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【社説】

内閣支持率続落 信頼が揺らぐ深刻さ

 安倍内閣の支持率が続落し、第二次内閣発足後、最低となった。支持と不支持が逆転し、首相への不信感も高まっている。政権にとってより深刻な状況にあることを、自覚すべきであろう。

 内閣支持率が50%台から40%台に急落した前回六月の調査から、さらに落ち込んだ。

 共同通信社が十五、十六両日に実施した全国電話世論調査によると、内閣支持率は六月より9・1ポイント減の35・8%と、二〇一二年の第二次安倍内閣発足後、最低となった。不支持率は10・0ポイント増え、最も高い53・1%。支持と不支持も逆転した。

 七月二日の東京都議選で、自民党は過去最低の二十三議席にとどまる歴史的大敗を喫した。この選挙で示された民意の動向は、東京だけにとどまらないことを、今回の世論調査は示している。

 「森友」「加計」両学校法人をめぐる問題や「共謀罪」の趣旨を含む改正組織犯罪処罰法成立をめぐる強引な国会運営で、内閣支持率はすでに下落傾向にあった。

 これに、稲田朋美防衛相の東京都議選での問題発言や、豊田真由子衆院議員(自民党に離党届)の秘書に対する暴言・暴行が追い打ちをかけたのだろうが、首相が学校法人をめぐる問題で「真摯(しんし)に説明責任を果たす」と話しながら、国会での説明を当初拒んだことも影響しているのは否定しがたい。

 それは不支持理由で最も多い答えが「首相が信頼できない」で、前回より10ポイント近く増え、第二次内閣以降最高の51・6%に達していることからもうかがえる。

 内閣不支持が政策ではなく、首相への信頼感の欠如が要因であることは、政権にはより深刻だ。

 首相としては二十四日にも開く国会での集中審議で、学校法人をめぐる問題について説明するとともに、八月三日にも予定される内閣改造で人心を一新し、信頼回復の緒に就きたい考えなのだろう。

 しかし、自己保身のための通り一辺倒の説明や、首相に近い人たちを優遇する組閣では、国民の理解は得られまい。

 内閣支持理由で最も多いのは「他に適当な人がいない」で40%に迫る。これは都議選のように受け皿さえあれば、政権や自民党への批判票が集約できることを意味する。

 民意を問う国政選挙は、補選以外に近く予定されていないとしても、理念や政策を軸とした、安倍政権に代わる政権の選択肢を準備しておく必要はあろう。与野党双方に対し、奮起を促したい。 

 

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