」
「その前にストックオプションのことを正しく理解しておく必要はありますね。正しく理解している人は少ないと思うんですよね」
「上場する前に株をもらう制度のことではないんですか?」
「違います。ストックオプションはただの権利。オプションもらったタイミングの株価で、後々権利行使した際に、オプションで付与された株数の株を買えるという権利です。実質的に時価よりもずっと安い価格で買える機会になるので、その後株式を売却すれば差額の現金が入ってくるんです。
現物の株式は法律で保護されているので権利を剥奪できないんですけど、オプションの場合は会社が自由に決められるので、辞めるときにその権利を抹消されてしまうこともあるんです」
「そうなんだ!みなさんも、現物をもらうようにしましょう(笑)」
「欲しい!って言ってもらえるものでもないので (笑)。 株を持つということは、自分自身でその会社に投資する・・・会社のオーナーになるってことですよ。普通は、そのときの時価で株式の一部を買い取る。その投資の費用も工面する必要があります。
自社株を持って、投資家兼経営者になって会社が軌道に乗るためにありとあらゆることをする。だからこそ高いリターンがある、ということですね。株を持つとかオプションをもつっていうのは、そうじゃない場合とは違うことをしなきゃいけない、より大きな責任を負って結果を出さないといけないということです、そのためのモチベーションの材料なんです。
そして株にしろストックオプションにしろ、正しい知識がある程度必要です。例えばオプションをもらうと、後々に多額の税金がかかったりするので、中にはストックオプション破産する人もいます。このようにリスクもあるので、そっち方面を指向するならある程度はファイナンスの勉強をした方が良いと思います」
家庭と仕事。結婚生活はどうなっているの?
「次の話題、伊藤さん、結婚生活はどうなっているの?です。伊藤さんのブログとかみても、奥さんの話は出てこないので」
「河西君も結婚しているよね」
「僕は子供も一人ですがいます。直也さんが結婚しているのはあまり知られていないと思うんです」
「僕も知らなかった。独身だと思っていた」
「10年前に結婚しています」
「ゲームをいっぱいしているんでしょ。奥さんから怒られないんですか」
「怒られないです」
「別居しているってことはないですよね?」
「ちゃんと同居していますよ。妻は妻で好きなことをやっているって感じです」
「河西君はゲームしないの?」
「ゲームはしないですね。土日は、家帰ってもプログラミングしています」
「奥さんにプログラミングして、怒られたりしない?」
「それはないです」
「ゲームは怒られてもしかたないけど、プログラムでお金稼いでいるので、怒られることはないでしょ(笑)」
「ゲームをするんだったら、お皿の一枚ぐらい洗いなさいよとか言われないんですか」
「主な家事は自動化していますからね。掃除はお掃除ロボット、洗濯は自動洗濯機、皿洗いは食洗機であとはスイッチ押すだけ。そうやって時間を作ってゲームをしています」
エンジニアの時間の使い方
「ここで少しまじめな話を。エンジニアの時間の使い方について伺いたいと思います」
「河西君は、時間をうまく使うために何か特別なことをしていますか?」
「特別なことはやっていないですね」
「本人は特別なことはやっていないと思っているだけと思います。Kaizen Platformにいたとき、河西君は帰社するのは早いけど、夜中の12時や1時ぐらいに、情報共有ツールに技術的な話をよく投稿してましたし」
「あれは遊んでいるだけです」
「河西君は何時に起きているんですか」
「起床は6時。それから子供にご飯を食べさせながら、技術書を読んだり、前日分のWebのキュレーションの記事を読んだりします。仕事を始めるのは9時~10時の間。晩ご飯は17時半に食べて、その後、風呂入ったりして、21時ぐらいに子供が寝るので、そこから仕事の続きをやって、趣味のプログラミングをします。就寝は0時から2時ぐらいですね」
「基本起きているときはプログラムをしているかんじですね」
「僕の印象では生活リズムが規則正しい」
「今は規則正しいですね。前職の時は昼夜逆転とかしたりもしていましたが…」
「伊藤さんの日々のスケジュールについて教えてください」
「僕は6時に起床」
「早いですね」
「普通の会社勤めしている人にとっては普通ですよ。それからネットをしたり、本を読んだりして、うだうだ過ごします。遅くても10時には出社します。会社を出るのは19時とか20時ぐらい。家に戻ればゲームをします。ただ、最近は飲み会や接待など、夜の行事も増えていますけどね」
「二人とも人格破綻しているような働き方はしていないんですね」
「昔はそういう働き方をしたこともありましたが、今は体力が持たないので無理ですね」
有名になって得をしたこと、損をしたこと
「有名になって得したこと、損をしたことについて教えてください」
「得をしたことは、たくさんあります。例えば採用の仕事で、僕が面接官で出ていくと、相手は僕のことを知っているので、いいかんじで面接ができるんです。また有名だとフリーランスでも仕事の依頼が来ますし、単純に承認欲求が満たされますし」
「河西君は、CodeIQの記事に出たことで得したことありますか?」
「得したことは、今日この場に呼んでもらえたことなど。そういった面で得をしたことがあります」
「おそらく河西君はまだ損することは起こっていないと思います。損をしたことというと、公人でも芸能人でもないのに、目撃情報を書き込まれたり、ネットで何か言うと一部の人たちから心ない言葉をかけられて傷つくことでしょうか」
「それは分かる気がする。例えば言い返したいと思っても、Twitterでフォロワーがいっぱい付いていると、とんでもない数の人を傷つけたりすることもありますからね」
「事実無根なこといわれても、言い返してもいいことはないので言い返さない。でもそうすると事実無根なことを信じる人が出てきて、面倒くさいこともあります。最も困るのは仕事をしていないというデマを信じている人がたくさんいることです(笑)」
「僕は、『ヨッピーは一本100万円を請求しているらしい』という噂がひとり歩きしているのに困っています。で言い返すと、『影響力を考えてください』といって怒られる(笑)」
「もう1つ有名になって得したことは、技術書を買わなくても、送ってもらえること。Twitterでぶつぶつ言うともらえるんですよ」
「こんなの絶対読まないという本も送られたりしませんか」
「そういうものも、一応、ざっっと読んで感想をいうと喜ばれたりします」
学歴エリートはなぜ、ITエンジニアにならないのか
「次の話題は「学歴エリートたちはなぜエンジニアにならないのか」です。河西君は京都大学を中退したんですよね」
「京大の総合人間学部認知情報学系で代数的整数論を学んでいました」
「彼は、正真正銘神童です」
「そういう優秀な人がITエンジニアになかなかならない気がします。大学時代の友達の皆さんは今、何をしているのですか」
「農学部や工学部出身の友達は、大きな会社に入っている人が多いですね。数学の人は金融に行ったり、メーカーのR&Dとかに進んでいます」
「なんでITのエンジニアにならないのかな~」
「そんなに単純な問題ではないとはおもいつつ、ひとつは日本は環境がまだまだというのはあるかもしれないですね。米シリコンバレーでは、ロックスターはITだというようなブランドができあがっています。スティーブ・ジョブズ、マーク・ザッカーバーグ、ラリー・ペイジやセルゲイ・ブリンのような格好いいアントレプレナーもいる。ではこちらはどうか。
任天堂の元社長の岩田さんは本来は彼らに近しい存在なんだけれども、あまり『カッコいい』という声は聞かれない。つまりロールモデルとはみなされていないんです。そういう現象はありますね」
「カッコいいエンジニアで社会的成功ということですか」
「シリコンバレーは産学連携でベンチャーが生まれるという仕組みが昔からあるんです。文化だけじゃなくて経済面とか、人種の多様性とかそういうのも含めた仕組みが。たとえばスタンフォード大学は起業を支援する際に、ソフトウェアを使ってレバレッジを効かせろというのが前提となっていますから」
「大学が悪いんですか」
「大学が悪いというより、エコシステムができていないんです。エコシステムは作ろうと思って作れるわけじゃないですからね」
「最近、東大がベンチャー創出に力を入れ始めているという話を聞きました」
「確かに東大の出身のベンチャーも出てきていますね」
「これは印象論でしかないのですが、日本のWeb系会社で成功して大きくなった会社の多くが、テクノロジースタートアップではないような気がします。だからテクノロジーリーダーが起業して成功した、という会社がみんな思い浮かばないんだと思います」
「この中からスティーブ・ジョブズになるような人が出てくるかもしれません」
「でもひと言、『ジョブスはエンジニアじゃないので』」
コードが書けるだけなら小学生以下、そんな時代がもう来ている
「そうでした(笑)。それでは今後、求められるエンジニア像について。こういうふうにやっていると稼げるよとか、こういう未来が来るから勉強していた方がいいとかあれば教えてください」
「もう小学生でもプログラミングできる時代になっているので、コードが書けるだけなら小学生以下だよねということは言いたいですね」
「プログラム書ける以外に何が大事なんでしょう」
「プログラムは手段なので、最終的に価値を作ることを自分の頭で考えられることが大事になると思います」
「この間の取材でも同じことを言っていました」
「河西君が言うように、もはやプログラムを書けるのは珍しいことではありません。専門技術の要求されるレベルが上がってきているのと同時にコモディティ化しており、技術自体が価値になる場面は減っています。それ以外の部分で、自分がどんな強みを発揮できるのかが大事になる。
最近、感じているのが良いプロダクトを仕上げるときに必要なのは、技術ではないということ。以前、メンバーの役割を少し変えたところ、その瞬間からいいモノができるようになった。正しいプロダクトを作るときのツボをどうやって見つけて押すか、そういうところが直感的にわかると重宝されると思います」
「今日の参加者はほとんどがプログラマなので、技術とは関係のないところと言われてしまうと、ちょっと落ち込んでしまうかもしれません」
「ネットで読んだブログにいいことが書いてありました。技術を身につける過程においては、プログラムが好きだという情熱が有利に働くそうです。だからプログラミングが好きなことは大事です。
ただ、それだけでは、お金を稼いだり、良いプロダクトをつくることに結びつかないので、そのギャップを埋めるものが、価値を作ることを自分の頭で考えられることだったり、良いプロダクトにするためのツボを見つけるのがうまかったりということなんです」
「ありがとうございました。最後に質疑応答を受け付けます。質問のある方います?」
Q:今年の春からCTOになったのですが、その瞬間から勉強する時間をとるのが大変になりました。どうやって時間を作っていますか。
「CTOはあらゆる権限を持っています。だから勉強する時間を作るために、会社の資産を使っていい立場です。例えば僕は雑務を一切、やりません。だから意外に暇なんです」
「やっぱり仕事していないじゃないですか(笑)」
「雑務に時間を取られて、勉強する時間がないというのはマネージャーとして正しいあり方ではないと思うんです。勉強をする時間を作るだけの権限を持っているので、それをうまく使えばいいと思いますよ」
こうしてパネルディスカッションは終了。セッション終了後、伊藤さんと河西さんは仲良くお食事に、ヨッピーさんはその日3本目のイベント登壇のお仕事に向かいました。
伊藤さんの年収は具体的な数字は明かされなかったものの、それなりの額をもらっているとのこと。また有名になれば得することも多いが、その分、噂話が先行してしまうこともあるという損も。
そんな面白ネタの中にも、これからエンジニアとして求められるものなどが語られた今回のセッション。稼げるエンジニアになるための参考になったのではないでしょうか。CodeIQ関連のイベント情報は、Twitter・Facebookでお知らせしているので、ぜひフォロー&チェックしてくださいね!











